介護施設サイトは「選ばれる理由」より先に「選べる理由」を伝える
介護施設のサイトで、最初に伝えるべきなのは、理念や施設の雰囲気だけではありません。
家族が、
「自分の親も、この施設を候補にできる」
と判断するための情報です。
施設の魅力を伝える「選ばれる理由」より先に、家族が候補にできるかを判断する「選べる理由」を伝える。
今日は、介護施設サイトにおける情報の順番について考えます。
施設が伝えたいことと、家族が知りたいことのズレ
介護施設のサイトを見直すとき、
「施設の理念をしっかり伝えたい」
「スタッフのあたたかさが伝わるサイトにしたい」
「行事や日々の暮らしを紹介したい」
という話から始まることは少なくありません。
もちろん、どれも大切な情報です。
開設の経緯やスタッフの想い、入居者の日々の様子は、その施設らしさを伝えてくれます。
一方で、家族が最初に確認しているのは、少し違う情報です。
「認知症の症状が進んでいても、入居できるだろうか」
「必要な医療や看護に対応してもらえるだろうか」
「毎月、実際にはいくらかかるのだろうか」
「状態が変わっても、暮らし続けられるだろうか」
こうした、自分たちの状況に直接関わる具体的な情報です。
介護施設のサイトを見ていると、理念や雰囲気は丁寧に紹介されている一方で、入居条件や費用、医療体制などの情報が見つけにくいケースがあります。
施設側が伝えたいことと、家族が最初に知りたいことのあいだに、静かなズレが生まれているのです。
「選べる理由」と「選ばれる理由」は、役割が違う
「選べる理由」と「選ばれる理由」は、似ているようで役割が異なります。
■選べる理由
家族が、
「この施設は、自分たちの候補にできる」
と判断するための情報です。
たとえば、
・入居対象となる要介護度
・認知症の受け入れ状況
・対応できる医療行為
・看護師の配置体制
・月額費用と追加料金
・看取りへの対応
・空室や入居相談の状況
などが該当します。
■選ばれる理由
複数の候補を比較した家族に、
「この施設にお願いしたい」
と思ってもらうための情報です。
たとえば、
・施設の理念
・スタッフの人柄や姿勢
・施設内の雰囲気
・食事やレクリエーション
・入居者の暮らし
・家族との関わり方
などが該当します。
つまり、
選べる理由は、候補から外されないための情報。
選ばれる理由は、候補の中から選んでもらうための情報。
どちらも必要ですが、家族が確認する順番は同じではありません。
家族の施設選びには、判断する順番がある
家族は、最初から施設の理念や雰囲気だけを比較しているわけではありません。
まずは、次のような順番で確認します。
この施設に入居できるか
↓
費用を支払い続けられるか
↓
必要な介護や医療を受けられるか
↓
状態が変わっても暮らし続けられるか
↓
安心して任せられるか
↓
複数の候補から、どの施設を選ぶか
前半で確認しているのが「選べる理由」です。
その条件を満たしたあと、理念や雰囲気、スタッフの姿勢といった「選ばれる理由」が、最終的な決め手になります。
理念や施設らしさが必要ないのではありません。
家族が「候補にできる」と判断したあとに、はじめて十分に届く情報なのです。
情報は「ある」だけでなく、「判断できる形」にする
必要な項目がサイトに掲載されていても、家族が判断できるとは限りません。
たとえば、
認知症への対応
「認知症の方もご相談ください」
だけでは、自分の親が対象になるか判断しにくいものです。
「認知症の症状や生活状況を確認したうえで、受け入れを個別に判断します」
と書かれていれば、まず相談できることが分かります。
医療体制
「医療機関と連携しています」
だけでなく、
・協力医療機関
・看護師がいる時間
・対応できる医療行為
・夜間や緊急時の連絡体制
まで示されていれば、家族は必要な医療を受けられるか判断しやすくなります。
費用
「月額利用料15万円から」
だけでは、実際に毎月いくらかかるのか分かりません。
家賃、食費、管理費、介護保険の自己負担、医療費、日用品費などを分けて掲載することで、家族は総額をイメージできます。
看取り
「看取りにも対応しています」
という言葉に加えて、
・施設としての看取りの方針
・医師や看護師との連携
・家族と相談するタイミング
・状態が変化した場合の対応
まで伝えられれば、家族は今後の暮らしも含めて検討できます。
大切なのは、情報を掲載することだけではありません。
家族が、自分たちの状況に当てはめて判断できる具体性を持たせることです。
掲載項目だけでなく、伝える順番を見直す
以前の記事「選ばれる施設サイト、最初に整える7項目」では、施設サイトで優先して整えたい情報を紹介しました。
今回お伝えしたいのは、掲載する項目だけではなく、それを伝える順番です。
家族が最初に必要としているのは、施設の魅力を比べるための情報ではありません。
まずは、
「自分の親が入居できるか」
「必要な支援を受けられるか」
「費用を支払い続けられるか」
を確認するための情報です。
その答えが見つかって、はじめて理念や雰囲気、スタッフの想いが「選ばれる理由」として届きます。
FOURKNOTが施設サイトを考えるうえで大切にしたいのは、施設が伝えたい順番ではなく、家族が判断する順番に合わせて情報を整えることです。
家族は、施設の魅力を比べる前に、まず自分たちがその施設を選べるかどうかを確認しています。
皆さんの施設のサイトを初めて見た家族は、
「自分の親も入居できそうか」
を3分以内に判断できるでしょうか。
一度、家族の目線で確かめてみませんか。
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