熱気_09【熱きアツキ】【シロクマ文芸部】
星を見るのがうらやましかった。ライバルチームのエンブレムの上には、優勝の数だけ星が輝いていた。応援している『さいたまダイヤ』に、星はまだない。だけど、それも今日で終わりだ。
2006年12月、最終節。
ついに『さいたまダイヤ』のリーグ戦初優勝がかかった運命の日がきた。首位に立つ『さいたまダイヤ』の対戦相手は2位の『オオキニおおさか』。勝ち点差は3のため、引き分け以上で優勝が決まる直接対決だ。
スタジアムは張り詰めた緊張感と爆発寸前の期待感に包まれ、異様な熱気を帯びていた。敦輝は父と一緒に、祈るような気持ちで席に腰を下ろしていた。
「絶対に優勝するよね!」
「まだ何も決まっちゃいないぞ」
「そうだね。油断大敵だね」
「そうだ。最後までしっかり応援しよう」
場内アナウンスが流れて、選手紹介が始まった。すっかり大ファンになった、同じ名前のアツキがスタメンに名を連ねていた。エースストライカーのヤマトが紹介された瞬間には地響きのような歓声が上がり、スタジアムのボルテージは最高潮に達した。
試合前のウォーミングアップが終わり、選手たちが一度ロッカーへ引き揚げると、スタジアムには嵐の前の静けさが訪れた。
選手入場を前に、ゴール裏でコールリーダーが拡声器でサポーターを煽ると『好きにならずにいられない』を歌い出した。誰もが席を立ち上がり、タオルマフラーを掲げて声を合わせた。
雷鳴のようなイントロの入場曲がスタジアムに響き渡ると、全員で座席に用意されていたシートを掲げた。ビジュアルサポートだ。オーロラビジョンに映し出されたバックスタンドには、巨大な『さいたまダイヤ』のエンブレムが浮かび上がっていた。
ピッチの中央で円陣を組む選手たちの姿を見つめながら、敦輝はキックオフの笛が鳴るのを待った。
ショートストーリーをつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
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