【気になるコーゾー外食ニュース#37】池袋ヨドバシ飲食フロア「ダイニングパーク」の全貌から見える、空中階リーシングの地殻変動。フードホール全盛期に、なぜヨドバシは“超強力専門店”を集めるのか?
6月15日に第1弾のグランドオープンを迎えた「ヨドバシHD池袋ビル」の8階レストランフロア(旧・ダイニングパーク池袋)。蓋を開ければ、六厘舎、回転寿司 根室花まる、CAFÉ AUX BACCHANALES、越後屋 源六、串亭の5店舗だ。外食経営者なら誰もが知る、圧倒的な集客力とブランド力を持つ「モンスター級」の専門店を並べてきた。
さらに7月には麻辣湯の毎味毎客、8月には御徒町の大行列店「鴨to葱」が控える。いま商業施設の飲食リーシングといえば、お洒落な「フードホール」や「横丁スタイル」で緩く客を回すのがトレンドだ。だが、今回のヨドバシの仕掛けはその真逆。徹底的な「目的来店性(Destination Dining)」に特化した、高回転・専門特化型のキラーコンテンツを打算的に配置してきた。
ここに、運営が西武からヨドバシグループ(ヨドバシ建物)へ移ったことによる「リーシングのパラダイムシフト」の本質がある。百貨店時代の上品なファミリー・中高年向けのハレの日MDをバッサリと解体し、秋葉原や梅田で培った「圧倒的キャッチーさ×縦の動線(シャワー効果)」を池袋に移植したのだ。
6月30日には地下1階〜地上6階のヨドバシカメラ本体が全面開業する。下層階で家電やホビー、アニメグッズを爆買いした国内外の客が、そのまま垂直動線で8階・9階へ吸い上げられる図式は、すでに約束されたようなものだ。一方で、裏では激しい新陳代謝も起きている。6月30日をもって、西武時代からの伝統の象徴だった「鰻 伊勢定」と和カフェ「京はやしや」の2店舗が閉店する。
■ コーゾー目線:一部のリーシングコンサルの間では、ヨドバシのトップダウンの強さやワンマン体制に「仕事がしづらい」との声も聞こえる。だが、この圧倒的なスピード感と、数字(坪効率)を執徹的に追い求める姿勢は、既存の百貨店デベロッパーには真似できない強さでもある。
注目すべきは、6月30日に閉店する「伊勢定」「京はやしや」の空き区画(第二波のリーシング)にヨドバシが何をハメ込んでくるかだ。池袋という「サブカルの聖地」かつ「インバウンドの超一等地」というポテンシャルを考えれば、足りないピースは明確だ。客単価1万円以上を狙えるストレートな「インバウンド特化型の和牛・焼肉業態」、あるいはヨドバシのホビー売場と強烈なシナジーを生む「常設型のIP(知的財産)・キャラクターカフェ」だろう。
9階屋上の「グリルピア」を手がけるロピアグループのOICも含め、今回のリニューアルの舞台裏には、外食M&Aやグループ再編を生き抜いてきた一筋縄ではいかない猛者たちの顔ぶれが並ぶ。東口の人の流れを西武(H2O・高島屋連合)から完全に強奪しにいくヨドバシのフード戦略。この「尖った専門店街」への回帰が、今後のターミナル駅前モールの勢力図をどう塗り替えるか。外食の未来を占う上で、この夏の池袋からは目が離せない。
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