介護施設のWeb施策が現場に浸透しない理由|「型」だけを渡していませんか
新しいWeb施策を導入したのに、なぜか現場では使われないまま終わってしまう。
そんなもどかしさを感じたことはありませんか。
その理由は、担当者の「やる気」や「ITスキル」だけにあるとは限りません。
現場から返ってきたのは、まさかの質問でした
現在、複数の介護施設を運営する法人で広報の支援をする中で、各施設のブログ更新を現場のみなさんにお願いしたことがあります。
投稿する内容や写真の選び方に迷わないよう、マニュアルとテンプレートを一式用意して、各施設に配布しました。
「これで迷わず更新できるはず」
こちらは、少し安心していました。
ところが、現場から返ってきたのは、想像していたのとは違う反応でした。
「うちの施設のブログは、どれくらいの人に見てもらえているんですか」
「どの記事が、よく読まれているのでしょうか」
「どんな写真や内容を載せると、お問い合わせにつながりやすいですか」
次々と質問が飛んできたのです。
マニュアルの使い方に迷っている様子ではありませんでした。
むしろ、「施設のことを、外に向けてきちんと発信したい」という気持ちの強さに、こちらが驚かされました。
同時に気づいたのは、アクセス数や読者の反応、どのような内容が問い合わせにつながるのかといった「Web施策の勘所」を、現場のみなさんにほとんど共有できていなかったということです。
マニュアルには投稿の手順は書いてあっても、その先にある「なぜ」までは、どこにも書いていませんでした。
現場に必要だったのは、手順より判断材料だった
この経験から、現場は「Web施策に興味がない」という見方が、こちらの思い込みだったことに気づきました。
現場のみなさんは、外部への発信に強い意欲を持っていました。
足りなかったのは、アクセス数の見方や、どのような内容が反応を生むのか、どのような写真が家族の安心につながるのかといった、次の投稿を考えるための判断材料でした。
問題は現場の能力ではなく、支援する側からの情報の渡し方にあったのです。
ITリテラシーの差というよりも、現場の意欲を後押しするための情報が、十分に共有されていませんでした。
現場の理解力だけを問題にするのではなく、何を、どの順番で、どのように伝えるか。
その設計次第で、現場の動き方は変わるのだと思います。
型より先に、「なぜ」を渡す
この経験は、Web集客を支援する際の判断軸のひとつになっています。
マニュアルやテンプレートを渡すだけでなく、
「なぜ、この投稿が必要なのか」
「どのような反応が得られているのか」
「次は何を発信するとよいのか」
といったことを、現場の方にも分かる形で共有することを大切にしています。
たとえば、毎月一度でも、
・よく読まれている記事
・家族から反応があった写真
・問い合わせの前後によく見られていたページ
・前月と比べて閲覧が増えた内容
などを共有すると、現場は次に何を発信すればよいか判断しやすくなります。
数字を並べるだけではなく、
「日常の様子が分かる記事が、よく読まれています」
「職員の紹介を掲載した後に、採用ページの閲覧が増えています」
というように、専門用語を使わずに翻訳して伝えることも大切です。
型を渡すことと、その型を使う理由を伝えること。
この二つがそろって初めて、マニュアルやテンプレートは現場で機能します。
現場の意欲を、適切な判断材料で後押しする。
それだけでも、発信を続けやすい環境へと変わっていきます。
ITに詳しくなくても、判断できる状態をつくる
介護施設では、職員によってITリテラシーに差があるのは当然です。
ただし、その差を現場だけの課題として捉えてしまうと、施策は前に進みません。
大切なのは、専門知識がなくても、
・何のために取り組むのか
・どのような反応があったのか
・次に何をすればよいのか
を理解し、判断できる状態をつくることです。
現場の全員をWeb担当者にする必要はありません。
それぞれの職員が、施設の日常や魅力を伝える意味を理解し、自分にできる範囲で参加できる状態をつくることが、施策の定着につながります。
施策が続かないとき、まず見直したいこと
施策が続かないのは、現場の力不足を示しているのではありません。
現場への伝え方や、運用の設計を見直すタイミングを教えてくれているサインなのかもしれません。
新しい施策を始めるとき、現場に「やり方」だけでなく、「なぜ取り組むのか」まであなたの施設では「目的」まで共有できていますか?
施策が止まってしまったときこそ、現場を責める前に、渡している情報の中身から見直してみることが大切です。
