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資料を「つくる」仕事は、もう難しくない。|AI時代に残る、「何を伝えるか」という仕事

AIで資料がつくれるなら、資料作成はもう簡単になったのでしょうか。
たぶん、簡単になったのは「形にすること」であって、「伝えること」ではありません。
今回は、そのズレについて考えてみます。

AIで「形にすること」は、もう難しくない

最近は、資料作成でもAIを使う場面が増えました。

構成案を出す。
文章を要約する。
見出しをつける。
図表にする。
スライドとして整える。

以前ならそれなりに時間がかかっていた作業も、AIを使えばかなり短時間で形にできるようになりました。

資料作成の「作業」の部分は、これからもっと簡単になっていくはずです。

でも、ここでひとつ気になることがあります。

何を伝えるべきかまで、簡単に決められるようになったのでしょうか。

資料をつくっていると、

「このデータも必要かもしれない」
「聞かれたときのために、これも入れておこう」
「せっかく調べた情報だから載せたい」

と、情報はどんどん増えていきます。

丁寧に説明しようとするほど、資料は分厚くなっていく。
気づけば、伝えたいことはひとつだったはずなのに、資料は何ページにも膨れ上がっている。

そんな経験、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。

情報をたくさん載せること自体が悪いわけではありません。

「説明不足だと思われたくない」
「相手にきちんと伝えたい」

という、まっすぐな気持ちの表れであることも多いはずです。

「全部入れた資料」が、わかりにくくなる理由

ただ、ここにはひとつ落とし穴があります。

説明する側の安心と、読む側のわかりやすさは、同じではありません。

情報が増えると、

  • 一番伝えたいこと

  • その根拠になる情報

  • 念のため載せた補足情報

が、同じ強さで並び始めます。

すると読み手は、

「どれが大事なんだろう」
「結局、何を見ればいいんだろう」

と、自分で情報の優先順位を判断しなければならなくなります。

わかりにくさの原因は、単純な情報量ではありません。

資料をつくる側が本来決めるべき「情報の優先順位」を、読み手に委ねてしまっていること。

丁寧に説明しようとすればするほど、実はその判断を読み手に任せてしまう。

そんな逆説がある気がしています。

資料をつくる前に、「何を判断してほしいか」を決める

だからこそ、資料をつくる前に決めたいのは、

「この資料を見たあと、相手に何を理解し、何を判断してほしいのか」

です。

たとえば、新しいWeb施策の提案資料をつくるとします。

入れようと思えば、

  • 市場環境

  • 競合情報

  • アクセス数

  • ユーザー属性

  • 現状の課題

  • 施策案

  • 費用

  • スケジュール

など、いくらでも情報を盛り込めます。

どれも必要そうに見えます。

でも、この資料の目的が、

「新しい施策に投資するか判断してもらうこと」

だと決めたら、必要な情報は少し整理できます。

たとえば、

  • なぜ今、その施策が必要なのか

  • 今の方法では何が足りないのか

  • 新しい施策で何が変わりそうなのか

  • いくら必要で、どんな効果を期待するのか

この順番であれば、

「なぜ必要なのか」
「何をするのか」
「投資する価値があるのか」

を考えやすくなります。

つまり、資料は情報を並べるものではなく、

相手が判断するまでの道筋をつくるもの。

そう考えると、資料に何を載せるべきかも、少し見えやすくなります。

「1スライド1メッセージ」も、判断から考える

判断してほしいことが決まると、1枚ごとの役割も決めやすくなります。

資料作成では、

「1スライド1メッセージ」

という言葉をよく聞きます。

ただ、これは、

1枚のスライドに情報をひとつしか載せてはいけない

という意味ではないと思っています。

たとえば、

  • 年代別のアクセス数

  • 昨年との比較

  • 競合サイトとの比較

という3つのデータがあったとしても、

それらがすべて、

「若年層との接点が弱くなっている」

というひとつの結論を支えているなら、同じスライドにあっても不自然ではありません。

大切なのは、

その1枚を見終わったとき、読み手の頭に何が残るか。

データを載せることが目的ではなく、データを通じて「どう見るべきか」が伝わること。

「1スライド1メッセージ」は、情報を減らすためのルールというより、

読み手を迷わせないための情報設計

と考えた方が、しっくりきます。

同じ内容でも、「誰が読むか」で必要な情報は変わる

もうひとつ、資料をつくるときに考えたいのが、

「誰が読むか」

です。

同じWeb施策の提案でも、相手によって必要な情報は変わります。

Web担当者なら、CVRやCPAといった詳しい数値も判断材料になります。

一方、営業責任者なら、

「問い合わせや商談にどう影響するのか」

の方が重要かもしれません。

経営層なら、

「いくら投資して、何が期待できるのか」

を短時間で判断したい場合もあります。

詳しく説明することが、そのまま親切になるわけではありません。

相手がすでに知っていることを長く説明すれば、資料は冗長になります。

逆に、相手が知らない前提を飛ばせば、話についていけません。

何を伝えるかだけでなく、

誰に伝えるかによって、情報の量や順番を変える。

ここまで含めて、資料設計なのだと思います。

そしてこれは、資料に限った話でもありません。

企画を説明するときも、Web施策を提案するときも、

「相手が判断できる状態をどうつくるか」

という視点は、同じように大切なのだと思っています。

AI時代に、人が考える資料作成の仕事

AIによって、資料を「形にする仕事」はこれからさらに簡単になっていくはずです。

文章を整える。
図をつくる。
スライドとして仕上げる。

その部分は、AIがかなり助けてくれます。

だからこそ、人が考えるべきところは、よりはっきりしてくる気がします。

  • 何を伝えるのか

  • 何を伝えないのか

  • どの順番で伝えるのか

  • 相手に何を判断してほしいのか

資料作成は、PowerPointを操作する仕事のように見えることがあります。

でも本当は、そのもっと手前にある、

「相手が理解し、判断できる状態をどうつくるか」

を考える仕事なのかもしれません。

まとめ

次に資料をつくるとき、最初のスライドを開く前に、少しだけ考えてみる。

「この資料を見た相手に、何を判断してほしいんだろう」

その問いが決まれば、残す情報も、削る情報も、並べる順番も少しずつ変わってくるはずです。

きれいな資料をつくることより、相手が迷わず考えられる資料をつくること。

AIで資料をつくることが当たり前になっても、そこはきっと、人が考え続ける仕事として残っていくのだと思います。

あなたが最近つくった資料には、相手に「何を判断してほしいか」が見える形で残っていますか?


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