介護施設のWeb発信は、担当者を育てるより「仕組み」をつくる
Web担当者を育てることが目的ではありません。
本当に必要なのは、担当者が変わっても、施設のWeb発信が止まらない状態をつくることです。
これは、「担当者を育てなくてよい」という話ではありません。
担当者個人の経験やセンスだけに頼る前に、まずは誰でも動きやすい運用の土台をつくろう、という話です。
担当者が変わった途端、更新が止まる
介護施設のWeb運用で、起こりやすいケースがあります。
以下は、そうした状況をわかりやすく再構成したものです。
ある施設では、SNS発信を得意とする職員が、投稿を担当していました。
写真も文章も上手で、行事の様子や入居者の何気ない表情を切り取るのが得意です。投稿を続けるうちに、ご家族からの反応も少しずつ増えていきました。
ところが、その職員が異動した途端、更新が止まってしまいます。
後任者に「これまでと同じようにお願いします」と伝えても、写真の選び方や文章のまとめ方までは引き継げません。
投稿の下書きを開いては閉じ、何を書けばよいのか悩み、結局その日は公開できずに終わる。
そんな状態が続いてしまいました。
原因は、後任者の能力や熱意ではありません。
何を選び、どのように伝えるかという判断基準が、前任者の頭の中にしか残っていなかったからです。
これは、SNS投稿に限った話ではありません。
公式サイトのお知らせ、採用ページ、Googleビジネスプロフィールなども、担当者が変わった瞬間に更新が止まることがあります。
発信が止まる原因は、担当者の能力ではない
担当者頼みの発信が止まりやすいのは、能力や熱意の問題ではありません。
・何を掲載するかという判断基準が、その人の頭の中にしかない
・写真や文章を選ぶコツが、言葉になっていない
・投稿前に誰が確認するのか、決まっていない
・後任者が、ゼロから手探りで進めることになる
介護施設ならではの事情もあります。
入居者やご家族の写真を掲載する際には、同意や個人情報への細やかな配慮が必要です。
施設によっては、公開前に施設長や法人本部の確認が必要になることもあります。
Web専任の担当者を置くことが難しい施設では、事務、相談業務、採用、広報など、本来の仕事と兼任しながら更新を担当することもあります。
一人の担当者の頑張りだけで、継続的な発信を支え続けることには限界があります。
育成は「人」に残ります。
仕組みは「組織」に残ります。
仕組みだけでは、決められた内容を繰り返すだけの、機械的な発信になりかねません。
一方で、育成だけでは、担当者が異動したときに発信が止まってしまいます。
大切なのは、育成か仕組みかを選ぶことではありません。
まず仕組みを整え、その上に担当者の経験や工夫を積み重ねていくことです。
「Webが回る仕組み」とは何か
Webが回る仕組みといっても、難しいシステムを導入する必要はありません。
最初に整理したいのは、次の5つです。
1.発信するテーマを決める
行事、食事、スタッフの様子、施設の日常、採用情報、空室情報など、普段から扱うテーマを決めておきます。
毎回ゼロから投稿内容を考える必要がなくなります。
2.原稿の型をつくる
例えば、
「写真」
「その日にあった出来事」
「入居者の様子」
「施設からの一言」
という順番を決めておくだけでも、文章は書きやすくなります。
文章が得意な人だけでなく、誰でも原稿を作りやすい状態を目指します。
3.無理のない更新頻度を決める
「できるときに更新する」というルールでは、日々の業務に追われ、更新の優先順位が下がってしまいます。
毎週水曜日、月に2回など、施設の体制に合った無理のない頻度を決めておくことが大切です。
4.確認する人と流れを決める
誰が情報を集め、誰が原稿を書き、誰が公開前に確認するのか。
役割を決めておけば、確認待ちのまま投稿が止まることを防げます。
5.写真掲載のルールを共有する
入居者や職員の写真を、どこまで掲載できるのか。
同意の確認方法、顔出しの範囲、名前や個人情報の扱いなどを、担当者だけでなく施設内で共有しておきます。
さらに、担当者の異動や退職に備えるなら、次の点も重要です。
・アカウント情報を、個人だけで管理しない
・写真や原稿の保存場所を決めておく
・担当者を一人だけにしない
・過去の投稿を、見本として残しておく
・定期的に運用方法を見直す
仕組みをつくる目的は、担当者を縛ることではありません。
迷う場面を減らし、担当者が安心して発信できる状態をつくることです。
投稿代行だけでは、施設内の仕組みまでは整わない
外部の会社に投稿を依頼することで、更新を継続しやすくなることはあります。
ただし、施設内で情報を集める方法や確認の流れが決まっていなければ、外部に依頼しても必要な情報や写真が集まらず、更新が滞ってしまいます。
そのためFOURKNOTでも、投稿を代行することだけではなく、施設内でWeb発信が続く仕組みを一緒につくることを大切にしたいと考えています。
何を発信するのか。
誰が情報を集めるのか。
誰が確認し、いつ公開するのか。
担当者が変わっても引き継げるように、「誰が」「いつ」「何を」「どのように更新するか」を見える形にする。
それが、継続できるWeb運用の土台になります。
今日から確認できる、5つのこと
皆さんの施設では、次の質問に答えられるでしょうか。
・担当者が休んでも、更新できますか
・投稿するテーマは、あらかじめ決まっていますか
・写真掲載のルールは、明文化されていますか
・アカウントを、特定の個人だけで管理していませんか
・後任者が見られる手順書や見本はありますか
一つでも「担当者しか分からない」という項目があれば、そこから仕組みに変えていく余地があります。
まとめ
Web担当者を育てることが、ゴールではありません。
担当者が変わっても発信が止まらない状態をつくり、その仕組みの上で、一人ひとりの経験や工夫を生かしていく。
それが、介護施設のWeb発信を長く続けるための土台になります。
「更新できる人」を一人つくるのではなく、「誰でも更新を続けられる状態」をつくる。
皆さんの施設のWeb発信は、担当者が休んでも回る仕組みになっていますか?
前回の記事では、Web施策を続けるために、現場へ「なぜ」を渡すことの大切さについて書きました。
