夫の正体|喧嘩の夜、彼は脱衣所で洗濯物を畳んでいた。
それは喧嘩と呼べるだろうか。
一方的に私が文句を言い、
彼は殻に閉じこもった。
どこに行くかと思ったら、
自分のクローゼットの中で、
体育座りをしていた。
一人になりたくて。
彼は言った。
私はいたたまれなかった。
私は言葉にできる。
でも彼は飲み込んでしまう。
どれくらい経っただろう。
スマホを渡しに部屋を覗く。
体育座りの次は狭い中で横になっていた。
話しかけてもろくな返事もせず。
彼を追い詰めてしまった。
でも私は、
何にこんなに腹を立てているのか、
自分でもうまく説明できなかった。
その後も脱衣所に閉じ籠り、
何をしているかと思ったら、
洗濯物を畳んでいた。
こんな時まで律儀に、家事をこなす。
彼の真面目さに感服した。
私と顔を合わせたくなくて、
リビングではなく、
脱衣所で服を畳んでいた彼を想像する。
どんな思いだったんだろう。
そのあとシャワーを浴び、私の顔を全く見ず、
寝支度をして布団に入っていった。
こんな喧嘩ははじめてだった。
その態度はいつまで続くの?
私も辛いから聞いてみた。
明日の朝まで。
ぼそっと答えた。
私は少し安心して、無理やり目を閉じた。
眠れないかもしれない。
それでも静かな夜を恐れながら眠りについた。
私は言葉でぶつかる。
彼は黙って閉じこもる。
同じように傷ついているのに、
傷つき方が違うだけだった。
傷つき方が違うだけだった。
私は言葉でぶつかる。
彼は黙って閉じこもる。
それでも少しずつ、
同じ場所で生きる練習をしている。
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