かいだん禁止|お題【高校野球怪談】
とある高校野球部には遠征中に「かいだん」は御法度という言い伝えがある。
試合前日、監督が念を押した。
「いいか。今夜は『かいだん』禁止だからな」
日頃は足腰を鍛えるため『階段』を使う決まりだが、この夜は全員がエレベーターで七階へ戻った。
主将は監督との『会談』を断り、寺好きのマネージャーは予定していた『お戒壇巡り』も取りやめた。
これで誰も『かいだん』はしていないはずだった。
翌日の試合は、どんな怪談よりも怖かった。
九回裏、二死満塁。あと一球というところで逆転サヨナラ負けを喫した。
「誰だ!『怪談』したやつは!」
全員が首を振る。誰もしていない。
その夜、宿舎へ戻ると、一人の部員が青い顔で言った。
「監督。昨日、僕たちみんなエレベーターで上がりましたよね」
「……ああ」
「部屋は……七階でしたよね」
監督がエレベーターを見ると、ボタンは六階までしかなかった。
部員が小声で言った。
「じゃあ昨日、僕たちはどこに泊まってたんですか」
(405文字)
あとがき
こんにちは、芽芽斗 守(めめと・まもる)です。
前回の「蝉時雨の外側で」にも、たくさんのスキとコメントをいただきました。ありがとうございます。
先週に続き、田原にかさんが主催されている「毎週ショートショートnote」という企画に参加させていただきました。
今回のお題は【高校野球怪談】です。
いかがでしたでしょうか。
オヤジギャグ臭が強すぎなければいいのですが(笑)。
最近は短い文を書く訓練もしないといけないと思っていたので、一週間に一度、ありがたく便乗させていただこうと思います。
少しでも刺さるものがあったら、スキを押してもらえると励みになります。
