木のお盆の朝ごはんで、脳内台風が止まった話│手放した2週間 #4
前回の記事で「次は伊豆の断食道場へ」と書きました。その宿で、思いがけない気づきがあったので、続きを書きます。
前回の記事はこちらです↓
◇◇◇
突然ですが、こんな経験はありませんか?
考え事が考え事を生んで、さらに考えながら新しいことを思いつく。止まりたいのに、止まれない。
私はこれを「脳内台風、直撃中」と呼んでいます。(笑)
◇◇◇
私の上位資質は内省・収集心・学習欲・着想。
この資質たちは、本来は知的生産の天才チームのはずです。でも活発になりすぎると、嵐の後の漂流物みたいに、アイデアが散乱して、収拾がつかなくなる…。
そこに登場したのが、AIでした。
散らかった思考を、風呂敷を畳むみたいに一気に整理してくれる。企画の壁打ち相手になってくれる。「自分一人では絶対にたどり着けなかった領域」に連れていってくれる。
もう、嬉しくて、楽しくて、手放せなかったんです!
◇◇◇
でも、気づいたら悪循環に入っていました。
夜遅くまで脳が興奮状態。寝ている間も考え続けている。夜中に自分の考え事が騒がしくて目が覚める。慢性的な睡眠不足。頭に霧がかかったような毎日。
そして!コーチングのセッション中に、集中力が途切れる瞬間がありました。
クライアントさんの前で意識が飛びそうになって、「いけない、いけない」と引き戻す。
コーチとして、あってはいけない瞬間でした。体が、ちゃんと限界を知らせてきていたのに、私はずっと気づかないふりをしていたんです。
◇◇◇
そんな状態で飛び込んだのが、伊豆高原にある「やすらぎの里」というファスティングの宿でした。
腸を休めるつもりで来たのに、気づいたのは激しい脳疲労のことでした。
PCから離れると、最初は落ち着かない。
でも少しずつ、静かになっていく。
転機は2日目の朝ごはんでした。
木のお盆の上に、少量の玄米、たっぷりの味噌汁、3つの小鉢にすりごま、お漬物。素材の味と出汁を活かした、優しいお料理。

疲れがひどかったので、完全な断食ではなく、半減食という、半量の健康食にしてもらったんです。
お腹が鳴る状態で、手を合わせて「いただきます」と言った言葉が、心の底から出ていたんです。
あれ、私。いつの間に、いただきますを形だけにしていたんだろう。
◇◇◇
散歩に出たら、鳥の鳴き声が聞こえました。遠くから、近くから。
岩に波が激しくぶつかる音。
新緑の緑。澄んだ空気。
ただ歩いているだけで、なんだか泣きたくなるくらいほっとしました。
頭で考えること、判断することでずっとヒートアップしていた。その間、人間としての感情や感覚、「今を生きている感じ」が、ぐっと後ろに追いやられていたんだと気づきました。
◇◇◇
AIは、フェラーリみたいなものだと思います。
乗り続けてアクセルを踏み続けると、脳は興奮状態のまま。でも、降りて散歩したりを行ったりきたりできるようになった時、きっと一番調子よく走れる。
人間らしさを取り戻す時間。五感を使うこと。今ここに集中する時間。
これに、リソース(時間もお金も)を使っていいんだ、と初めて腹落ちしました。
◇◇◇
あなたの脳内にも、今、台風は吹いていますか?
もし吹いているなら。それは、あなたが怠けているからじゃありません。むしろ、ここまで走り続けてこられた証拠です。
フェラーリは、ときどきピットインしたほうが、きっと速い。
人間らしさを取り戻す時間に、堂々とリソースを使っていい。それはサボりじゃなくて、いちばん調子よく走るための、準備なんです。
エンジンを思いきって止めるなら、伊豆高原の「やすらぎの里」は、本当におすすめです。
でも、今すぐは行けない——そんな人も、いますよね。
そんなときは、日常の中の小さなピットインから。散歩でも、お茶一杯でも。「いただきます」を、心の底から言ってみるだけでも。
——あなたの台風が、少しでも、静かになりますように。
◇◇◇
あらがき ゆきこ|インナーストーリーを探り当て、魅力を「手の内」に
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