図面から家を建てたら「コピー」になる? 二次元と三次元をまたぐ著作権の盲点と、風景写真のセーフな境界線
著作権の侵害といいますと、コピー(複製)が最たる行為というのは共通の認識かと思います。
絵だったり、文章だったり、音楽だったりは生活の中では身近ですね。コピー機、トレーシング、写経、録音や録画もそう。
ちょっと高尚になると美術品とかブランド品というのもありますかね。贋作、つまりこれもコピーですからは著作権法違反です。
データのコピペもそうでしょうかね。
そんな中でも、盲点となる面白いコピー(複写)例をご紹介しようかと思います。
図面です。
ここでは図面他建築にまつわる著作権のお話を考えたいと思います。
二次元から三次元へのコピー
ここでインダストリアルデザインの建物は著作権の対象外、と言いました。
そうなんですよ。
建物自体はよっぽどの芸術的独創性がないと著作権ってつかないんです。美術館とか、有名な建築家のデザイナーズハウスとか、こないだ一部完成したサグラダ・ファミリアみたいなやつとかね。
なぜかというと、建物は「人が暮らす・仕事をする」ための実用品でもあるからです。もし普通の住宅デザインを誰かが独占できてしまったら、社会全体が困りますんでね。
しかし図面は別。
外観がどれほどよくあるものだとしても、それを設計している図面は人の手で作られ、手直しされて、設計されて描かれているので、図面そのものは創造的な著作物として扱われるわけです。でもサグラダ・ファミリアって図面通りに作られてんのかな。謎。
著作権がつきますので、当然勝手にコピーしたりとかはダメ。会社の業務として描いたものなら、描いた人自身もおいそれと勝手に持ち出したりコピーしたりはできません。
それだけじゃなく著作権法の条文(第2条第1項第15号)によると、図面を元にしてミニチュアや本物の家を建てちゃったら、それもコピー扱いされるんですって。図面は図面の著作物、建物は建物の著作物と全然分類が違うのに。
コピーというと2次元なら2次元、3次元なら3次元と、同じ形のものを作り出すイメージがあるので、これはなかなか面白い規定だな、と思いました。
風景写真は著作権上どうなるの?
建物はよっぽどじゃないと著作権がつかないといいましたが、じゃあ、著作権がついてんだろうな、と思うような建物を写真にとるのは著作権違反なんでしょうか?
私、古民家とか文化財とか、そういう建物とかそれを含む風景の写真を撮るのが好きなので、ちょっとためらってしまいます。
結論から言うと、国内に関して言えば原則としてどんな建物であっても(外観の)写真撮影は完全に自由に行えます! 法的には(別の法律の問題は後述)。
まず、人が住んでない古民家や歴史的な文化財は、著作権自体の保護期間(だいたい70年)も過ぎているため、どんなにデザイナーズでも法律上の制限は原則ありません。
さらに、東京スカイツリーや現代の高名な美術館など、まだ著作権が残っている建物であっても大丈夫。
著作権法第46条に「屋外に恒常的に設置されている建築の著作物は、自由に利用できる」という大原則があるからです。
とはいえ、この46条にも例外(やってはいけないこと)があります。
それが「建築物としてそっくりそのまま真似して建てること」や「建物のミニチュア模型・プラモデルを無断で作って販売すること」です。
つまり、建物のデザインを「立体的にコピーして売る商売」はアウトになります。これはベルヌ条約などで世界的にも共通のルールです。
逆に言えば、「写真(2次元の平面)」にする行為であれば、SNSへの投稿はもちろん、ポストカード、カレンダー、あるいは旅行記の写真集を同人誌として有料販売する行為であっても、法律上はすべてセーフ(合法)扱いになります。国内なら。
「カタログみたいな記録写真だからダメ」なんて基準もありません。屋外の景色としてそこにある建物なら、誰でも自由に写真に撮って、商品として売っていいことになっているのです。国内なら。
ただし有名な建物や企業のシンボルとなるような建物を、消費者が「この商品はそのビル(企業)の公式なものだ」と勘違いするような使い方はアウトです。あとプライバシー、配慮しような。これは世界中どこでもそう。
世界的に知名度の価値にタダ乗りして商業的に稼ぐのはダメ、というルールになってます。
知名度なんかに頼らず、対象物の価値を自分というフィルターを通してから表現する。
それが重要なわけです。
中と外では事情が違う
外は撮影OKなら中もOKだよね……と考えがちですよね。
実は外と中では法律が違うんですよ。国内でも。
外観の著作権は「著作権法第46条(屋外著作物の自由利用)」でつきませんが、中はこの適用外になります。屋外って書いてるしね。
なぜなら店内は「著作権がついてるもの」が格段に増えるから。
写真に写り込んだ絵画やアート作品の装飾、動画で拾ったBGM……全部著作権がついています。
さらに店内の一切はその風景如何も含めてオーナーの私有地(管理区域)ですから「施設管理権(民法上の所有権の応用)」が適用されるわけです。
パパラッチは外から撮ってるからセーフだよね? みたいな言質をみたことありますが、外観ではなく中を撮ってますからアウトです。壁の隙間も、ビルからの望遠も、壁の上からカメラだけ覗かせてシャッターきるのも、中が映り込むのは46条適用外。全部のぞき扱いのれっきとした犯罪です。
さらにオーナーが「うちは撮影禁止です」「SNSへのアップはNGです」と決めていれば撮影は完全アウトになります。
ワガママを通そうとしない!
それでも「撮影自由」と書かれていないカフェの写真がネットに大量にあるのはなぜか。
店側のご厚意に過ぎません。
一言、写真をどこまでとってもいいか、SNS等に載せていいか、尋ねるのが最低限の礼儀というものでしょう。
著作権では許されても、肖像権(プライバシー権)とか土地の所有権(占有権)的にアウトというのはよくあります(これが別の法律の問題)。
これ、撮り鉄とかもそうで、電車を撮るだけなら合法だけど、それで勝手に物を壊したり業務妨害したら、器物損壊や業務妨害になるんよ。
著作権は「関係する権利の問題も含め両方の権利を同時にクリア(両立)しなければセーフ(適法)にならない」つまり他の法律の問題がでたら、制限をうけるものです。
節度と謙虚と感謝を持って、風景とは付き合っていきたいものだと思います。
※本記事は知的財産検定3級の学習記録をもとに、著作権法の条文と各社の調査報告書を参照してまとめたものです。
法的な判断・アドバイスを提供するものではありません。
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