GPSの魅力…実はとっても不便なんです|宇宙一わかりやすく解説|GPSの基礎の基礎#4
民間航空機の撃墜という悲劇がきっかけで、誰もが利用できるようになったGPS。
おそらく日本では「GPSの恩恵を受けたことがない」という人はほとんど居ないんじゃないでしょうか?
そんなGPSの魅力とは?
GPSはたしかに便利だけど…
GPSの魅力は何でしょうか?
GPSのナビがとても便利なこと?

まあ、それは間違いないでしょう。
GPSが無かった時、私たちは車の運転をする時には地図が手放せませんでした。電車で初めての場所に出かける時にも、わざわざ行き先までの道順のメモを準備して持って行ったりしたもんです。
私は自分が方向音痴だとは思っていませんが、それでも都会の真ん中でグーグルマップのGPSを使っていても、道に迷うことがあります(笑)
GPSがあっても道に迷うのに、GPSが無い時は道に迷ったらいったいどうやって目的地に到着できてたんだっけ?
何とかなってたんでしょうけど、今となっては記憶にないくらいです。
それくらいGPSの便利さは生活に浸透しています。
でも… 私が自分でオタクと公言するほどGPSにハマったのは、GPSがとても便利だから、だけではないんです。
いや、むしろ逆と言ってもいいかもしれません。
ここからは、完全に私の主観ですが、私にとってもGPSの魅力をお伝えします。。
とにかくスケールがでかい!
これまでにも説明したとおり、アメリカの国家レベルのプロジェクトで始まったGPSは、とにかくスケールがでかいです。
常に30機のものGPS衛星が地球のはるか上空の宇宙空間を飛び回っています。そのために、今までに80機以上ものGPS衛星がロケットで打ち上げられているのです。
アメリカだけでこの数なので、他の国の衛星システムも含めると、とんでもない数になります。
いつか、ロケットの打ち上げを現地で生で見てみたいものです。
今の私の夢の一つです。
スケールはでかいのに、受信機はめちゃくちゃ小さい
そんなスケールのでかいプロジェクトで、時間と費用と労力をかけて打ち上げたGPS衛星からは、地上で位置を計測するための電波が発せられています。
その電波を地上で受ける受信機はというと、めちゃくちゃ小さいのです。用途によって受信機の大きさはさまざまですが、小さいものでは腕時計の中にも収まっちゃうくらいです。
その大きさを馴染みのあるものと比較すると、例えば皆さんの家でもWiFiは使われていると思いますが、電波の届く範囲はせいぜい家の中全体をカバーするくらいじゃないでしょうか?
でもGPS受信機は、そんなWiFiと比べても同じか、少し小さいくらいのサイズで実現できてしまいます。
はるか遠くの宇宙空間から飛んでくる電波を、そんな小さな受信機で受信して位置がわかってしまうわけです。
すごくないですか?
しかも無料…タダです!
GPSを利用するためには、何か特別な申し込みとか、契約とか一切不要です。
タダで使い放題なんです!
すごく便利だけど、実はとっても不便なGPS
今までの説明を聞くと、GPSって本当に便利だし、しかもタダだし、もう言うことなし!
と思われるかもしれませんね。
でも、実はとっても不便なんです。
私は、今まで仕事で「GPSを使った製品を開発したい(発売したい)」というお客さんに、何度もGPSについて説明してきました。
そんなお客さんに対して、いつもまず最初に説明しないといけないのは、GPSがいかに不便なものかということなんです。
その結果、「なんだぁ、そんなに不便で大変ならGPS使うのや~めた。」となったのは一度や二度ではありません。
でも、もうそこはお客さんに隠して先延ばしにしても、後で大変になるだけなので、諦めるしかないのです。
いったい何がそんなに不便だって言うのでしょうか?
屋内では使えない
まず大前提として、GPSで位置を計測するには、GPS衛星からの電波を直接GPS受信機で受信する必要があります。
つまり実際には小さすぎて肉眼では見えないですが、空にGPS衛星が見える位置にいないと計測は出来ないのです。
なので基本的に屋内では使えません。地下とか、トンネルの中とかでも使えません。
「え?でもグーグルマップは建物の中にいても使えてるけど。」
って思う人がけっこういるんじゃないでしょうか?
窓の近くであれば、なんとか位置計測できたりもします。
が、ここにはスマホならではカラクリが関係してたりもします。
位置がずれる
これは、都内の高層ビル街なんかでグーグルマップを良く使う人は、経験があるかもしれません。
たまに、実際に歩いているのとは全然違うところを歩いてることにされてた!
そのせいで道を間違えた、な~んてことってありませんか?
実はGPSは高層ビルがとにかく苦手。
ビルに反射して届いた電波と、GPS衛星から直接届いた電波の区別ができず、正確な位置が計測できなかったりします。
これはGPSにとって、永遠のテーマともいえる弱点だったりします。
位置を計測するのに時間がかかる
GPS衛星からの電波に乗って届く位置を計測するためのデータは、すご~くゆっくりした速度で送られてきます。
どれくらいゆっくりかと言うと、1秒間に50ビットという速度。これがどれくらいの速度かってピンと来ないと思いますが、例えば全角の文字は1文字が16ビットで表現されているので1秒間に3文字しか送れないくらいの速度です。
「おはようございます」と送るのにも3秒かかってしまいます。
400字詰めの原稿用紙1枚の情報を送るだけで2分以上もかかってしまうということですね(笑)
そのため、GPSで位置の計測ができるまでは、最短でも30秒くらいの時間がかかってしまうんです。
それも、位置の計測が終わるまでじっと動かないで待っていた場合の話。動きながら、だと電波が途中で途切れてしまったりすることもあるので数分かかってしまう場合もあります。
これについては、普段スマホのGPSを使っている人は、
「え~そうかなぁ、グーグルマップ開いたらすぐ自分の位置が出てくると思うけど」
って印象を持ってる人が多いんじゃないでしょうか?
実はここにも、スマホならではのカラクリがあります。
ノイズにめちゃくちゃ弱い
これは、GPSを使っている人にはあまりわからないところですが、「GPSを使った製品を開発したい」という人達にとっては本当に頭の痛いところです。
GPS衛星の電波って、はるか遠い宇宙から届くので本当に小さいんです。
一方で電化製品の中身っていうのは、いろんなデータを行き交っているので、ハイテクな製品ほどノイズだらけ。
ここは、もう兎にも角にもノイズを減らすしかないので、とにかく苦労するところです。実際にGPS機能を搭載した電化製品の中を開けてみたりすると、すごい苦心の後が見えて、「あぁ~頑張ったんだなぁ~」なんて思ったりすることがあったります。
中には、「ノイズのことなんかお構いなし」で製品化されちゃってる残念な製品もあったりしますけどね…
それで結局、なんで魅力があるのか?
ということで、GPSがいかに不便かってところにずいぶんな文字数を割いてしまいましたが、それでなんで魅力があると言えるんでしょうか。
おそらくGPSが完全無欠のシステムだったとしたら、私はここまでGPSに魅力を感じてなかったし、関わることもなかったと思います。
実は、GPSが不完全なシステムだった故に、そこにさらにいろんな人が携わり、それを補うためにいろんな工夫や技術が生み出されています。
「スマホならではのカラクリ」の一言で済ませてしまったところも、その一つですね。
世界中のどこにいても位置がわかっちゃうという超絶便利な機能。
更に、その不完全さを補うために生まれたさまざまな工夫と技術。
これらが合わさって、GPSという一つの世界をかたち作っているのです。
だからこそ、不便なGPSに魅力を感じているわけです。
今回は、私がこのnoteを始めた理由とも言える内容だったので、またずいぶん長くなってしまいました。
最後まで読んでくれた方、ありがとうございます!
これでも、個々の内容はついてはかなり端折りました。
「不完全さを補うために生まれた工夫と技術」については、まるごと端折りました(笑)
それに、GPSの魅力につながる話は、ここでは書ききれなかったこともまだまだたくさんあります。
GPSの危機の話とか。。
それらについては追々、これから時間をかけて綴っていきたいと思います。
