競合SNSをAIで並べると、「空白」が見えてくる|介護施設の発信から考える、競合分析の使い方
競合のSNSを見るとき、つい気になるのが「どんな投稿が伸びているか」です。
いいねが多い投稿。
コメントがついている投稿。
写真がきれいな投稿。
参考になるものがあれば、自分たちの発信にも取り入れたくなります。
もちろん、それも競合を見る意味のひとつです。
ただ、AIを使って競合SNSを見るなら、「伸びている投稿を探す」だけでは少しもったいないと思っています。
むしろ見てみたいのは、
みんなが何を発信しているのか。
そして、何を発信していないのか。
複数の投稿を並べてみることで、自分たちだけでは気づきにくい「発信の空白」が見えてくることがあります。
今回は、介護施設のSNSを例に考えてみます。
AIに任せたいのは、「正解探し」より「整理」
競合分析というと、少し大げさに聞こえるかもしれません。
何十もの競合データを集め、数字を比較し、専門的な分析ツールを使う。
そんなイメージを持つ方もいると思います。
でも、SNSを見るところからなら、もっと小さく始められます。
たとえば近隣にある3〜5施設の投稿を見て、
どんなテーマを発信しているか
誰が主役になっているか
誰に向けた発信なのか
どんな印象を伝えようとしているか
といった項目に分けて整理してみる。
数投稿なら人でもできますが、対象が増えてくると、一つずつ同じ基準で見比べるのは意外と手間がかかります。
ここはAIが得意なところです。
AIに「どの投稿が一番良いですか?」と正解を決めてもらうのではなく、投稿を同じ基準で分類し、比較しやすい状態をつくってもらう。
AIを「判断する人」ではなく、下調べや整理を手伝う役割として使うイメージです。
介護施設のSNSを並べると、何が見えるのか
たとえば、近隣の介護施設のSNSをいくつか見てみます。
投稿内容を同じ基準で整理すると、こんな分類ができます。
投稿テーマ
行事/食事/設備/スタッフ紹介/日常/採用/地域交流
投稿の主役
施設/スタッフ/入居者/家族
想定している相手
入居を検討している本人や家族/求職者/地域住民
伝えようとしている印象
安心感/楽しさ/専門性/親しみ/活気
こうして複数施設を並べてみると、
「行事の投稿が多い」
「食事の写真は多くの施設が載せている」
「スタッフについて伝えている投稿は少ない」
「求職者向けの発信はあまり見当たらない」
といった、発信の偏りが見えてくるかもしれません。
一つの施設だけを見ていると気づきにくいことも、複数施設を同じ項目で並べると輪郭が出てきます。
ここに、AIを使う意味があります。
AIには、こんな聞き方ができる
難しいプロンプトをつくる必要はありません。
たとえば、比較したい投稿を整理したうえで、こんな聞き方ができます。
以下は複数の介護施設のSNS投稿です。
それぞれの投稿を、
①投稿テーマ
②投稿の主役
③想定している読者
④伝えようとしている価値・印象
の4項目で分類してください。
そのうえで、施設ごとの特徴と、複数施設に共通して多いテーマ・少ないテーマを整理してください。
実際に整理する際は、個人名など分析に不要な情報は除き、必要な内容だけを扱うようにします。
ポイントは、最初から
「次は何を投稿すればいいですか?」
と聞かないことです。
まずAIには、今ある情報を整理してもらう。
その結果を見てから、人が「なぜそうなっているのか」を考えます。
見たいのは「人気投稿」だけではなく、「空白」
競合SNSを見る目的を、
「うまくいっている投稿を真似すること」
だけにしてしまうと、発信内容は少しずつ似ていきます。
A施設が夏祭りを投稿する。
B施設も夏祭りを投稿する。
C施設も夏祭りを投稿する。
もちろん、施設の日常を伝えるうえで行事の投稿は大切です。
でも、マーケティングの視点から見ると、もう一つ問いがあります。
「この地域の施設が、まだあまり伝えていないことは何だろう?」
たとえば、
入居後の普段の一日。
スタッフと入居者の何気ない関わり。
夜間の過ごし方。
家族との面会。
職員がどんな考えで仕事をしているのか。
もし他施設であまり発信されていないテーマがあれば、それは一つの「空白」です。
ただし、空いているから発信すればよい、ということではありません。
発信テーマとして考えたいのは、
競合があまり伝えていないこと
×
家族や求職者が知りたいこと
×
自施設に実際にあること
この3つが重なる部分です。
誰も投稿していないテーマでも、見ている人が知りたくなければ意味はありません。
反対に、家族が知りたいことであっても、自施設に実態がなければ伝えることはできません。
AIが見つけてくれるのは、答えそのものではなく、考えるための「違い」や「偏り」です。
競合を見る目的は、競合に近づくことではない
これはSNSに限った話ではありません。
Webサイトでも、広告でも、サービスづくりでも、競合を見ると「相手がやっていること」に目が向きやすくなります。
でも本来、競合を見る目的は、
競合と同じになることではなく、自分たちの立ち位置を考えること
ではないでしょうか。
介護施設の場合も、SNSで参考にする相手と、実際に入居検討時に比較される相手が同じとは限りません。
フォロワーが多い有名施設の投稿から学べることもあります。
一方で、自施設の立ち位置を考えるのであれば、同じ地域や、似た入居条件・価格帯など、実際に比較候補になりそうな施設を並べるという見方もできます。
地域の中で、
「みんなが伝えていること」
と
「まだ十分に伝えられていないこと」
を知る。
これはSNS運用というより、小さな競合分析であり、自施設のポジショニングを考える作業でもあります。
AIは、「見比べる負担」を減らしてくれる
SNSを他の業務と兼任している場合、投稿を続けながら競合施設のSNSまで継続的に確認するのは簡単ではありません。
写真を撮る。
文章を考える。
投稿する。
反応を見る。
そのうえで複数の競合アカウントを見比べるとなると、どうしても後回しになりがちです。
だからこそ、人が全部やらなくてもいい部分をAIに任せる。
たとえば、
比較したい施設を数件決める
投稿を同じ項目でAIに整理してもらう
多いテーマ・少ないテーマを比較する
自施設の投稿も同じ基準で並べる
「まだ伝えていないこと」を人が考える
この順番なら、AIを使う目的も明確です。
AIに答えを決めてもらうのではなく、人が考えやすい状態をつくってもらう。
それくらいの距離感が、仕事でAIを使うにはちょうどいいのではないかと思います。
まとめ|競合SNSは、自分たちの発信を考えるための鏡になる
競合分析という言葉には、少し「勝ち負け」のような響きがあります。
でも、他施設のSNSを見る目的は、相手より上に行くことだけではありません。
複数の発信を並べることで、
自分たちが何を伝えていて、何をまだ伝えていないのか
が見えやすくなります。
AIは、その比較と整理を少し楽にしてくれる道具です。
競合の人気投稿を探すだけではなく、
「この地域のSNSでは、まだ何が十分に語られていないだろう?」
そんな見方を加えてみる。
すると、次の投稿ネタだけではなく、自分たちの施設が、誰に何を伝えていくのかまで考えるきっかけになるかもしれません。
あなたの施設のSNSを、近隣施設と同じ基準で並べて見たことはありますか?
いいなと思ったら応援しよう!
この記事は noteマネー にピックアップされました

