羽衣伝説 天からのファンタジーHagoromo Densetsu Vol.III
第五話
「羽衣に包まれて」
「今宵は月も美しく、
ごんぞうさんをお連れするには、とてもよい日なのです……。
それに――
今宵お連れできねば、
もう私は、こちらへ来ることができなくなってしまいます。
どうか……お願いいたします」
天女のその言葉を聞きながら、
ごんぞうはしばらく黙って考えていましたが、
やがて静かに口を開きました。
「……では、二つ約束をしてくれますかな」
「はい」
「一つ目は――
必ず、この若さのままで、わしをこちらへ返してくれること。
そして二つ目は――
あなたたちの世界の“鳴り物”を、ひとつ、わしにくれること。
わしは風流なことが好きでな。
それを、大切にしたいのじゃ」
天女は、その願いを聞き、
少し困ったような表情を浮かべました。
けれど――
やがて静かに、こくりと頷きました。
「……はい。
必ずお守りいたします」
そして天女は、
自らがまとっていた羽衣を、
そっとごんぞうの身体に巻きつけました。
「さあ――行きましょう。
しばらくの間、ごんぞうさんは眠っていてください」
その言葉を最後に、
ごんぞうの意識は、
ゆっくりと、遠くへとほどけていったのです。
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