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最後の「好きだ」の揺れを物語化してみた

『言い訳Maybe』の最後に三回繰り返される『好きだ』。その最初の一声だけが、少し不安定に揺れている。音程を大きく外しているわけではない。ただ、きれいに伸びきらず、言い切ることへの苦しさが残っているように聞こえる。

『言い訳Maybe』は、好きなのに好きだと認めきれず、何度も言い訳した末にようやく『好きだ』へたどり着く曲だ。

その一番最後の第一声が、完全には安定していない。

もちろん、前田さんが意図的に声を揺らしたのかは分からない。制作側が、恋の苦しさを表現するために、そのテイクを選んだという資料も、私は見つけられていない。

意図的な揺れだったのか、制作側がなぜこのテイクを残したのかは分からない。それでも、私はこの消されなかった揺れに、単なる歌唱の不安定さ以上のものを感じてしまう。

『言い訳Maybe』の選抜を決めた第1回総選挙で、前田さんは1位になった。しかし大島優子さんの2位発表直前、会場の一部では、前田さんが先に2位で呼ばれることを期待するような『前田!』コールが起きたと報じられている。

名前を呼ばれることは、普通なら応援の形である。

けれど、あの夜の「前田」という名前は、前田さんが負けることを願う声として響いた。

前田さんはファン投票で1位になった。しかし、1位になった瞬間、会場全体から無条件に祝福されたわけではなかった。

選ばれたのに、選ばれていいのか分からない。

好かれているのに、嫌われてもいる。

センターに立っているのに、その場所から降りることを望む声も聞こえてくる。

その後に生まれた『言い訳Maybe』の最後で、前田さんは「好きだ」と歌う。

制作された時系列だけを根拠に、あの歌声と前田コールが直接結びついていると断定することはできない。前田さん自身が、あの出来事を思いながら歌ったのかも分からない。

それでも、私は一度この二つを重ねてしまうと、もう別々には聞けない。

本来なら恋愛の告白である『好きだ』が、前田さんの声で聞くと、ファンへ『私のことを本当に好きなのか』と問い返す声にも聞こえてくる。好きだと言いながら、私が負けるところも見たいのではないか。その答えがないまま、声だけが揺れている。

これは、歌唱技術の不足を物語へ変えたいだけなのかもしれない。

『言い訳Maybe』という曲自体が、好きという感情を断言できず、「かもしれない」の中にとどまり続ける歌でもある。

前田敦子さんは、最後に「好きだ」と言い切る。
それでも、その声から迷いまでは消えていない。

私はその消されなかった揺れの中に、恋の苦しさだけではなく、前田敦子というセンターと、彼女を選びながら拒絶もしたファンとの関係まで聞いてしまう。


藤吉夏鈴の「時間だ」という声についても、似た引っかかりを書いています。
『The growing up train』の最後の「時間だ」は、何を意味していたのか

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