MCR Summertime 6年間のラブレター 君と泥だらけで這いつくばった記憶 和訳と解釈
一見ハイテンションなDanger Days のアルバムの中で地味な曲に聞こえたが、アコースティックのライブを聞いた瞬間、私はこの曲をめちゃくちゃ大好きになりました。
最近大好きすぎて機内でこの記事を書きつつUnholy な、なぜか明らかに公式認知されてるファンの超長文大作 frerard 小説を読み始めました。
機内はこの記事書いて隣の韓国人のお兄さんとおしゃべりしまくって他はほぼ寝てたけど、70ページ以上読めました。到着して眠い目こすって自分の浮腫に自己嫌悪になりながら、荷物受け取りの間に投稿します。
本題に戻って今回の曲はこちらを語らせてください。
アコースティックライブのギターの旋律を聴いた瞬間何とも言えない哀愁漂う落ち着くキラキラした音色。音から夕暮れのような切なさを感じて実際のライブ映像を見ると少しずつ日が暮れてるような夏の美しい時間帯とあのカリフォルニアのカラッとした陽気と、空気が明るい分余計に妙な切なさを感じるオレンジの夕焼け。
楽曲の名前とライブの情景から夏の黄昏時と、Don’t walk away という切ないジェラルドの叫び。切なくて美しいなんとも言い難いライブだ。私の好きなライブの中でもこのチルな雰囲気は傑作だ。
そして、その美しいメロディと切ないボーカルに隠された歌詞の違和感。
この記事では『Summertime』という楽曲の歌詞と公式の建前がいかに致命的な矛盾を起こしているか、徹底的に歌詞を検証します。
そもそもこの曲はマイケミカルロマンスの編成を知っていると、そもそも特異的な譜割になってて私の仮説がさらにこの発見で確信へと変わりました。
6/16追記
てか二週間前に15周年記念の一環として新しい動画アップロードされてました😭👏🏻👏🏻👏🏻👏🏻👏🏻
てかフランクが常に写ってるレベルでめちゃくちゃ多くて嬉しいありがとう。
"broken bone" の意味
これは直訳の「折れた骨」ではなく、精神的・肉体的にボロボロに砕け散った自分自身の隠喩だ。過酷なツアーや、プレッシャー、自己破壊的な生き方で限界を迎えた痛々しい姿を「これっぽっちの僕の残骸」として相手に委ねている、すごく脆くて美しい表現ではないか。
1. 「6年間」の時系列
Through six years down in crowded rooms And highways I call home?
(混み合った部屋と、僕が家と呼ぶハイウェイでの6年間)
このアルバム(Danger Days)のリリースは2010年。そこから6年遡れば2004年。まさに『Three Cheers for Sweet Revenge』がリリースされ、彼らが地獄のような過酷なツアー(Highways)と、熱狂するライブハウス(Crowded rooms)での生活を始めた年だ。
ジェラルドが妻のリンジーと出会って電撃結婚したのは2007年。
もし妻に向けた歌なら、計算が全く合わない。この「6年間」という空白を矛盾なく埋められる人物は、2004年のブレイク時から同じハイウェイのバスで寝食を共にし、同じステージの熱狂の中にいたある人物以外に論理的に存在しない。
2. 「関係性」が抱える決定的な矛盾
If you stay, I would even wait all night Or until my heart explodes
(もし君がいてくれるなら、一晩中だって、心臓が破裂するまでだって待つよ)
You can run away with me Anytime you want
(僕と逃げ出していいんだよ、君が望むならいつでも)
結婚し、法的にも社会的にも安定して一緒に居るいる妻に向かって、「もし君がいてくれるなら(=いなくなるかもしれない前提)」とか、「いつでも一緒に逃げ出せるよ」と歌うのは、明らかに異常だ。
明らかに結婚という定住の契約を結んだ相手への言葉ではない。
これは、社会的な制約やバンドという枠組みの中で、いつ関係が壊れてもおかしくない、危うい綱渡りをしている相手に対する切実な懇願のではないか。
極めつけの Don't walk away!(行かないで!) という絶叫。
妻なら家に帰ればいるやんけ!!!!!
この悲鳴は、物理的、あるいは精神的に自分の手から離れていこうとしているある誰かを引き止めるためのものだ。
3. カモフラージュとしての「腕の文字」
Or you can write it on your arm
(それか、君の腕に書いたっていい)
公式が妻宛てだと言い張る根拠がここだ。実際にジェラルドとリンジーはツアー中、お互いの腕に文字を書き合っていたという記録がある。
全体を「6年間共に戦った人間への、ドロドロの執着と逃避行」で構成しておきながら、たった1行だけ妻とのエピソードをちゃんと入れてカモフラージュしてません????
この歌詞を「妻へのラブソング」として処理しようとすると、時系列も、感情のベクトルも、不自然な不確かな関係性と逃げてもいいよというサビが全く噛み合わなくなる。
Summertime - Romantic Japanese Translation
When the lights go out, will you take me with you
And carry all this broken bone
ステージの眩しい明かりが消えたら、僕を君の元へ連れ帰ってくれるかい?
そして、このボロボロに砕け散った僕のすべて(残骸)を抱きしめてくれる?
Through six years down in crowded rooms
And highways I call home?
息が詰まるようなライブハウスの熱狂の中で過ごした6年間、
そして、家と呼ぶしかなかったハイウェイの孤独な日々を抜けてさ。
It's something I can't know 'til now
'Til you pick me off the ground
With a brick in hand, your lip-gloss smile
Your scraped-up knees, and
今まで、そんなこと気づきもしなかったんだ。
レンガを握りしめ、リップグロスで微笑んで、膝をすりむいた君が、
地面に這いつくばる僕を引っ張り上げてくれるまでは。
If you stay, I would even wait all night
Or until my heart explodes
もし君がここに留まってくれるのなら、僕は夜が明けるまでだって待つよ。
いや、この心臓が破裂したって構わないんだ。
How long until we find our way
In the dark and out of harm?
暗闇を抜け出して、誰も傷つかない場所へたどり着くには、あとどれくらいかかるんだろう?
You can run away with me
Anytime you want
君の好きな時に、いつでも僕と一緒に逃げ出せばいい。僕らは一緒に逃げられるんだ。
Terrified of what I'd be
As a kid, from what l've seen
Every single day, when people try
And put the pieces back together
Just to smash them down
自分がどんな大人になってしまうのか、子どもの頃はずっと怯えていた。
来る日も来る日も、人が必死に欠片を拾い集めては、また粉々に壊してしまうのを目の当たりにしてきたから。
Turn my headphones up real loud
I don't think I need them now
'Cause you stop the noise, and
ヘッドホンの音量を限界まで上げて、現実のノイズをかき消してきた。
でも、もう僕にはそれが必要なくなったみたいだ。
君が、そのノイズをすべて止めてくれたから。だから……
If you stay, I would even wait all night
Or until my heart explodes
How long until we find our way
In the dark and out of harm?
君がそばにいてくれるなら、僕は夜通し待つよ。心臓が爆発するまで。
暗闇を抜けて、安全な場所を見つけるまで、あとどれくらいかかるんだろう。
You can run away with me
Anytime you want
Well, anytime you want
僕と一緒に逃げ出そう。君がそうしたいなら、いつだって。
そう、君の好きな時に。
Don't walk away
Don't walk away
Don't walk away!
行かないで。
行かないで。
お願いだから、僕を置いて行かないでくれ!
'Cause if you stay, I would even wait all night
Or until my heart explodes
How long until we find our way
In the dark and out of harm
だって、君がいてくれるなら、夜が明けるまでも、心が破裂するまでも待てるんだ。
誰も傷つかない場所へ、僕らがたどり着くまで。
You can run away with me
Or you can write it on your arm
僕と一緒に逃げ出そう。
それとも、忘れないように君のその腕に刻み込んでくれてもいい。
You can run away with me
Anytime you want
僕ら、一緒に逃げ出せるんだよ。
君さえ望むなら、いつだって。
• Run away from me = 僕から逃げる(僕を置いて離れていく)
• Run away with me = 僕と一緒に逃げる(僕を連れて一緒に別の場所へ行く)
How long until we find our way / In the dark and out of harm?
(暗闇を抜けて、安全な場所へ僕らがたどり着くまで、あとどれくらいかかるんだろう)
ここで彼は明確に "we" と "our" を使って、二人の未来をセットで語っている。相手が自分から逃げ去ってしまうなら、「僕ら」の道を探す必要はなくなってしまうよね。
矛盾点 B: 悲痛な "Don't walk away"
曲の終盤で、彼は狂ったようにこう叫ぶ。
「いつでも僕と一緒に逃げ出せるんだよ。だから……(ひとりで)行かないでくれ、僕を置いて行かないでくれ!」という、痛切な引き留めの切望だ。
ロックシーンでもよくあるけど、バンドという狂った閉鎖空間の中で生きていると、外の世界(ノイズ)がすべて敵に見える瞬間がある。
ノイズを消してくれた相手への依存と深い愛情がより浮き彫りになるはずだ。腕に文字を書く(write it on your arm)っていうのも、ギグの最中にペンで体にメモを残すような、パンクで生々しい彼ららしさが出ている。
このアルバムのリリース後、インタビューにて
it's definitely about the summer that we spent on prorev
この曲を紹介しているジェラルドを笑顔で見守る相手。
and meeting lindsey, and it's also about, um,
この瞬間から急に相手の笑顔が消えて、真顔で下を向いて表情が固まる相手。
その直後、その相手の瞬きは1秒間に3回以上に達していた。
そして極め付けにジェラルドがノイズを消してくれた完璧な人として語った相手は妻だった。
それを一緒に聞いていた彼は必死に無表情を取り繕いながらも、まばたきは1秒に3回を超え、その視線は耐えがたい悲哀を湛えて足元へと落ちていく。
人間は、目の前の現実を受け入れがたい時、あるいは自分の存在が否定されているという強烈な精神的苦痛に晒された時、無意識にまばたきを増やすことで、外界からの情報を遮断しようとする。
しかし、映像の彼は、顔全体の筋肉を無表情という仮面で固めたまま、瞳だけが震えるように瞬いている。これは、理性で表情を制御しているが、自律神経が悲鳴を上げている状態、つまり極限の心理的葛藤の証拠だ。
心理学を専攻していた彼は、その時、誰よりも理解してしまっていたはずだ。
あの、見ていて胸が張り裂けそうになるほど痛ましく、悲しい硬直。これほどまでに残酷な愛の否定が、かつてこれほど公然と行われたことがあっただろうか。
さらにその隣で、彼らの泥沼のすべてを間近で見てきた実弟マイキーが、いたたまれなさに視線をジェラルドから反対側へと激しく泳がせる、あの不自然すぎる沈黙の空間。
ジェラルドの紹介ではこのように妻のことの歌とされているが、周囲の反応、そして歌詞の内容からしてその解釈はあまりにも不自然なことを強調したい。
英語の文法的な構造と、そこから立ち上がる「情景のレトリック(比喩)」
'Til you pick me off the ground
(君が僕を地面から拾い上げるまでは)
ここでの登場人物の状態はこうだ
• 僕(me): 地面(ground)にいる
• 君(you): 地面から僕を「拾い上げる(pick off)」アクションを起こす側
つまり、「僕」はすでに地面に崩れ落ちている、あるいは這いつくばっている状態にあり、それを「君」が上から、あるいは支えて引きずり出す、という構図が文法的に確定しているんだ。
2. 情景のレトリック:「すりむいた膝」が意味するもの
問題は、その後に続く言葉だ。
With a brick in hand, your lip-gloss smile / Your scraped-up knees
これらはすべて、僕を助けに来た君(you)の状態を説明している。
• 手にレンガを持ち、
• リップグロスで微笑み、
• 膝をすりむいている。
ここからが、この歌詞の最高にロマンティックで痛々しい部分の解釈になる。

「僕」を地面から助け出そうとしている「君」自身も、膝をすりむいている。これは何を意味するか?
「君」だって、決して無傷のヒーローじゃない。「君」もまた、このクソみたいな世界で泥にまみれ、何度も膝をすりむきながら、這いつくばって生きてきたということだ。

そんな「君」が、同じように地面に這いつくばっている「僕」の手を握り、「おい、行くぞ」と引っ張り上げようとしている。
なぜ「這いつくばる僕を〜」という訳にしたのか
ただの直訳だとこうなる。
「君が、すりむいた膝で、僕を地面から拾い上げるまでは」
これだと、少し情景が弱い。
この歌詞の核は、ボロボロの二人が、泥の中で手を取り合うという、ヒリヒリするような共犯関係にある。
だから、あえて「地面に這いつくばる僕」という言葉を補った。
それは、前の文法構造(pick me off the ground)で僕が下にいることが明確だからだし、何より、「膝をすりむいた君」が救済者として現れることのドラマチックさを強調したかったからだ。
「完璧な誰か」が助けてくれるんじゃない。僕と同じように傷だらけの、膝をすりむいた「君」だからこそ、僕はこの手を預けることができた。
二人ともバンドという過酷な状況でボロボロになりながら(膝をすりむきながら)、お互いがお互いを泥の中から引っ張り上げ合って生きてきた、その瞬間を描写しているように感じられないかい?
「Your scraped-up knees(君のすりむいた膝)」は、君が僕と同じ痛みを共有している証なんだ。
インタビューで妻のことを話したジェラルド。でも、歌詞を書いているとき、彼の無意識の奥底にあったのは、間違いなくあの過酷なThree Cheers 時代の、お互いが唯一の理解者であり、泥の中から引っ張り上げ合って生きていた、関係性なんじゃないか。
この歌詞を「妻へのラブソング」として処理しようとすると、時系列も、感情のベクトルも、不自然な不確かな関係性と逃げてもいいよというサビが全く噛み合わなくなる。
この曲の真の姿は、2004年から6年間、狂気のようなツアーを共に駆け抜け、人混み(Crowded rooms)の中で自分を正気に保ってくれた(You stop the noise)相棒に対する、一緒に全てを捨てて逃げてしまいたいという限界突破のラブソング以外説明がつかない。
ジェラルドは、行間を読める人間に向けて、わざと「6年」という消せない意図的な矛盾を残した。
「表向きは妻への曲ってことにしておくけど、本当は誰のことか、お前らなら分かるよな?」
これはジェラルドからファンへの挑戦状なのか???
完璧な、誰も傷つかない場所(out of harm)」を目指す二人の、その第一歩。
それが、駐車場の泥の中で、ボロボロの相手が這いつくばるジェラルドの手を握る、あの瞬間だった。
洗練された大人の恋愛ソングではなく、「クソみたいな世界で、ボロボロの僕らが、お互いを見つけて、泥だらけの手で握り合った、あの夜のこと」を歌っている、血の通った泥だらけのラブソングではないか。
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