┃ちゃんとしなくていい|38歳ワーママ、大腸がん手術のそのあと
大腸がん手術から7か月が経った頃。
手帳に書いていた言葉がいつも似ていた。
具体的な出来事を書いているわけではない。
でも、決意のような。悟りのような。そのような言葉ばかりが並んでいた。
“ ちゃんとする私から感じる私へ ”
これまで私は、ちゃんとやること、ちゃんと行動することで、安心してきた。
考えて、決めて、動く。そうしていれば、大丈夫だと思っていた。
感じることは、めんどくさかった。
感じてしまうと、向き合わなければならない。
だから、やるほうが楽だった。
気づきたくない。
ただでさえ、いろんなことに気づいてしまうから。
でも、少しずつ変わってきた。
感じることに、真正面から光が当たるようになった。
無理して動くことではなく、心が喜ぶことをしたい。
自分でコントロールしようとすることを、少しずつ手放したい。
“ 喜ぶ頑張り方 ”
“ 頑張り方のリニューアル ”
そのような言葉も書いていた。
頑張ることをやめたいわけではない。
ただ、今までと同じ頑張り方では、もう違うのかもしれない。
置き去りにしていたことに、耳を傾ける。
忙しくて、向き合えなかった声。
その声を聞いて、退職を伝えた。
すると、少し楽になった。
目指していた試験が終わって、
やることがなくなったときには、
心の余裕って大事とも思った。
今までなら、やることがないことに、不安になっていたかもしれない。
何かしていないと、落ち着かなかった。
でも、何もしない時間があることで、自分の心が見えてくることもある。
“ 自分の人生は、自分でつくりあげる ”
周囲の目を気にして、好きなものを選べなかったこと。
不安も、決意も、揺れる気持ちも、そのままでいい。
考えすぎていることがないか
それって、今考えることなのかな
そのような問いも、手帳に残っていた。
理不尽なことが、どうしても無理になった。
「どうして、そんなに行動にうつせるの?」
そう聞かれることもあった。
たしかに私は、行動する力はある。考えたら、すぐに動く。それは昔から、
私の強みだったと思う。
でも、その頃になって、ふと思った。
もしかしたら、今まで動かしていた声は、
いつも本物だったわけではないのかもしれない。
「こうしたほうがいい」
「こうするべき」
「ちゃんとしないと」
そんな声に動かされて、私はずっと行動してきた。
行動する力はある。
でも、いつも自分の本音から動いていたわけではなかった。
術後7か月。
何か大きな出来事があったわけではない。
ただ、手帳には、そのような言葉が少しずつ増えていた。
心の声を置き去りにせず、
そこから生まれた小さな決意を、
ひとつずつ積み重ねていた時期だったのだと思う。
