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「都合の押し付け」か「当たり前の徹底」か。2つのケーキ店に見る、プロのスタンスと幸福論

皆さん、こんにちは。税理士法人ともに代表社員の入江です。

私たちの家族はみんなケーキが好きで、日頃から近所にある何軒かのケーキ屋さんに足を運んでいます。先日、対照的な2つのケーキ屋さんを訪れた際、ふとビジネスの本質、そして「働くことの幸福」について考えさせられる出来事がありました。

立地に頼る店と、文脈を紡ぐ店


1軒目は、駅前にあり外観も洗練されている、よく目立つお店です。 しかし、いざお店に入ろうとすると、店頭には1枚の張り紙がありました。詳細は割愛しますが、そこに書かれていたのは「あれは対応できない」「これには応じられない」といった、お店側の都合を優先したルールの羅列でした。

一方、私たちがよく利用するもう1軒のケーキ屋さん。こちらは駅の目の前というわけでもなく、外観も1軒目ほど華やかなわけではありません。 しかし先日、そのお店に入った瞬間、奥から出てきた方(おそらくオーナーご本人だと思います)が笑顔でこう声をかけてくれました。

「いつもありがとうございます! 今の時期は、カボチャのタルトとモンブランが旬でおすすめですよ」

どちらのお店からケーキを買いたいか。その答えは言うまでもありません。

結果として、私たちはその後者のお店で3,000円分のケーキを購入しました。 見方を変えれば、あの駅前のお店は自分たちの都合を優先した代償として、目の前の「3,000円の売上」を直接的に失ったことになります。しかし、ビジネスにおいて本当に恐ろしいのは、彼らが失ったものが「その日の3,000円だけでは決して済まない」という事実です。

半年程の間に数回来店しただけの顧客を記憶し、感謝を伝え、その季節に最も価値のあるものを提案する。これは特別な魔法でも高度なテクニックでもなく、人と人との関わりにおける「当たり前」の姿勢です。 以前のコラムで、とある飲食店の清掃や挨拶の綻びについて触れましたが、本質は全く同じです。立地や外観の良さにあぐらをかき、この基本を疎かにしてしまえば、お客様は静かに、そして二度と戻らない形で離れていくことになります。

そのスタンスで、本当に幸せなのだろうか


この対照的な2つのお店を見ていて、私はふと個人的に感じたことがあります。 それは、あの駅前のケーキ店のように、自分たちの都合を押し付けるスタンスで仕事をしていて「果たして本当に幸せなのだろうか」ということです。

もちろん、どのような方針で経営するかは個人の自由です。効率化を極め、自分たちのルールを最優先する働き方もあるでしょう。 しかし、売り手側の都合ばかりを前面に出し、お客様との温かい文脈や対話を切り捨ててしまうような仕事の仕方に、私はプロフェッショナルとしての真の喜びを見出すことはできません。

相手の状況を把握し、喜んでいただける提案をし、感謝を交わす。そうした「当たり前の徹底」の中にこそ、仕事のやりがいや人としての魅力は磨かれていくはずです。

私たち税理士法人への強烈な戒め


これは、私たち税理士法人の仕事においても全く同じことが言えます。

税理士という仕事は専門性が高いため、気を抜くとすぐに「専門家の都合」をお客様に押し付けてしまいがちです。「この書類がないと対応できません」「私たちの管轄外です」と、無意識のうちに自分たちのルールを盾にしていないだろうか。

過去の文脈を大切にし、常に「今の旬(最適な提案)」をお届けできているか。当たり前のことを、当たり前に徹底できているか。 その日々の積み重ねの中にこそ、お客様との強固な信頼が生まれ、ひいては私たち自身の「働く幸せ」や静かな誇りが宿るのだと確信しています。

これからも、外形的な見栄えや小手先のルールに頼るのではなく、本質的な「当たり前」を研ぎ澄ませる組織でありたいと、2つのケーキ店を通じて強く再確認させられた、ある日の出来事でした。

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