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【読書】戦争は無駄~勝手に応援!『ビッグイシュー日本版』(VOL.524 2026.4.1)~

『ビッグイシュー日本版』を勝手に応援する記事、第127弾です。
そもそも「『ビッグイシュー日本版』とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「世界市民の時代に」です。


世界議会とは、地球上に暮らす私たち一人ひとりが”世界市民”として議員を選び、”地球益に基づいた世界法”を生み出す民主的な仕組みのことだ。

p.9

世界市民、良いですね。中学の時、当時の校長先生に「君たちには『日本人』という感覚を越え、『アジア人』、出来れば『地球人』となってほしい」という内容のことを言われて以来、地球人(アーシアン)になりたいなぁと思っているので。


米国のドナルド・トランプ大統領は、先だって31の国連機関から脱退し、資金拠出を停止。気候危機対策の国際的な枠組みであるパリ協定や、国連人権理事会からも離脱を表明していた。(中略)
確かに、国連をはじめとする国際機関は懸命な努力を続けているが、有効な解決策を打ち出すには至っていない。(中略)
しかし、各国が国際的な協調から離脱していき、このまま自国の利益を追求するようになれば――最悪の結果は”第三次世界大戦”として現実化する可能性があるだろう。
そんな中、地球規模の課題に有効な解決策を打ち出す、これまでにない仕組みとして支持を集めるのが「世界議会」の構想だ。

p.10

トランプさん、31もの国連機関から脱退していたとは……。


1989年の民主革命によって、東ドイツや東欧諸国をはじめ、多くの国・地域で変化が起こり、大きな影響を受けました。それは、政治体制は変わりうること、また人々は分断や権威主義、対立を甘んじて永遠に受け入れることはないと示しました。

p.11

国際NGO「国境なき民主主義」のアンドレアス・ブメルさん(共同設立者/理事長)の言葉です。今の問題だらけの世界がそのままであることはないと、希望を持てます。


スペシャル企画のエリック・カールも良かったです。

「実は『はらぺこあおむし』も当初、米国での製本が難しく、引き受けたのは日本の会社だったんです」。サイズが異なるページに、ど真ん中に空いた穴……。難しい注文をすべてこなし、日本で印刷・製本された英語版『はらぺこあおむし(1969)』は米国に送られ、見事、世界的ベストセラーとなった。日本語版出版は、その7年後である。

p.5

日本の技術の高さと、それを充分に生かしていないことを物語るエピソードです。


絵筆で塗り、スプレーを吹きつけ、ブラシや布でこすりつける。それがまさに印象派の感性と技法を彷彿とさせるため、ある時、カールに尋ねてみた。「確かに印象派からもインスピレーションを受けているよ。でもそれだけじゃないんだ」と言いながら、16、17世紀のフランドルの画集を引っ張り出してルーペでそのタッチを見せ、ブリューゲルやパウル・クレーからも学んだと語る。
「まったく自慢しない人でしたが、『僕の絵は美術史の上に乗っかっているんだ』という自負が、ニヤリとした笑顔から伝わってきました」と松本さんは笑みをこぼす。
一見、平易で幼児でもわかりやすいエリック・カールの絵本世界。だがその背景には、彼の一筋縄ではいかない人生と、先人たちが築き上げた美術の技法が詰まっている。

p.7

松本さんとは、美術・絵本評論家の松本猛さんのことです。「彼の一筋縄ではいかない人生」とは、母の意向で米国から父母のふるさとのドイツに移住したものの、帰国が「ナチスによる言論統制と戦争の嵐が始ま」(p.4)ったタイミングだったことを指します。「かつて画家を目指していた心優しき父は徴兵され、戦後ロシアの捕虜収容所から解放された時には、心身は壊れ、以後、家族と心通わせることはなかったという」(p.4)。


私は『はらぺこあおむし』をはじめエリック・カールの絵本をちゃんと読んだことがないので、読んでみたくなりました。


映画『そして彼女たちは』のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ両監督のインタビューでの言葉も印象的でした。ちなみにお二人は兄弟です。

「大切なのは社会全体で弱者を見守り、彼女らが人生を歩んでいく環境を整えること。誰もが自らを大切な存在だと認め、将来、自立し責任ある大人になれるよう手助けすることなのです」

p.19


「表現する人」で取り上げられたヤマダカズキさんの、民話や神話をモチーフにしたモザイク画は、実物を見てみたくなりました。

民話や神話は、世代から世代へ話して聞かせることで伝わってきました。口伝てを繰り返すなかで物語の形が変わることもありました。一方、モザイク画は石を砕き、貼って並べるという行為の反復です。物語を伝えてきた言葉の響きや繰り返し、石を砕く音の反共や貼る行為の繰り返し――そんなところからイメージして、個展のタイトルを「地に木霊す」と名づけました。

p.21

今なら箱根のポーラ美術館で個展を鑑賞できますが、残念ながら時間が……。


「フジコ・ヘミング写真展~音の色、写真の音~『奇蹟のピアニスト』の記憶」を紹介する記事の中のフジコさんの言葉も心に残りました(なお、フジコさんとは全く関係ありませんが、最近の本や展覧会の題名は長すぎると思います)。

「ピアノの教師をしたり、音楽とは関係のない仕事もしたわ。でも不安はなかった。私は私の才能を信じていたから」

p.23

言い切る強さがすごいです。かくありたいですが、なかなか難しいです。


「子どもの頃、戦争があったわ。空襲があって、防空壕のなかでガタガタ震えていたのよ」
こう言って両手で自分を抱いた。
「ああ、私はこの世の美しいものも見ずに死ぬのかしらって思った。怖かった。戦争は無駄。いつも弱いものたちが犠牲になるのよ」
ウクライナで、ガザで、世界のあちこちで争いが続く。
「戦争なんかに命をかけるのは間違ってる。人間は、なんで学べないのかした。与えられた命を生ききる。犬や猫や、すべての生き物も、命の限りに生きなくちゃ」

p.23

世界中の権力者たちに読んでほしい文章です。


松久保肇さんの「原発ウォッチ」では、これまで知らなかったことを知りました。

米国やイスラエルは核開発を口実にイランを攻撃している。だが、これまでハメネイ師らイランの指導者は核兵器製造を「ファトワ(宗教的裁定)」で禁じてきた。今回の攻撃はその重しを吹き飛ばした。著名な国際政治学者ジョン・ミアシャイマーが指摘していることだが、多くのイラン政府要人を殺害した結果、歯止めを失ったイランはさらに核開発に傾斜することだろう。地域の大国であるイランが混迷に陥った場合、イランが開発してきたウラン濃縮技術やミサイル技術、ドローン技術などが拡散することも懸念される。混乱と絶望はテロリズムの温床となる。

p.24

アメリカとイランはいったい何ということをしてくれたのだろう、と思います。


「マイ・オピニオン」で「なみおい」さんが、スティーブン・キングのインタビューを受けて書いた言葉も印象的でした。

語彙を失うことが世界との接点を失うことにつながる、という考えにも共感した。言葉は単なる道具ではなく、自分自身を形づくる大切な要素なのだと思う。

p.26

思い浮かべたのはアメリカのドナルド・トランプ大統領です。彼の演説は「9歳でも理解できる語彙で、短いフレーズを繰り返す」と説明されることがありますが、それは聞く相手が分かりやすいようにそうしているだけではなく、彼自身の語彙の少なさ(さすがに9歳児レベルではないでしょうけれど)も反映されているのかもしれないと思いました。語彙が少ないから世界との接点、つまり世界への理解や共感が足りていないのではないでしょうか。


「販売者に会いにゆく」のセルビア『リツェウリツェ』販売者ヴェスナ・クネジェヴィッチさんの言葉も心に残りました。

美しい思い出も、そうでない体験も、私に責任がある。そのすべてを受け入れようと思ったんです。人生は一度きり。巻き戻しはできないけれど、気づいた時に方向転換することはできるでしょう。

p.27

記事を読むとヴェスナさんは、高等教育を受けており、会社も経営していた方です。でも「ある時から人生の歯車が狂い始めたのです。多くの嵐を経験した末に、ホームレス状態になりました」とあります。誰でもが、何かのきっかけでホームレス状態になりかねない、ということを感じさせます。


社会が私のような人を話題にする時、「周縁化された人」「ホームレス」「社会的弱者」などと呼んだりしますね――「人間」とは言わずに。「周縁化された人」って、なんだか”透明人間”みたい。でもね、私たちも確かに存在しているんですよ。

p.27

忘れてはいけない指摘です。


敗北は、予期せぬ時に訪れる。その際に「闘いに負けた」と自ら認めることが大切で、そこから新しいスタートを切れるかどうか。どんな問題にも、必ず出口はあるはずです。
「失敗を恐れるあまり、見て見ぬふりをして、漫然と生きるのか。それとも自分の行動に責任を持ち、道を切り開いていくのか」。

p.27

ヴェスナさんのこれからの人生が、可能な限り穏やかなものでありますように。


今号も、多くの学びがありました。


『ビッグイシュー日本版』のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号の封筒に貼られていたシールです。「小商い」で発送作業をしてくださったT.Sさん、ぜひがんばってくださいね!





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