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あなたの提案や企画を実現するために。微力ながらも一助になることを願って

どうも、まさたかです。

会社員だった頃、私は事業開発部門にいました。地方創生、新規事業。

あらためて振り返っても、よくあのような大規模な組織で責任者までさせてもらえたなぁ…なんて驚きます。

私は、新しいことを考えることが昔から好きでした。

こんなことができたら面白いんじゃないか。きっと誰かの役に立つ。自分のあの経験も活かせるかもしれない。

思いついたらすぐ資料にまとめて、熱を込めて説明する。手応えだって、あったつもりでした。

ところが、そう上手くは進まないんだよね。

「面白いね」とは言ってもらえるんだけど、話がその先へ動かない。何が足りないのかもわからないまま、「私には企画の才能がないのかもしれない」と落ち込んだこともありました。

今になって、あの頃の企画・計画書を思い返します。

私の問題意識は、ちゃんとありました。熱意もありました。やってみたいことも、たっぷり書いてありました。

なかったのは、「経営視点」です。

私は、自分のアイデアを理解してもらうことに、力のほとんどを使っていました。会社がその企画を選ぶ理由。実際に事業として成立させる方法。そこまでは、考え切れていなかったんです。

もっと率直に言いましょう。

アイデアだけを持ち込んで、その先にある難しい問題は経営者へ残したまま。それで「提案した」つもりになっていました。今の自分から見ると、あれでよいと思っていたこと自体が、少し恥ずかしい。

その後、新規事業を実際に前へ進めるなかで、私は経営者が何を見ているのかを、少しずつ学んでいきました。

提案とは、自分の考えを上手に話すことではないんですね。

会社が責任を持って判断できるところまで、考えを深めること。

この視点を知ってから、企画のつくり方が根本から変わりました。

自分が何をしたいかだけでなく、誰のどんな問題を解決するのか。その必要性を、何によって確かめたのか。なぜ他でもないこの会社が取り組むのか。誰が実行し、どのように成果を生み出すのか。

提案する前に、自分の案が成立しない可能性にも目を向けるようになりました。思い込みと、確認できた事実を分ける。わからないことがあれば、何を調べ、どう試せば確かめられるのかまで考える。

その変化が、提案を実際の事業へつなげてくれました。成果も出せるようになりました。そこで得た経験と手応えが、のちの経営大学院への転職や、独立にもつながっています。

そして自分で会社を立ち上げ、最終的な責任を負う側に回って、その重要性を改めて確信しました。

会社員時代に理解していたはずのことが、自分のお金、信用、時間、そして会社の将来をかけて判断する立場になると、まるで重さが違って見える。頭でわかっていたものが、輪郭を持って迫ってくる感覚でした。


経営者は、一つの提案の何を見ているのか

企画が面白いかどうか。もちろん、それも見ています。でも、それだけではありません。

そのサービスを必要とする人は、本当に存在するのか。本人が口にした要望だけでなく、実際の行動にも必要性が表れているのか。その人に価値が届いたとき、何がどう変わるのか。

会社の理念や既存事業と、どのようにつながるのか。なぜ他社ではなく、この会社なのか。培ってきた経験、顧客、技術、信用を活かせる企画になっているのか。

現場では、誰が動くのか。その人に必要な知識と時間はあるのか。新しい仕事を一つ加えることで、今のお客様や既存の業務にどんな影響が出るのか。

会社の名前で行う以上、品質も、安全性も、法的な問題も、評判への影響も無視できません。

そして、これらと同じくらい大切なものが、もう一つ。

収支です。

お金の話は、堂々と前提にしていい

私は今、事業を提案するときには、お金の話を正面から置くべきだと考えています。

これは、コロナ禍における飲食事業の管理も担っている時に確信に至りました。

だって、本当に今日、明日にでも事業が終わり、収益どころか雇用も維持できなくなってしまうんですもの。

事業におけるお金は、価値を循環させるための力だからです。

お客様や取引先から受け取った対価があるから、働く人に報酬を払える。品質を守れる。改善を重ねられる。そして次のお客様へ、価値を届けられる。

利益は、会社の中に残った単なる余りではありません。

予期せぬ出来事に耐え、働く人の暮らしを支え、新しい挑戦を行い、約束したサービスを続けるための余力。それが利益です。

理念が事業の向かう先を決め、収支が、その歩みを止めずに続けられる形をつくる。両輪なんです。

特に、社会的な意義を持つ事業では、注意が必要になります。サービスを受ける人と、お金を支払う人が、同じとは限らないからです。

利用する本人が負担するのか。家族が支払うのか。企業や行政が購入するのか。協賛や寄付で支えるのか。それとも、ほかの事業で生まれた利益を充てるのか。

価値を受け取る人だけでなく、その価値を継続させる費用を誰が担うのか。そこまで設計して、はじめて事業になります。

どんな事業にも、必ず費用の引受人がいます。

収支を曖昧にしたとき、消えたように見えたその費用は、必ずどこかに現れます。誰かの無理な働き方として。経営者の持ち出しとして。取引先への過度な値下げとして。あるいは、将来必要だった投資の先送りとして。

収支を明らかにすることは、負担を見えない場所へ押し込まないということ。関わる人たちに対して誠実であるための、設計そのものなんです。

だからこそ、しっかりと考えなければならないのです。

単価はいくらか。何人に、どのくらいの頻度で使ってもらえるのか。そこから仕入れ、外注費、決済手数料、広告費、人件費を差し引いて、いくら残るのか。

最初にどのくらいのお金が必要で、それをいつ回収できるのか。支払いが先に来ても、会社は無理なく回り続けるのか。

見落としがちなのが、社内で完結する場合です。

既存の社員が担当するなら新しい支払いは発生しない。たしかにそうです。でも、その人の時間は有限です。この仕事に十時間を使えば、その十時間で進められたはずの営業、顧客対応、商品改善が、必ずどこかへ消えている。

会社が使うのは、お金だけではありません。人の時間、集中力、信用、そして経営者の判断力。どれも限りのある経営資源です。

一つの企画を選ぶことは、別の何かを後回しにすること。

だから経営者は、「この会社が、今、この企画を選ぶ理由はあるか」と考えます。

それでも、短期の利益だけで測るわけではない

すぐに収益にならなくても、進めるべき事業はあります。

将来の顧客との接点をつくる取り組み。会社の技術と経験を蓄える試み。社会に必要な価値を守るための事業。

ただし、その場合も曖昧にはしません。どの財源から、どのくらいの期間支えるのか。その間に、誰にどのような変化を生み出すのか。何を確認できれば次の投資へ進むのか。

お金だけでは測れない価値がある。だからこそ、その価値を何によって確かめるのかまで、決めておく必要があるんです。

経営者の視点とは、収益だけを見ることではありません。

顧客にとっての価値。理念とのつながり。実行する人の負担。収支。既存事業への影響。安全性、信用、将来性。それらを一つの判断のなかに置くこと。

自分の考えを、最初から正しいものとして扱わない

「この人たちには、きっと必要だと思います」
「最近、この分野が注目されています」
「他社でも似た事例があります」

どれも、企画を考えるきっかけにはなります。でも、きっかけ止まりでもあります。

そこから先へ。想定するお客様に、実際に話を聞いたのか。お金や時間を使ってでも利用したい、という反応はあったのか。他社の成功条件は、自社にも当てはまるのか。もしうまくいかないとすれば、どこが最も危ないのか。

企画の深さは、資料の枚数では決まりません。知っている言葉の多さでも決まりません。

自分の思い込みをどこまで疑い、顧客や現場の事実にどれだけ近づき、違う角度から確かめたか。決まるのは、そこです。

最初からすべての答えを持つ必要はありません。

わからないことを、わからないままにしない。事実と仮説を分ける。次に何を確かめるのかを示す。

小さな人数で試し、実際に対価を払ってもらえるかを見る。費用と時間に上限を設け、どの結果が出れば続け、どの結果なら修正または停止するのかを、先に決めておく。

そして何より、「誰かにやってもらう企画」で終わらせない。自分がどこまで責任を持って進めるのかを、はっきりさせる。

そこまで整理されていれば、企画が未完成でも大丈夫です。経営者は、一緒に考えてくれます。


資料を仕上げる前に、自分を疑ってみる

もし今まさに、近いうちに会社や経営者へ何かを提案する予定がある方がいたら。

資料を仕上げる前に、一度だけ自分の思考を疑ってみることです。

お客様の席から見て、本当に必要なものになっているか。

現場で動く人の席から見て、無理なく実行できるか。

会社の収支を見る席から、入りと出、残るもの、回収までの時間が見えるか。

既存のお客様や仲間の席から見て、どのような影響があるか。

そして最後に、責任を負う人の席から見て——今、この企画を選ぶ理由はあるか。

それぞれの席を一度ずつ回ってから、自分の提案へ戻ってくる。

そのとき、最初に浮かんだあのアイデアは、ようやく「会社が検討できる企画」に近づいているはずです。

提案とは、自分のアイデアに賛成してもらうことではありません。

会社が責任を持って選べるところまで考え、判断に必要な材料を差し出すこと。

私はこの視点を知ったことで、会社員としての仕事が変わり、事業のつくり方が変わり、成果につなげることができました。そして自ら法人を経営するようになった今、その大切さを、以前よりも強く確信しています。

この話が、これから大切な提案を控えている誰かの、背中を少しでも押せたなら嬉しく思います。

それでは、また次の記事でお会いしましょう。

まさたかでした。

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