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【イベントログ】坂本龍一の遺産|耳を洗って映画を観るということ|109シネマズプレミアム新宿開業3周年記念企画スペシャルファンミーティング

こんにちは、ヒロミヤです。

映画はお好きですか?
最近、映画館で映画を観ましたか?

これは内緒の話ですが。
私、もし観たい作品が上映中なら、優先的に選ぶ映画館があります。

109シネマズプレミアム新宿。

歌舞伎町の入口にそびえ立つ白く光るタワービル。
天下の東急が誇る歌舞伎町タワーの中にある、とても落ち着いた雰囲気の、そしてラグジュアリーな映画館です。

今日はその開業3周年記念ファンミーティングに参加してきた話です。
お目に留めていただき、ありがとうございます。
おつきあいいただければ幸いです。


109シネマズプレミアム新宿の魅力

初めて利用するときには、もちろん、躊躇しました。こちらがそのシートの価格設定です。

一般料金 ・ シネマポイント会員
Class A 4,500円 ・ 4,000円
Class S 6,500円 ・ 6,000円

ちょうどお試し価格期間で、お得に観られるというので、勇気をもって出かけてみました。

TOHOシネマズ新宿に行くときに、何となく眺めていた、できたての東急歌舞伎町タワー。

ドキドキしながら出かけてみた歌舞伎町。
混雑を避けて西武新宿駅横の通りから入ったので、映画館のある9~10階のフロアにはエスカレーターで向かいました。

この延々と上へ上へと斜めに押し上げていくエスカレーター、素晴らしく眺めがよいのです。ふと外を眺めれば、新宿駅を中心にサイバーパンクな街が広がるのです。とくに夕景から夜景が素晴らしく、何度みてもわくわくします。

『シティ・ハンター』が好きな方なら、きっとピンとくる光景。
私の脳内ではPSY・SのCHAKAさんのソウルフルな『Angel Night~天使のいる場所~』が流れはじめます。

そして帰り、下りのエスカレーターを降りるときには、足下の夜景のゴージャスさに思わずTM networkの『Get Wild』が流れてくる(ような気がする)というわけです。

109シネマズプレミアム新宿で、私が好きなところを挙げてみましょう。

✓音がよい。
✓座面が広くクッションのよい椅子が素晴らしい。
✓荷物置場がかなり広い。仕事帰りの大きいバッグを置いてもゆったり。傘まで立てかけられる。(そのうえ、さらにコインロッカーもある。)
✓音がよい。
✓上映1時間前からチェックインOK、ラウンジでぼーっとできる。
✓ラウンジがゆったり。人口密度が低い。
✓しかも、ポップコーンとドリンク付。
✓ドリンク&フードの入手に、ほぼ並ばない。
✓スタッフさんが親切。急かされる感じがしない。
✓化粧室がいつも清潔で、広い。ストレスがない。
✓しかも、化粧室からの夜景がとてもきれい。
✓そして、何より、音がよい。

価格はそれなりですが、環境と時間、体験の対価と思うと、総合的には満足度がとても高いなぁと納得がいってしまうのでした。


109シネマズプレミアム新宿開業3周年記念企画スペシャルファンミーティングへ!


前置きが長くなってしまいました。
さて、5月某日、申し込んでいたファンミーティング(ファンミ)への招待メールが、ラッキーにも届きまして。
2026年6月6日(土)10時~109シネマズプレミアム新宿開業3周年記念企画スペシャルファンミーティングに参加してきました。
今回も1時間前開場。
とはいえ、土曜の朝は少しのんびりしたかったので、9:30をめざしていきました。

受付を済ませてゲートの中へ。
ラウンジのソファーは9割方、埋まっていました。(実は、たまたま別の作品の上映開始と重なっていたようです。)

開いているところにそっと座り、ポップコーン&ドリンクをもらいに行ったりします。
一応、ポップコーンのおすすめを書いておきますね。

サイズ:M(Lも選べます)
ポップコーン:ハーフ&ハーフ(キャラメル・塩)+チョコレートスナックのトッピング

ポップコーンのハーフ&ハーフ+チョコスナック
(この画像は以前に撮影したものです)

添えられたおしぼりもソフトで大判、ふかふかタイプで気持ちいい。

シアター7入り口

開場を待つのも苦にはならず、むしろ寛いですごしていました。
周りのお客様は、何となく落ち着いた雰囲気の方が多いようで、年齢層は全体的に高めだったとお見受けしました。男女は半々くらいで、おひとりさまがほとんどだったのではないかと思います。


新宿ミラノ座から109シネマズプレミアム新宿へ|坂本龍一氏の問いかけ

*画像撮影は一部を除いてOKでした。(動画の撮影はNG。) また、SNSへの掲載についても、運営の方々に口頭で確認をとりご快諾いただいております。ご厚意に感謝します。

シアター7スクリーン

はじめは、まったりのんびりと参加するつもりでした。
司会のマツムラ氏のナビではじまったファンミ。109シネマズのヒロタ氏(お名前がちゃんと聞きとれていないかもしれません、すみません)の熱のこもったお話のごく序盤、かつてこの地で賑わっていた新宿ミラノ座の画像がスクリーンに大映しにされたとき、空気が一変しました。
周りで静かなどよめきが起こりました。
本当に懐かしくて、私も思わず息を飲みました。

在りし日の新宿ミラノ座

子どもの頃、父に連れられていった映画館。
中学生、友達とはしゃぎながら観に行った映画。
デートっぽかったけれど、進展がないまま終わった友人の横顔。
高校生の頃、初めて一人で観に行き、気に入って何度か足を運んだ単館物。
学生の頃、数百円を惜しんで、諦めたパンフレットの表紙。
深夜の旧作上映館。
映画前に数分間上映されているのがお約束だったニュース映像など、など、映画館にまつわる記憶箱の蓋が外れたように次々に蘇ってきました。

気づけば、バッグのポケットに入れていたPLOTTERを取り出し、“新宿ミラノ座”と書きつけはじめていました。(典型的なメモ魔しぐさ)

この日のメモを書いたPLOTTER

元々、このエリアの再開発にあたっては、内閣府から、インバウンドの観光拠点になるような施設を、というような依頼があったとか。

その構想を練り、理想の映画館、極上の音響を模索するプロジェクトの中で、依頼したい人物として挙がったのが、坂本龍一氏

✓映画音楽のクリエーターとして世界的に活躍
✓無類の音響マニアで、音楽にも精通
✓新宿高校出身で、土地に縁がある
✓映画そのものにも造詣が深い

非常に理想的な人物ながら、アプローチするには躊躇もあったそうです。
結局、数々の映画館の音響を手がけていたサウンドエンジニアの佐藤氏(イースタンサウンドファクトリー社長)を介してマネージャーさんに連絡をとったところ、2020年10月2日、ご本人から直々にメールをいただけたのでした。
この時の嬉しそうなヒロタ氏の笑顔が印象的でした。

当時は、コロナ禍の真っ只中
オンラインミーティングの中での坂本氏の問いかけで、映画館の音響だけではなく、環境整備にまで見直しがおよんだ話は『プロジェクトX』そのものという感じでした。

坂本龍一氏から提起されたのは“曇りのない正確な音”をめざすということ。

曇りのない正確な音(画像の人物は佐藤氏)

それを実現するための要素は次のとおり。

✓ルームアコースティックス(残響など)
✓パワー
✓ワイヤリング

「音響というのは、スピーカーだけよくすればよいというものではないので」というのが氏の考えでした。

「この建物や周辺エリアの電流(パワー)は安定していますか?」
そう訊かれた運営側も、すぐに調べ、電力設備を見直したそうです。

「ケーブル、パワーアンプは何を?」
Bunkamuraスタジオでテストと検討を重ねた結果、ケーブルは独自開発、パワーアンプはリニアリサーチ社の製品を選択。

「(シアター内の)吸音材はどうですか?」
とにかく残響を除くために、吸音材をしっかりと入れ、吸音性能を高めることで、静音環境を整えたそうです。

きっと大変だったに違いない、その開業までの日々を楽しげに語るヒロタ氏。極上の映画館をめざしたそのプロジェクトは、チーム一丸となるような充実したものだったことでしょう。
職業人として、少しうらやましくなりました。


耳を洗う、耳を開く


坂本龍一氏が理想に掲げる音響を整えるための環境づくりは、別の側面からも見直しが必要でした。

オーディエンス側のコンディションを整える、という課題です。

「そこまで、マネジメントできるものなの?」
当時のプロジェクトチームの皆さんと同じような動揺を、私も一瞬感じたような気がしました。

「歌舞伎町は雑踏だから、耳の中にはさまざまな音が残っている。外から中に入ってきたときに“耳を洗う”無音室を作れませんか?」「聴く人の耳を洗い、リセットして“耳を開く”ような静音空間がほしい」

何と。仰ることが、教授すぎる!

すでに建物の設計は決まっており、構造上の大きな変更は困難。そこで、静音環境に近い状況を実現する方法として選ばれたのが、ラウンジを満たす音楽で調整しようという試みです。

この時点で、無理を承知で、坂本龍一氏に作曲を依頼。以下のアイテムがこの世に生みだされたのでした。

✓ラウンジ内のBGM
✓シアターのサウンドロゴ
✓開場の合図

2022年秋に完成したシステムのチェック。
作品到着が2022年12月末のこと。
坂本龍一氏による環境を満たす音楽で、この希有な空間が完成したのでした。

システム完成後、総仕上げのサウンドチェック
2022年秋に完成したシステムについて、現場でサウンドチェックする際に使われた楽曲も実際に会場内で聴くことができました。

✓タルコフスキー監督『鏡』バッハ
✓タルコフスキー監督『惑星ソラリス』バッハ
✓ベルトルッチ監督『シェルタリング・スカイ』坂本龍一
(*サントラの詳しい曲名までわかりませんでした。)

実は、坂本龍一氏にも立ち会っていただく予定が、なかなか実現しませんでした。
がんの再発により、体調不良によるリスケが続き、最後のリスケが2023年3月。

しかし、願い叶わないまま、3月28日に坂本龍一氏、ご逝去。


水琴窟、『夢十夜』、曖昧な正確


続いてサウンドエンジニアリングの話をしてくださったのが佐藤氏でした。
109シネマズプレミアム新宿と坂本龍一氏をつないでくれた立役者でもある方です。

佐藤氏によるエンジニアリングに関するお話は、私の理解をはるかに超えていたので、(各スピーカーの波形のスライドなど、とても貴重な資料をたっぷり見せてくださったのですが、) 正確なことを書く自信がありません。印象に残ったことだけ、かいつまんで書き記します。

「サウンドをチューニングするときのテーマは“曖昧な正確”としました」

英語表記にするときも、あえてAIMAIとするそうです

なんでも、「スピーカーが消えたかのような空間が作れたら、坂本さんが喜ぶ」のだそうです。
それが“曇りのない正確な音”だとすると、最後の課題がチューニングのテーマ。
テーマが決まらないと本調整に入れないのに、佐藤氏の中で、肝心のテーマがなかなか決まらない。

2020年11月。
佐藤氏は坂本氏の日本のアパートメントを訪ねます。オーディオの不調で呼ばれたのです。その折、佐藤氏が「成田の水琴窟」の動画をiPhoneで坂本氏に見せたところ、案の定、気に入ってもらえました。

坂本氏のアパートメントの中には本も沢山あり、その中で、とくに夏目漱石全集が目に留まりました。

「夏目漱石は読んだことがないです。何から読めばいいですか?」
『夢十夜』がお勧め、というのが坂本氏の返事でした。

佐藤氏は、すぐに『夢十夜』を入手し、読みました。
すると、”開いた“感覚が掴めたのだそうです。
それまでしばらく、自然の音や音楽を、いくら聴いても研ぎ澄まされてこない、特別な感覚が開かないと苦しんでいたところが、『夢十夜』をきっかけに”開いた“感じ。

音で結ばれた、比類なきアーティストと卓越したエンジニアの感性が響きあい、チューニングのテーマを決める最後のピースとなったのが水琴窟と『夢十夜』というのが、何だかとても幸せな感じがしました。
お二人の深い絆がしのばれました。

”正確なもの“をつくり、そして“曖昧にする”。
“曖昧な正確”
スピーカーは頭上にはありません。
それなのに、上から降ってくる感じに音をつくる、というのです。

そのチューニングのためのサウンドチェックに使った曲の例です。

✓イニャリトゥ監督『レヴェナント:蘇りし者』より『チャーチドリーム』坂本龍一
✓デヴィッド・ボウイ『Five Years』
✓バッハ『ブランデンブルク協奏曲』アリア

ちなみに、シアター2・6・7の音響は、音圧を出そうとすれば出せるし、SSRE (サイオンスーパーリアルエフェクト(ジーベックスによる開発))は残響も足せるそうです。

以前、このシアターでライブ映像を観た時、音の素晴らしさに驚いたことがあったのを思い出しました。Vaundy『REPLICA』だったのですが、ライブ会場とも、自宅のお手軽な装置で聴く時とも、まったく別次元の音の世界でした。

さらにこのシステムは、作って作りっぱなしではありません。メンテナンスも怠りなく、また今でも、音響は作品ごとに調整しているそうです。

「今日がお誕生日なので」と、高橋幸宏氏のライブ映像『Saravah Saravah! 』が流れたのも、とても印象に残りました。演奏する髙橋さん、細野さん。

あの尖ったファッションで尖ったサウンドを世界に放ったYMOの皆さんが、世が移り歳を重ねても、ずっとそれぞれの音楽を奏で続けてきた。
1980年初夏『ライディーン』の曲にあわせて側転していた小学生の頃の自分にもそっと教えてあげたいような気持ちになりました。

「この映画館は、サイレントコリドー(静音回廊)からロビーへと入っていくところからこだわっています。坂本龍一が守護神、彼が基準であって、坂本龍一を喜ばせる音なのです」
109シネマズプレミアム新宿という映画館が、極上の音を讃える神殿のように思えてきました。

TOHOのゴジラの背中を眺めつつ
お土産もいただきました

場内が静かな興奮に満ちた、素晴らしいファンミーティングでした。
私の心の中で、全私が、スタンディングオベーション。
3周年、本当におめでとうございます!!!

サブスクで気軽に作品が観られる現代だからこそ、映画館での体感・体験がまた別次元のものに感じられます。もっと感覚的で、立体的で、芸術的で、没入感のある体験として。映画館に足を運んで、映画をもっと贅沢に、まるごと楽しみましょう!

追伸 『Michael』の上映も楽しみですね♪

ファンの声で再上映が決定している作品2本

*素人の走り書きイベントレポにつき、記載に誤りがある恐れがあります。関係者の皆さまにご迷惑をおかけするといけません。何かお気づきのことがありましたら、やさしく教えていただければ幸いです。すみやかに修正いたします。

追伸2 過去記事より
▼Theater MILANO-zaも歌舞伎町タワーの中にあります▼

▼2025年12月『国宝』イベントも109シネマズ▼


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