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退院の日、看護師が本当に思っていること

「お元気で」
退院される患者さんを見送るとき、わたしはいつも同じ言葉をかけます。でも、その笑顔を見送りながら、心の中では別の願いを抱いています。

看護師として働いていて嬉しい瞬間はいくつもありますが、その中でも患者さんの退院は特別な喜びを感じる出来事です。どんな患者さんの退院でも嬉しいものですが、治療に苦労された方や、退院調整がなかなかうまく進まなかった方が、どうにか退院に漕ぎ着けられたときの喜びは、また格別なものがあります。

精神科という現場では、退院前の退院調整がとても重要な意味を持ちます。精神疾患の中には、退院後の環境の変化などをきっかけに、再び症状が不安定になることも少なくありません。そのため、退院後の生活に支障をきたしてしまうこともあります。
周囲とうまくいかない、地域に溶け込めない、ちょっとしたことで人と衝突してしまう…そうした困難を少しでも減らすために、退院後の生活基盤をきちんと整えてから送り出すことが必要なのです。
そのために私たち看護師は、精神保健福祉士をはじめとした多職種と連携しながら、慎重に話を進めていきます。

退院調整の方法も一つではありません。試験外泊といって、試験的に数日間ご自宅に帰っていただき、その間の様子を観察することもあります。本人やご家族が選んだグループホームへスタッフと一緒に見学に行くこともありますし、施設への入所を考えている方には、施設のスタッフと面談していただき、相性を確認していただくこともあります。やり方は多岐にわたりますが、いずれも退院される患者さんが少しでも生きやすい道を、一緒に選んでいくための時間です。

そうした道のりを経て退院を迎える患者さんを見送るとき、私自身の気持ちも本当に温かくなります。退院当日は、笑顔で病院を出ていかれる方がほとんどです。新しい人生の門出なのですから、それも当然のことだと思います。

ただ、その一方で悲しい事実もあります。退院後に病状が悪化し、再入院されてしまう方が一定数いらっしゃるのです。自宅に戻ったものの以前の生活パターンに戻ってしまったり、グループホームの他の入居者の方との関係に気を使いすぎて、神経をすり減らして帰ってこられる方もいます。悲しいことではありますが、そうした現実もまた、看護師として受け止めなければならないことだと感じています。

それでも私は、精神科看護師として患者さんを送り出すとき、いつも同じことを願っています。精神疾患を抱えていても、一人の人として、地域で当たり前に暮らしていけることを。精神疾患に対する社会の目は、今も決して優しいとは言えません。
それでも、私は患者さんたちが入院中、本当に一生懸命に頑張ってこられた姿を知っています。だからこそ、心から幸せになってほしいと思うのです。
おそらく、どの科で働く看護師であっても、患者さんの幸せを願う気持ちに変わりはないでしょう。
それでも私は、精神疾患を抱えた患者さんにこそ、これから先は幸せに暮らしてほしいと心から願っています。

患者さんが退院される日は、看護師にとって"お別れの日"ではありません。「もう戻ってこなくていいですよ。」 その言葉は口には出しませんが、私はいつも心の中で、そう願いながら患者さんを送り出しています。

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