#21【実録】ある日突然ベンツの請求がきた話[前編]
その通知がきたのは
出産して1ヶ月経った頃。
再婚したばかりの時だった。
———
娘との散歩を終えて帰宅し
ポストの中のチラシや手紙を
ごそっとテーブルの上に置く。
いつものように
一枚ずつ仕分けしていた。
ん?
オリコから私宛?
———
昔車のローンを組んだことはあった。
でも
それもとっくに支払い済み。
この住所に
オリコから何かが届くこと自体
初めてだった。
なんだろう。
訝しげに
封を開ける。
でてきたのは
コンビニ払の請求書。
———
全然意味がわからない私は
一旦フリーズした。
そしてもう一度
宛名と住所を確認した。
私のだ。
車の車種は
ベンツとなっていた。
ベンツ?
購入した覚えも
運転したことすらない。
———
わけがわからない。
とりあえず誰かに話したくて
リビングでテレビを見ていた
旦那に話しかけた。
「ねぇーオリコから請求書届いて
ベンツの支払いってなってるんだけど…
意味不明なんだけど」
「え!まぢで?
それ払っちゃだめだよ」
「買ってないから
払わないけど怖いじゃん」
「最近そーゆー詐欺
多いんだって!」
———
詐欺ー??!
なるほど。
そういうことか!
と即座に納得した。
世の中こんな
手の込んだ詐欺があるのか。
そう思うと
少し感心してしまったくらいだった。
だって
ベンツなんて買った覚えもない。
こんなのに
引っかかる人いるのかな?
そんなことを思っていた。
———
ところが…
それからも
オリコを装った請求書が
定期的に届くようになった。
一通。
また一通。
そしてまた一通。
こんなに何度も届いたら
もしかして本物なのかも…
そう思って
払ってしまう人もいるかもしれない。
———
そんな疑惑の請求書が
届き始めて
1年が過ぎた頃。
いつもとは違う通知が届いた。
差出人を見て
私は手を止めた。
大宮の裁判所だった。
……裁判所?
なんで?
———
封を開ける。
そこに書かれていたのは
【訴状が提出されたため
当裁判所に出頭する期日及び場所を
下記のとおり定めましたので
同期日に出頭してください。】
頭が真っ白になった。
そして
原告の名前を見た。
株式会社
オリエントコーポレーション。

#21【実録】ある日突然ベンツの請求がきた話[後編]へつづく…
