発信を「明日の提案準備」に変える。士業・個人事業主がAI時代に自分の言葉を失わない方法【読書エッセイ】
この記事では、横須賀輝尚さんの著書『生成AI時代に士業が生き残る技術』を手がかりに、AIで文章は作れるのに発信が止まってしまう理由を整理します。一般論の量産から抜け出し、日々の顧客対応で生まれた判断基準を言葉にして「明日の提案準備」へ変える実践的な考え方をお伝えします。専門性を自分の言葉で届けるための判断材料が持ち帰れます。
※記事内にAmazonアソシエイトのリンクを含みます。
AIに「士業向けの発信記事を書いて」と頼むと、一瞬で整った文章が返ってきます。
文法も構成も完璧なのに、読み返すと誰の顔も浮かばず、画面の前で静かに腕を組んでしまうことがあります。
まるで、一度も会ったことがない優等生に代理でスピーチを頼んだような居心地の悪さです。
言葉が滑らかに出てくるほど、自分が本当に言いたかったことが霞んでいくように感じられます。
ネタリエの綿樽剛です。小さな商売のnote発信をサポートしています。
この連載『ビジネス書から考える小さな商売メモ』では、一冊の本から小さな商売や発信のヒントを考えています。
今回は、横須賀輝尚さんの著書『生成AI時代に士業が生き残る技術』(TAC出版)を取り上げます。
AIを道具として使いながら、自分の言葉を残し続けるための視点を整理してみます。
AIで文章は作れるのに、なぜか「自分の言葉」にならない違和感の正体
AIで作った文章が自分の言葉に感じられない最大の理由は、AIに渡す前の「自分の判断基準」が抜けているからです。
文章力の問題ではなく、入力側の準備不足によって違和感が生まれます。
本書の中で著者は、「生成AIを使える」状態はスタートラインにすぎないと指摘しています。
定型的な事務処理や一般的な制度解説は、誰が指示しても同じような回答として出力されます。
以前、AIを使って記事を書くときに感じる「自分の言葉ではなくなる違和感」の正体という記事でも整理しました。
文章を速く作ることばかりに気を取られると、自分が何を大切に仕事をしているのかを見失いがちです。
入力する側が独自の判断基準を持たないままプロンプトを投げると、返ってくるのはどこかで見た「正論」です。
誰にでも当てはまる綺麗な文章ほど、現場で相談を受けている本人の体温や実感が抜け落ちてしまいます。
「士業がなくなるか」ではなく「自分のどの判断が代替されるか」を問う
AI時代に考えるべき問いは、「士業という職業全体が消えるか」ではなく「自分のどの判断や業務が代替されるか」です。
主語を業界全体から自分の事務所へ引き戻すことで、生き残る道筋が見えてきます。
小さな商売において、顧客が求めているのは法律や制度の教科書的な説明そのものではありません。
「この状況なら、どちらを優先すべきか」「自社の規模ならどこから手をつけるか」という個別具体的な見立てです。
ここで、AIに任せる領域と人間が担う領域を整理してみます。
AIに任せる領域: 条文や判例の検索、制度の要約、書類の初期下書き、定型的な質問への回答
人間が引き受ける領域: 相談者の不安の聞き取り、個別事情に合わせた優先順位づけ、実行の決断の支援
発信で届けるべきなのも、一般的な法律知識ではなく「自分が現場で何を基準に判断しているか」です。
自分の仕事のどこをAIに任せ、どこを人間が引き受けるのかを分けることが、選ばれる理由につながります。
発信を「別枠の集客作業」から「明日の提案準備」へ組み替える
忙しい士業や個人事業主の発信が止まる原因は、発信を本業とは別の「集客作業」として抱え込んでしまうことにあります。
日々の業務とは別に「記事を書く時間」をわざわざ確保しようとすると、どうしても後回しになります。
本書では、情報発信を単なる集客の付属物ではなく、顧客への提案の質を変える業務として位置づけています。
今日受けた相談や商談で交わした問いを記録しておくことは、そのまま明日の顧客への提案準備になります。
著者自身も、思いついた目的や課題を音声で吹き込み、自分の文体を反映させたAIで形にする工夫を公開しています。
発信が止まる人ほど、音声入力で「記事の種」を残すところから始めるといいでも触れたように、現場の引っかかりを短いメモや声で残すことが最初の一歩です。
日々の業務を発信につなげる手順は、次の3ステップで回せます。
記録する: 相談者が何に迷っていたか、なぜその助言をしたのかを音声やメモで1行残す
AIに整理させる: メモと事実関係をAIに渡し、客観的な制度説明と論点整理を任せる
見立てを足す: 自分の事務所ならどう判断するかという優先順位を1文書き添えて公開する
この流れを習慣にすれば、無理に机にかじりつかなくても、自分だけの記事が自然と立ち上がります。
すべてを独自論にする必要はない。一般論と自分の判断基準を切り分ける
発信を続けるための重要な防衛策は、すべての文章を独自の内容にしようと気負わないことです。
制度の概要や手続きの流れといった前提知識は、AIにきれいにまとめてもらえば十分です。
大切なのは、AIがまとめた客観的な事実の隣に、「うちの事務所ならこう考える」という見解を1行添えることです。
事実はAIに任せ、解釈や優先順位の付け方に自分の視点を注ぎ込みます。
一般論と自分の判断を役割分担させると、執筆にかかる負担はぐっと軽くなります。
定型部分は手早く整え、相談者の背中を押すための判断基準にだけ自分の頭を使うことができます。
今日受けた相談の中から、顧客がふと漏らした疑問をスマホのメモに1行だけ残してみてください。
その小さな記録が、AI任せの一般論に埋もれない、あなただけの言葉の確かな種になります。
自分のnoteが一般論に偏っていないか、どこを見直せばいいか迷う方は、こちらの無料点検記事も参考にしてみてください。
→ 【note診断】noteが仕事につながらない人へ。自分で点検できる6つの場所
この連載のほかの記事は、こちらのマガジンにまとめています。
→ ビジネス書から考える小さな商売メモ
読んでくれて、ありがとうございます。
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→ 検索にも届き、人柄も伝わる。「ネタリエ」が提供する、小さな商売のnote発信サポート
【制作について】
この記事は、綿樽 剛のメモや構成方針をもとに、AIを下書きや整理の補助として使用しています。どの内容を残すか、どこを削るか、公開するかどうかは綿樽 剛が判断します。
サービスの一覧と最新の案内は、公式サイトにまとめています。
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