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積読スコープ|毎週ショートショートnote|積読美術館

できたばかりの「積読美術館」に行ってみた。

読まずに積まれた本と、
その文化を保存・展示しているらしい。


最初の展示室は「自己啓発」。

解説板には、

「極めて良好な保存状態」
「三冊を同時購入。
 翌朝から人生を変える予定だったとされる」

とある。

「される」ではない。

これ、私の本だ。

次の部屋には『人生を変える片づけ術』。

その周りに、
20冊以上の本が乱雑に散らばっていた。

――いや、全部うちの本なんだけど。

さらに奥には、見覚えのあるソファまであった。

「ある読書家の部屋 2020年頃」

学芸員が近づいてきた。

「これは、“環境展示”です」

誇らしげに言う。

「本だけでなく、“読もうと思っていた空気”まで原寸で再現しています」

なんという後ろめたさ💦


ミュージアムショップで本を買って帰宅すると、
玄関に「別館」と書かれた看板が置いてあった。

すでに、私の部屋に、大勢の人がいた。

学芸員が叫んだ。

「本を開かないでください!
 収蔵品の価値が下がります!」


(410字)
 

『積読スコープ/常設展示 編』(了)



【お知らせ】

この後、別のショートショートをもう1本掲載しています。
 


田原にかさんの「毎週ショートショートnote」
31回目の投稿です。

今週のお題は、
「積読美術館」でした。

「積読」を展示する美術館――

もし、特定の人の蔵書が展示の対象になっていたなら……

それって、
とんでもない黒歴史の展示場になりそうです(笑)

タイトルの「積読スコープ」は、
積読美術館が、ある人の「積読」を可視化する、
というイメージです。

scopeスコープ」=「見るための視野・装置」

ちなみに、作中で学芸員が説明していた「環境展示」は、
大塚国際美術館(徳島県)の展示方法から連想しました。

環境展示
古代遺跡や教会などの壁画を環境空間ごとそのまま再現した今までにない臨場感を味わえる立体展示です。

「大塚国際美術館」公式サイトより

それでは、少し、
「積読美術館」をご案内しましょう。

入り口です。

小ネタが満載なので、3つに分けてご紹介していきます。

まず、右端。
「読まない自由の女神」です(笑)

次、左端。
「読むかどうか考える人」

最後に、真ん中。
「積読のオブジェ」です。

「未読。それは、可能性」って、カッコいいですよね🤭
 


展示室を5つ、イラストでご紹介します。
(SS本文とは少し異なる内容もあります)

第1展示室『自己啓発』

第2展示室『片づけ本に埋もれた部屋』

第3展示室『資格取得』

第4展示室『旅に出なかった旅行棚』

第5展示室『健康への意欲』

誰でも、1つや2つ(や3つや4つ)、
思い当たる節があるはず。

え?全部当てはまった!?

次の収蔵対象は、あなたかもしれません(笑)
 

最後に、ミュージアムショップで売っている、
積読美術館のオリジナル本をご紹介。
 

『積読をなくす100の方法』です!

帯にもあるとおり、読んではいけません。
絶対に、積んでください(笑)

館長室には、10冊以上積まれているそうです。
ガチですね!
 


お待たせしました!
2本目のショートショートです。

1本目の続きになっています。

それでは、どうぞ!
 


『積読スコープ/特別展示 編』

積読美術館から、
「特別展示のご案内」が届いた。

学芸員に案内されたのは、小さな展示室だ。

私にとって心当たりのある様々な内容が、
本になって並んでいる。

「これは?」

「お客様の積読です」

「いや、こんな本は見たことありません」

学芸員が一冊を手に取った。

『いつか書く物語』

――突然、思い出した。

昔、書きたいと思った気持ち。

時間ができたら。
もう少しうまくなったら。

そう言いながら、何年も経った。

「積読は、本だけではありません。
 いつかやろうと思ったまま、積んでしまったものもあります」

学芸員は「収蔵品リスト」を取り出した。

それは、人生の積読リストだった。


家に帰り、机に向かう。

まず一つ。

私は『いつか書く物語』を書き始めた。

数日後――

積読美術館から、
「収蔵情報更新のお知らせ」が届いた。

私は、その文面をしばらく見つめた。

机の上には「収蔵品リスト」。

リストに並ぶ書名の一つに指を置いた。

「いつか」を、一つずつ、
「今日」に変えていくために。


(410字)
 

『積読スコープ/特別展示 編』(了)


いかがでしたか?

「積読スコープ」、
何やら、「能力」のようでもありますね。

未経験・中途半端・先延ばしにした出来事などを
1冊の本にして可視化する――

そんな能力です✨

作中に出てきた学芸員さんをカードにしてみました!

「積読スコープ」、すごい能力ですね!

私も独立系司書――
司書の端くれとして、興味が尽きません!

この学芸員さんについては、
きのころサークルで深掘りしていきたいと思います。
 


メンバーシップ「きのころサークル」では
本編とはまた違ったさまざまな企画で、
いろいろ遊んでいます。

一緒に楽しんでくださる方、募集中です✨


本日は以上です。
お読みいただきまして、ありがとうございました。

#積読美術館
#毎週ショートショートnote

 
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