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休みの日まで家のことを考えてしまう──ひとり時間が残らない理由

休みの日のはずなのに、朝から頭の中だけが忙しい日があります。

洗濯を回して、買い物に行って、冷蔵庫の中を見て、部屋の散らかりを見て、家族の予定を気にして、気づけば午前中が終わっている。誰かに強く命令されたわけではないのに、家の中にある小さな用事が、次々と自分のほうへ寄ってくる感じがする。

本当は、少しだけ何もしない時間がほしかった。ゆっくりコーヒーを飲むとか、読みかけの本を開くとか、ただぼんやり窓の外を見るとか、そういう時間でよかったはずなのに、休みの日ほど生活の細かいことが目に入ってしまう。

そして夜になると、今日も自分の時間がなかった、という感覚だけが残る。

この疲れは、単純に予定を詰め込みすぎたから起きるものではないと思う。むしろ厄介なのは、予定表には何も書かれていないのに、頭の中では家のことがずっと稼働していることです。

仕事なら、開始時間と終了時間があります。会議なら、招集される人も議題もある程度は決まっています。けれど家のことは、境界線が曖昧なまま生活の中に置かれています。洗濯は誰がいつやるのか。買い物はどの頻度で行くのか。片づけはどこまでやれば終わりなのか。家族の予定は誰が把握するのか。

こうしたことが曖昧なままだと、家のことはいつでも自分の予備領域に入ってきます。

少し時間が空いたら洗濯できる。ついでに買い物も行ける。目についたから片づけられる。誰かに言われる前に確認しておける。そうやって、休みの日の余白が少しずつ家の用事に変わっていく。

ここで一度、見方を変えてもいいのだと思います。

家事は愛情ではなく、オペレーションです。

もちろん、家のことをする背景には、暮らしを大事にしたい気持ちや、家族を思う気持ちがあるかもしれません。けれど、愛情があるから自動的に全部できるわけではないし、気づいた人が全部抱えたほうがよいわけでもありません。

家事や生活管理は、終わりが見えにくい仕事です。しかも、やっても目立たず、やらないと目立つ。洗濯物が畳まれていることには誰も驚かないのに、洗濯物が溜まっていると急に気になる。冷蔵庫に食材があることは当たり前になりやすいのに、何もないと困る。

こういうものをひとりで抱え続けると、休みの日まで自分の心が勤務中のようになります。

僕は、ひとり時間が残らない人は、時間の使い方が下手なのではなく、自分の時間を最後に置きすぎているのだと思います。先に家のことを片づけて、余ったら休もうとする。先に家族の予定を整えて、余ったら自分のことをしようとする。先に生活を回して、余ったら好きなことをしようとする。

でも、生活の用事は余白を見つけるのがうまい。

一つ終わると、次の一つが見えます。片づけたら、別の場所が気になります。買い物に行けば、ついでに補充したいものが増えます。家族の予定を確認すると、次の調整が見えてきます。だから、自分の時間を余りとして扱っている限り、なかなか手元には残りません。

ひとり時間は、余ったら取るものではなく、先に置くものです。

たとえば、午前中の一時間だけは家のことをしないと決める。午後のこの時間だけは、誰かの予定確認をしないと決める。買い物に行く前に、少しだけ自分のための時間を取る。大きな予定でなくてもいいと思います。外に出なくてもいいし、特別な趣味でなくてもいい。ただ、家のことに触れない時間を、予定として扱うだけでいい。

そのとき大事なのは、ひとり時間を贅沢にしないことです。

自分の時間というと、何か充実したことをしなければいけない気がする人もいます。勉強する、運動する、出かける、整った暮らしを作る。もちろん、それができる日はそれでいい。けれど疲れている日は、ただスマホを置いて座るだけでもいいし、温かい飲み物をゆっくり飲むだけでもいい。

ひとり時間の目的は、自分を立派にすることではなく、自分の輪郭を戻すことです。

家のことを考え続けていると、自分が何を感じているのかが後回しになります。疲れているのか、退屈しているのか、怒っているのか、本当は手伝ってほしいのか、ただ静かにしたいのか。その声を聞く前に、次の家事が入ってくる。

だから、休みの日にまず必要なのは、完璧な家事計画ではなく、家のことから少し離れる時間なのだと思います。

全部を放り出す必要はありません。暮らしは続くし、家のことはなくならない。けれど、全部を自分の頭の中だけで回し続ける必要もありません。終わりを決める。担当を分ける。頻度を落とす。今日はここまでと区切る。そういう小さな線を引かないと、家のことはいつまでも自分の休みを静かに使っていきます。

休みの日まで家のことを考えてしまうのは、あなたが要領よくできていないからではないのかもしれません。

家のことが、あまりにも自然に、あなたの時間へ入ってきすぎているだけなのかもしれません。

今週末、もし少しだけ余力があるなら、家事をひとつ増やすより先に、自分の時間をひとつ予定に入れてみてもいいと思います。誰かに説明できる立派な時間ではなくてもいい。生産的でなくてもいい。家のことに触れず、自分の感覚が戻ってくるための時間です。

あなたの休みの日にいちばん重く残っているのは、どんな疲れでしょうか。

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