羽衣伝説 天からのファンタジーHagoromo Densetsu Vol.III
第七話
「月より授かりし命」
そして――
婚礼の儀式は、静かに、厳かに進んでいきました。
やがてその最後に、
この国に長く伝わるという一本の笛が、
ごんぞうの手へと託されました。
「この笛は――
地上界で吹けば、私たちの月の世界へと繋がり、
あなたが望む場所へと導いてくれます。
また、この世界で吹けば、龍神を招き、
地上へと帰ることができます。
そして――
あなたが困った時には、
この笛の響きにより、必要なものが必ず現れるでしょう。
けれど……
もし、心が曇ったまま使えば、
その力は、反対の形で現れてしまいます。
どうか、清らかな心で――
お使いください」
その言葉を胸に刻み、
婚礼の儀式は、無事に終わりを迎えました。
その後、ごんぞうは、
それぞれの神々のもとを訪ね、挨拶をして回りました。
海の底のような部屋。
山の中にいるかのような部屋。
湖のように澄んだ水に満ちた部屋――。
不思議な世界を巡りながら、
すべての挨拶を終えると、
再び最初の場所へと戻ってきました。
そして――
またいつか、この場所へ来ることを約束し、
もとの衣へと着替えたごんぞうは、
授かった笛を、静かに吹きました。
その瞬間――
銀色に輝く龍が現れ、
ごんぞうはその背に乗せられました。
気がつけば、
いつもの自分の家へと、戻っていたのです。
やがて――
天女と夫婦となったごんぞうは、
深く愛し合い、
天女は新しい命を宿しました。
嵐の夜。
その子は、この世に生を受けました。
光る衣をまとったかのような、
不思議な輝きを持つ男の子――。
その名を、
「平安(ひらやす)」といいます。
平安は、健やかに育ち、
学びにおいても優れ、
武の道においても、強くたくましい子となりました。
そして何より――
歌や笛を奏でることに長けた、
特別な存在へと成長していったのです。
やがて平安は、都へと上り、
多くの人々を守ることのできる者となりました。
それは――
月と地上を繋ぐ、ひとつの血の物語。
静かに、そして確かに、
受け継がれていく光の記憶だったのです。
次回はこちら👇
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