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先日視聴したAoba-BBT社提供の有料コンテンツ、組織人事ライブ #711「AI時代の働き方と組織」がとてもわかりやすく、自分の問題意識とかなり近かったので、その内容を一部ご紹介します。
タイトルは、ゲストの石原直子さんが使っていた表現なのですが、AIが特別な人や特別な部署のものではなく、日々の仕事の現場、いわば“平場”に入り込んできた、という意味です。考えてみれば、AI自体は突然現れた技術ではなく、インターネットが、もともとは軍事技術や研究用途から始まり、時間をかけて一般的な技術になっていったように、AIもまた、長い研究の歴史があるのはご存じの通りです。
IBMのWatsonのように、一部の領域で活用されていた例を記憶している方も多いのではないでしょうか。
ただ、これまでのAIは「特定の用途」「限られた場所」で使われる存在でした。それが今、生成AIをはじめとする技術によって、特別な準備をしなくても、誰もが日常業務で使えるものになってきた。石原さんの言う「平場に降りてきた」という表現は、この変化をとてもうまく言い表しているように感じます。

ちなみに、この番組は、人事・組織論の分野の大家であり私の心の師と勝手に仰いでいる高橋俊介さんがホストを務め、毎回、第一線の実務家や研究者をゲストに迎え、講義するシリーズです。
今回のゲストは、石原直子さん。リクルートワークス研究所で人材マネジメント研究に長く携わり、現在はエクサウィザーズで「はたらくAI・DX」をテーマに研究・発信をされている方です。

なお、本記事は有料コンテンツを視聴した上での個人的な感想です。視聴できる方は限られるため、ここでは内容の紹介というより、そこから考えたことを中心に書いていますが、ほぼ同内容の資料が労働政策研究・研修機構サイトに掲載されていましたので、ご関心ある方はそちらをご覧ください。

仕事の付加価値の置き所が変わる

前回のnoteでも、AI時代におけるマネージャーの役割変化について書きましたが、最近はこの周辺が自分自身の関心が向いているテーマで、今回の話を聞いて、その理由が少し見えてきた気がしています。

番組の中で繰り返し示されていたのは、「最も影響を受けるのは現場のホワイトカラーである」という点でした。この点は様々なところで言われていることですが、より具体的に考え見ると、観察し、仮説を立て、調査・分析し、組み合わせ、企画し、選択し、実行し、結果に責任を持つ、というこれまでホワイトカラーの付加価値の中心だった仕事プロセスは、AIがかなりの部分を担えるようになってきています。
ここで重要なのは、「仕事がなくなる」という話ではなく、仕事の付加価値の置きどころが変わるということだと思います。
たとえば、これまでビジネスパーソンの基本スキルとされてきたロジカルシンキングも、AIが高度に代替できるようになると、「ロジカルに考えられること自体」には、もしかすると以前ほどの価値はつかなくなるのかもしれません。

一方で、何を問いとして立てるのか、どこで判断するのか、AIのアウトプットをどう解釈し、最終的に何を引き受けるのか、といった部分には、人の役割が強く残る。ロジックそのものよりも、どこにロジックを使うかを決めることに付加価値が移っていく、という感覚は、個人的にはしっくりくる視点です。

労働政策研究・研修機構サイトより(石原直子氏作成)

また、AIによってトライアンドエラーが高速で回せるようになることで、「戦略」の位置づけが変わっていく、という指摘にも共感しました。
事前に時間をかけて精緻な戦略を描くことよりも、仮説を立て、試し、学び、修正する。そのサイクルをどれだけ速く回せるかが、結果を左右する時代になっていく。そう考えると、「戦略がいらなくなる」というよりも、「戦略の意味が変わる」と言ったほうが近い気がします。
「人事戦略どうする?」と心の声も聞こえてきました。

AI時代のマネージャーの役割

ここから自然につながってくるのが、マネージャーの役割です。
番組では、AI時代のマネージャーは、管理や進捗確認といった役割から、人とAIのアウトプットを最大化する支援者へとシフトしていく、という整理がされていました。方向性を揃え、意思決定を後押しし、現場が試しやすい環境を整える。そうした役割を担えないのであれば、無理にマネージャーである必要はない、という考え方も示されていました。

正直なところ、こうした変化が人材育成にどう影響するのかについては、まだよく分からない部分も多いと感じています。その意味で、高橋さんは最後のまとめとして「結局、落ち着くところに落ち着く。ただし、頭が柔らかければ」という言葉で締めくくられていましたが、とても現実的で腑に落ちました。

AI時代において大事なのは、特定のスキルや正解を早く身につけること以上に、変化を前提に考え続けられる柔軟性なのだと思います。それはマネージャーに限らず、すべてのビジネスパーソンに共通するテーマなのだと思います。

労働政策研究・研修機構サイトより(石原直子氏作成)

AIが平場に降りてきた今、仕事の前提は確実に変わりつつあることは日に日に感じていますし、その中で、「自分はどこで付加価値を出すのか」「何を人として引き受けるのか」、最近は、特にその問いをAI時代のマネージャーという視点から考えることが増えていますので、更に深堀していきたいと思います。

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