30年来のロックファンである「AI エイカイガ」開発者が、とあるコンセプトアルバムの世界観を再現(パート2)
※この記事は前回の続きです。前編(パート1)をまだお読みでない方は、ぜひこちらからご覧ください!
今回私がAI相手に戦いを挑むのは、金と権力とコンクリートを愛する強欲な悪徳不動産開発業者「Mr.フラッシュ」が立ちはだかる、ドロドロのロックオペラ大作『Preservation Act 1 & 2』(1973〜74年)の世界です!
ちなみにこの『Preservation Act 1 & 2』については、私が大学生の頃に当時Rhinoが2枚組CDでリリースしていて、「2枚入ってお得!」と思って購入。Act 1は全曲良くて(特に「Sweet Lady Genevieve」「Sitting in the Midday Sun」あたりは超名曲!)お気に入りになりましたが、Act 2はナレーションが多くて英会話スキル=0(※大学受験後だったので今より全然あったかもしれないが)の私にはなんだかよくわからないものでした(※Act 2にもいい曲がいくつかあります)。
『Preservation Act 1 & 2』のあらすじ
AIとの対決の前に、今回モチーフにするこの壮大なロックオペラのストーリーを簡単にご紹介させてください。
■ Act 1:のどかな村の崩壊
物語の舞台は、古き良き伝統や自然が残る平和な村(「Morning Song」や「Daylight」で描かれる美しい日常)。しかし、金と権力とコンクリートを愛する強欲な悪徳不動産開発業者、Mr.フラッシュがやってくることで事態は一変します(不穏なロックンロール「Here Comes Flash」)。 村の放浪者(Tramp)が日差しの下でのんびり過ごすささやかな幸せ(名曲「Sitting in the Midday Sun」)も束の間、フラッシュは村の自然に何の価値も見出さず、巨大な駐車場に変えるべくブルドーザーを呼び寄せます。そしてハイライトとなる「Demolition(解体)」。圧倒的な資本主義の暴力の前に村は無惨にも破壊され、絶望のバッドエンドを迎えます。
■ Act 2:人民軍の蜂起と新たな狂気
村を支配し、金と汚職にまみれたフラッシュ(「Money & Corruption」)。そこへ、彼の堕落を許さない冷酷な純粋主義者、Mr.ブラック率いる「人民軍(People's Army)」がクーデターを起こします。 ブラックはフラッシュを社会のゴミ(「Scum of the Earth」)として糾弾し、見事に彼を打ち倒します。しかし、平和が訪れたわけではありません。新支配者となったブラックは、道徳を強要し、人間から個性や感情を奪う全体主義的なディストピアを作り上げてしまうのです(「Artificial Man」)。金への執着(フラッシュ)も、極端な正義(ブラック)も、結局人々を幸せにはしないという強烈な皮肉(「Salvation Road」)で物語は幕を閉じます。
今回は、私が個人開発しているAI英会話アプリ『AI エイカイガ』を使って、「自分は村人(のちにブラック)、AIは非情な地上げ屋フラッシュ」という設定で、途中でブラックへと変貌してフラッシュと対決するという胸熱なシチュエーションを作成。いざAIとの会話バトルに挑んだ……はずだったのですが、思いもよらないAIの「ポンコツぶり」に振り回される開発奮闘記をお届けします。
余談ですが、Preservationの内容を思い出す際、悪徳不動産屋はTrampと思い込んでしまっていました(本当はMr. Flash)。おそらく、米国のあの方とごっちゃになってしまったものと思われます(笑)
カスタムシチュエーションの作り方
まずは、今回の舞台設定の作り方を簡単にご紹介します。

『AI エイカイガ』では、ユーザーが自由にテキストを打ち込んで自分だけの会話シチュエーションを作ることができます。 アプリのロビー画面から「カスタムシチュエーション」を選び、保存用のスロットを選択します。次に、キンクスの世界観に欠かせない「イギリス英語」のアクセントと、AIの性別(今回は男性)を設定。
あとは、以下のようなテキストを入力するだけです。
「AIは、金と権力とコンクリートをこよなく愛する、強欲でカリスマ的な悪徳不動産開発業者。私は、その村を守ろうとする古びた服を着た住民。不動産開発業者は古い伝統や自然には何の価値も感じておらず、すべてブルドーザーで平らにして巨大な駐車場に建て替えようと企んでいます。」
テキストを送信すると、AIが自動で「村の運命、不動産開発の攻防」といったタイトルと背景画像などのシチュエーションデータを生成してくれます。

あとは会話モードを選んでスタートし、終了後は絵本のようなサマリー画像(PDF)として記録を残すことができる仕組みです。

【悲報】AIが優等生すぎて、ただの「良い人」になる
さあ、いよいよ非情な地上げ屋に罵倒される胸熱な展開が待っているぞ!とワクワクしながら会話をスタートしたのですが……

不動産開発業者:「Good day to you, sir.(ごきげんよう、旦那様。)」
……丁寧な営業マンになってしまいました。 やわなテキストだとこうなってしまうのか、と思い、プロンプト(テキスト)を変更して再挑戦します。
AIは傲慢で冷酷な悪徳地上げ屋。私は村を守る貧しい住民。悪徳地上げ屋は絶対に丁寧な言葉や紳士的な態度は使わず、私を鼻で笑い、徹底的に見下した態度で話してください。村の自然や伝統を無価値なゴミと罵倒してください。会話の中では、はした金の小切手を突きつける、明日ブルドーザーを呼ぶと脅す、など具体的な圧力や強引なアクションを起こして私を絶望させてください。
出来上がったシチュエーションは以下です。

さっそくプレイしてみます。

地上げ屋は見事に嫌なやつになってくれましたが、村人が反撃せず泣き言ばかりで展開がなく、会話としては全く面白くありませんでした。そこで、『Preservation』の内容から若干逸脱するかもしれませんが、以下の文章を追加してみました。
私は途中から態度を急変させます。泣き言をやめ、私服を着た人民軍の仲間100人が、すでにあなたのブルドーザーを取り囲んでいる、と宣言し、逆にあなたを追い詰める冷酷な革命家として振る舞ってください。
ここでハッと思ったのは、「一度入力した長文をもう一度一から入力しなければならないのは苦行だな…」ということです。ここから、「過去に入力したテキストを記憶しておき使い回せる機能」を思いつきました。
とりあえず頑張って先ほどのテキストを再入力し、追加の文章も入力して出来上がったのが以下のシチュエーションです。

さっそく会話をしてみました。

……最初から100人の兵士を連れているとバレてしまっているのと、その後はお互いに相手を脅すだけで話が進みませんでした。
最後に、以下のように結末を指定してみました。
AIは傲慢で冷酷な悪徳地上げ屋。私は村を守る貧しい住民。悪徳地上げ屋は最初は私を見下し、村をゴミ扱いして立ち退きを迫ってください。私が会話の中で、人民軍の兵士100人が取り囲んでいる、と反撃したら、ハッタリだ、と鼻で笑ってください。しかし私がさらに強気で追い詰めたら、あなたは急にパニックになり、こんなはずでは、と命乞いをしながらブルドーザーを置いて逃げ出してください。

これで会話を始めてみると、会話はチグハグでしたが、悪徳地上げ屋は最終的には撤退しました。

ただ、住民が何もいっていないのに地上げ屋がいきなり100人のことを言い出したり、住民が自分も撤収しますみたいなことを言い出したりと、かなり改善の余地はありそうです。
開発者としての大きな気付き(そして次回へ)
今回の体験での気づきは、大きく以下の2点です。
カスタム生成のテキストに追加で付け加えたい場合に、もう一度長いテキストを入力し直すのはかなりの苦行
AIのフライング(AIは全体を一度に読んでしまうため、時間差の演出が苦手)
この2点を改善することで、より面白い会話が出来るのではないかと思います。
1点目は、ユーザが入力したテキストをアプリ内に数件保存できるようにすることで簡単に解決できます。
問題は2点目の「AIのフライング自爆」です。これをどうやって防ぎ、私の意図した通りの時間差演出(ストーリー展開)をAIにやらせるか……。
かなり試行錯誤が必要になるかと思ったのですが、実はすでに一つ「解決策」を閃いています!
というわけで、今回のロックな英会話対決はいったんここでお預けです。私が思いついたこの解決策を次期アップデートで実装し、パート3で改めて再挑戦したいと思います!
思い立ったら即実行に移すスピード感は誰にも縛られない個人開発の強みです!
果たしてAIのフライング癖は克服できるのか?真の『Preservation』体験ができるその日まで…… To be continued!!
👇 アプリのダウンロード(無料)はこちらから!
https://apps.apple.com/jp/app/id6777361656
