言葉の密度について(4)──十作目で見えてきたもの
十作目の投稿を終えて、<言葉の密度>のプロジェクトで何かが見えてきた気がしている。
最初は、文壇的ではない、余白や脚本的ミニマリズムからスタートした本プロジェクトも、進めていくうちに、古典などに見る、日本語話者間の共通感覚を利用する手法との親和性の高さなど、いくつかの気づきにつながった。
そうして様々なモチーフ、テーマを変えながら、接続詞、定型文、書体、配置などまで物語を作る材料にしてみたり。
十作目の『資格』では、それまで個別に試してきたものが、かなり自然に一つの作品にまとまった気がしている。
「凛々しい/凛とした」という語感と、主人公が、恋に「資格」が必要だと突きつけられる個人的な問題、風や影による感情表現、最後の『凛とした』という一語が、語感そのもので結末へ誘導される構造。
仕掛けを見せるための作品ではなく、読者が物語を能動的に摂取する過程そのものに密度を仕込む手法となった。
ここから見えてきた「密度」は、
文字で情報を詰め込むことだけではなく、読者の記憶、経験、文化的共通感覚、言葉の響き、文章形式、さらには余白や配置までを利用して、書かれていないところに物語を発生させること。
そういう解釈に現段階では来ている。
#07『コトノ次第』、#08『取説』では、
実験的なことをしたおかげで、文章を読む以前の知覚、錯覚もストーリーの構築に使えるということを見つけた。
文字が塊になっている、急にスカスカになる、あるべき部分から漏れ出たところへの注目――それだけでも、圧迫、解放、感情などを感じさせられる。
次の10作にむけて。
もともと小説というものに付加的手法を持たせる実験として始めたプロジェクトなので、現状まででその面白みや力を注ぐべきところがわかってきた。
これからは、手法そのものを探すというより、確立しつつある原理のバリエーションを探す、10作になっていくと感じている。
また、こうした手法が、掌編だけでなく、短編や長編といった長さの区分を越えて機能するものになるかどうかも、これから試してみたい。
「こういう技法があります」という見本帳にするつもりはない。
毎回まず作品として成立して、その裏側に違う密度の作り方を模索する。
そんな試みを、鍛錬を、次にもつなげていきたい。
※<言葉の密度>シリーズは、まとめマガジンにしています。
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Open Script Labo『ある映画作りの記録』
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