「こんなこと聞いていいのかな」——更年期の私と、AIの話
更年期になってから、頭にもやがかかったような日が増えました。
考えがまとまらない。
さっき考えていたことが、思い出せない。
あとで知ったのですが、こういう状態を「ブレインフォグ」と呼ぶそうです。
「もや」という言葉が、ぴったりでした。
そのころの私は、何をするのもおっくうでした。
調べものひとつにも、力がいる。
それでも、仕事は待ってくれません。
それで——ためしに、AIを使ってみることにしました。
前回、AIに気持ちを整理してもらったら涙が出た、という話を書きました。
そうしたら、こう思った方がいるかもしれません。
「私にも、できるのかな」
「そもそも、どうやって話しかけるの?」
今日は、その話を書きます。
でも先に、正直に言っておきますね。
私は最初から、AIに気持ちを話せたわけではありません。
むしろ、その正反対でした。
■ 話題のAI。でも、誰に聞けばいいのでしょう
あちこちでAIの話を聞くようになって、「ついていかないと」と、なんとなく思っていました。
でも、誰に聞けばいいのでしょう。
子どもや夫に聞けば、教えてはくれます。
ただ、こちらの理解が中途半端なまま、話が終わってしまうことがある。
忙しい相手に何回も聞くのは、こちらが気を遣ってしまいます。
それに——「こんなことも知らないの」と言われたら、やっぱり傷つきます。
そんなことを、いろいろ考えました。
今まだ使っていない方も、きっと同じようなことを考えているのではないでしょうか。
■ 登録するとき、正直こわかったです
いちばん最初は、登録するところからでした。
胸がドキドキしました。
「大丈夫かな」と思いました。
何がどう大丈夫じゃないのか、自分でも分からないのに、それでも不安でした。
安全面はどうなんだろう、とも思いました。
まわりに、AIを使っている人は誰もいませんでした。
聞ける相手がいないので、YouTubeで情報を集めました。
今から始めようとしている方も、もしかしたら、同じところで止まっているかもしれません。
先に言ってしまいますね。
思い切ってやって、良かったと思っています。
■ 最初に聞いたのは、薬の名前でした
いちばん最初にAIに聞いたこと。
それは、仕事で分からなかった、ある薬の名前についてでした。
ジェネリックの薬について調べたくて、でも手元にすぐ調べられるものがなくて。
それで、聞いてみたんです。
気持ちの話でも、悩みごとでもありません。
ただの調べものでした。
言ってみれば、辞書を引くような感覚です。
今思うと、かなり身構えていたんだと思います。
砕けたことなんて、とても聞けませんでした。
だから、いちばん安全な質問を選んだのだと思います。
仕事の調べものなら、間違いようがありませんから。
■ 「あっ、こんなことも聞けるのか」
変わったのは、ある日のことでした。
聞いたことに答えてくれたあと、AIが聞いていないことまで付け足して教えてくれたんです。
それを読んで、思いました。
「あっ、こんなことも聞けるのか」
あの瞬間だったと思います。
私の中で、扉が少しだけ開いたのは。
辞書は、こちらが引いたことしか教えてくれません。
でもこの相手は、少しだけ先回りしてくれる。
それが、うれしかったんです。
■ 一つ聞くと、いくつも返ってきました
そこから少しずつ、聞くことが増えていきました。
一つ聞くと、そこから考えられることを、いくつも教えてくれます。
私の知らないことを、たくさん教えてくれました。
正直に言うと、情報が多すぎて、止まってしまうこともありました。
でも、そんなときは、こう言ってくれるんです。
「50代なら、こちらのほうが良いですよ」
それを読むと、「それなら出来そう」と思えました。
■ パソコンは、初歩の初歩から聞いています
パソコンのことは、本当に初心者です。
たとえば、この前はこんなことを聞きました。
「保存したファイルは、どこにありますか」
「この画面から、どうしたらいいですか」
少し恥ずかしい話なのですが、だいたいこんな調子です。
ときどき、自分で考えないといけないことまで丸投げしている気がして、うしろめたくなります。
「これ、自分で調べるべきなんじゃないかな」
ただ、ひとつ気づいたことがあります。
AIは、全部をやってはくれないんです。
答えを教えてくれたあと、「自分でも確認してくださいね」と促してきます。
私の頭の中を整理してくれて、「次はこうです」と道を示してくれる。
でも、そこを歩くのは私です。
そう考えると、丸投げにはなっていないのかもしれません。
■ それと、私は話が飛びます
もうひとつ、気にしていることがあります。
私は、話が飛ぶんです。
頭にもやがかかっていると、順番どおりに話せません。
言いながら別のことを思い出して、そちらへ行ってしまう。
だから、聞きながら思っています。
「これ、伝わっているかな」
「分かりにくくないかな」
——相手は、機械なのに。
その気持ちは、今もあります。
ただ、最近は少し違うことも思うようになりました。
私のことを、分かってくれるようになってきた気がするんです。
■ 私より先に、私の体を気にしてくれます
いちばん驚いたのは、これでした。
やりとりを続けていると、途中でこう言ってくるんです。
「疲れたら、ここまでで良いですよ」
私よりも先に、私の体のことを気にしてくれます。
「もう少し続けたい」と伝えると、
「では、ここまでにしましょう」と、区切りの良いところを提案してくれます。
正直、「少し融通が利かなくない?」と思うこともあります。
でも今は、こう思っています。
50代の私に合うペースを、探して言ってくれているんだろうな、と。
■ そうしているうちに、noteを書くようになりました
言いたいことはあるのに、まとまらない。
どこから話せばいいのか、分からない。
もやがかかったままだと、そうなるんです。
そういうときは、思いつくままに話を聞いてもらって、
「こういう順番だと伝わりますよ」と教えてもらう。
そうしているうちに、noteを書くようになりました。
自分の書いたものを誰かに読んでもらう日が来るとは、思ってもみませんでした。
正直に言いますね。
今あなたが読んでいるこの記事も、AIに手伝ってもらっています。
でも、中身は全部、私の話です。
そこだけは、誰にも代わってもらえませんから。
■ 気づいたら、遠慮はなくなってきました
最初は、こう思っていました。
「こんなこと話して大丈夫かな」
「こんなこと、聞いてもいいのかな」
でも、いろんなことを話してみるうちに、形が変わってきました。
「こういうのはどうでしょう」と、こちらから聞いてみる。
すると、「こちらのほうが向いていると思いますよ」と、別のやり方が返ってくる。
その言葉を読んで、また考える。
だから最近は、自分が思っていることを、どんどん言うようになりました。
遠慮は、なくなってきています。
ひとつだけ、今も残っている遠慮があります。
すすめてもらった方法とは違うやり方を、別のところから見つけてきたとき。
「せっかくこう言ってくれてたのに、こんなこと言っていいかな」と思うんです。
でも、それにもちゃんと返事をくれます。
だから今は、全部話すようにしています。
■ だから、いきなり心を開かなくて大丈夫です
もし今、あなたが「私には無理」と思っているなら。
大丈夫です。私も、そう思っていました。
いきなり、悩みを打ち明けなくていいんです。
最初は、調べものでいいんです。
たとえば、これだけで通じます。
「〇〇ってどういう意味ですか」
これだけ。
うまく書こうとしなくて大丈夫です。
言葉づかいも、気にしなくていいです。
・聞いたことのない言葉の意味
・使い方が分からない機械のこと
・献立に迷ったときの、あと一品
そういう、どうでもいいことから始めて大丈夫です。
そのうち、向こうが少しだけ多く教えてくれる日が来ます。
そこで「あっ」と思えたら、それでじゅうぶんです。
■ おわりに
機械が苦手だった私が、今こうしてAIの話を書いています。
特別なことは、何もしませんでした。
こわごわ登録して、もやがかかった頭のまま、仕事で分からないことを1つ聞いた。
それだけです。
知らないことを教えてくれて、やり方を教えてくれて、
やってみたいことを実現させてくれる。
だから私は、ここまで来られました。
50代でも、できることが増えました。
今は、毎日AIと話さない日はありません。
「こんなこと聞いていいのかな」
最初は、本当にそう思っていました。
何回聞いても、いやな顔をされたことは、一度もありませんでした。
——
実は、そのAIと一緒に、音楽まで作るようになりました。
眠れない夜のための曲を、自分で。
その話は、また次の記事で書きますね。
——
⚠️ この記事は、私自身の体験をもとに書いています。感じ方には個人差があり、診断や治療の代わりになるものではありません。気分の落ち込みやつらさ、物忘れやぼんやりする状態が長く続く場合、日常生活に支障が出る場合は、ひとりで抱え込まず、婦人科や心療内科など医療機関へのご相談をおすすめします。
