成就☆_10(最終話)【熱きアツキ】【シロクマ文芸部】
小さな手がコンプレックスだった。小学生のとき、手のひらを合わせて比べると、クラスで一番小さかった。みんなは他愛もなく「小さい」と言っただけかもしれないが、幼い自分はひどく傷ついた。
だから、手を使わないスポーツであるサッカーが好きになった。きっかけなんて、そんなものなのかもしれない。
それがいまやプロになり、そして…
2016年12月、最終節。
ついに『さいたまダイヤ』の2度目のリーグ優勝がかかった運命の日がやってきた。
『さいたまダイヤ』は10年前に初のリーグ優勝を果たして以来、あと一歩のところでタイトルを逃し続けていた。今日こそ2度目のリーグ優勝を決めるのだと、選手もサポーターも意気込み、スタジアムは熱気と緊張感に包まれていた。
ピッチで選手たちがウォーミングアップを続けるなか、スタジアムに選手紹介のアナウンスが響いた。
『背番号3、ミッドフィルダー、佐藤敦輝!』
『背番号9、フォワード、大和篤貴! 』
『監督、福田大和!』
今シーズンから、エースストライカーの大和篤貴は登録名を『アツキ』から『ヤマト』に変更していた。尊敬する福田大和監督が現役時代に使っていた登録名『ヤマト』を引き継いだのだ。
そして、佐藤敦輝もまた、憧れの大和篤貴が使ってた『アツキ』を登録名として引き継いでいた。
10年前、敦輝は父と一緒に初めてこのさいたまスタジアムに訪れた。あの日、ルーキーだった『アツキ』こと大和篤貴に魅了された敦輝は今、同じチームのスタメンとして共にピッチの上に立っている。
「さすがのアツキ様も緊張しているのかな?」
「違いますよ、ヤマトさん。武者震いってやつです」
運命のキックオフの笛が鳴る。
ショートストーリーをつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
小牧幸助さんの企画に参加しています。
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