商人(息子)、ハグで旅立ちICOCAチャージ、深夜の「ママー。」からドヤ顔でイカリスーパーに寄った件。攻略日記Vol.65
前回のあらすじ
母のあずかり知らぬところで、
自力でパン教室師匠とのLINEお泊まり交渉を成立させてきた商人(息子)。
あれから1週間。
ついに単独クエスト(お泊まり)当日がやってきた。
夏休み真っ只中の、
普段は使い慣れない私鉄の改札口。
人込みの中で、私は淋しさを隠せずにいた。
そんな母をよそに、
商人は何の迷いもなく、
淋しそうな様子も一切なく、
笑顔で私をギューッと抱きしめた。
「行ってくるな。」
ハグしながら私を見上げる。
改札へと向かう息子の頼もしい背中。
私の頭の中には小田和正の曲がドラマチックに流れ始めていた。
あふれ出る愛おしさ、
我が子の成長への感動。
まさに明治安田生命のCMのような、永遠の別れ級の名シーン♬
ん?
んん?
「はっ!!ICOCAチャージしてへんやん!!」
小田和正の歌声はぶちッと途切れ、
感動の余韻すらない。
改札を通る直前、
タッチしようとする財布を無理やり回収した。
ICOCA確保!
「ちょっとチャージするから待ちや。」
せっかく時刻表もちゃんとチェックして、
何番線かも確認したのに・・・
急いで販売機でチャージし、
気まずい空気の中で
「で、もう一回ハグやり直す?いやいや、もうええわな。」
という葛藤を抱えながら、
なんとか商人を送り出した。
感動の旅立ちはどこへやら・・・
気を立て直して、高島屋のデパ地下へ。
美味しそうなお惣菜を買い込み、
ウキウキで帰宅。
しかし、
ドアを開けた瞬間に広がる静けさ。
急に猛烈な寂しさが押し寄せてくる。
吟遊詩人(夫)がいなくても、こんなに寂しくなったことないな。ごめん。
吟遊詩人へちょっとだけ申し訳なく思いながら、
私は一人、静かな夜の時間を噛みしめていた。
19時頃、商人から一通のLINEが届いた。
『夜寝る前に電話してな。』
えっ?彼氏?
なにそのキュンとする指定。
改札ではあんなに
「行ってくるな。」
と男前を決めていたくせに、
やっぱり夜になると甘えん坊やな。
私のニヤニヤは止まらない。
すぐにでも電話をかけたい気持ちをぐっとがまんした。
お風呂も済ませて準備万端。
「まだ、早いよな。」
9時半に電話しようと固く心に誓った・・・
はずだった。
ふと目が覚めると、
あたりは真っ暗。
携帯の画面を見ると、
時刻は深夜2時。
やってしもた・・・勇者、痛恨の寝落ち。
焦ってLINEを開くと、
そこには複数の不在着信と、
切なすぎる商人の連投メッセージが残されていた。
『ママ、もう寝たん?』
『おーい。』
『ママー。』
『もう寝るわ。おやすみ。』
画面を凝視しながら、
健気に電話を待っていた商人の顔が目に浮かび、
猛烈に反省。
愛おしさと声を聞けなかった淋しさで胸がキュッとなった。
7時でも8時でもかければよかった。
どんよりした気持ちで迎えた翌朝。
LINEが届いた。
商人からの一通の写真。
そこに写っていたのは、
プロが作ったかのような超おしゃれなサンドイッチ。
『朝ごはんのサンドイッチやで』
焼いた食パンで見事な朝食。
メッセージの端々から伝わる商人のご機嫌さに、一安心。
すねてなくて良かった。

午後、約束の私鉄の駅まで迎えに行った。
無事に商人と合流。
1泊2日の単独クエストを終えた息子の顔は、
どこか少しだけ頼もしく見えた。

帰りに一緒に「いかりスーパー」へ寄り、夕飯の買い出し。
荷物を持ちながら並んで歩く帰り道、
商人がちょっとドヤ顔で言った。
「もう、ママよりパンこねるのうまいと思う。」
生意気やな。
私の後ろにくっついて、
粘土遊びのようにパンをこねていた小さな手。
自分の「好き」という熱量だけで飛び出した小さな冒険者は、
母の知らないところで親を軽々と追い越していく。
夜中の「ママー。」の切ない連投を思い出しながら、
ちょっぴり寂しくて、
それ以上に誇らしい息子の横顔を横目で見つめた。
親の想像をはるかに超えた最高の成長。
商人、単独クエスト無事クリア!お疲れ様♡
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
勇者マーキーでした♡✨(๑><๑)✨♡
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