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1-1.「共同体感覚」の理解

※前回のページ


はじめに

アルフレッド・アドラー博士が提唱した
アドラー心理学において、アドラー博士は
すべての悩みは対人関係の悩みである
と断言しています。

そして、その対人関係のゴールは
「共同体感覚の獲得」
だとしています。

そして、共同体感覚とは、
家庭、地域、職場などの共同体の中で
他人と関係性を構築できているんだ

という感覚のことを指します。

共同体感覚は
自己受容、他者信頼、他者貢献
の三要素で構成されていると言われています。

言葉の説明

原則

一般に適用される根本的な法則のことです。
「人生における共通原則」
ならばどんな人の人生においても
適用される法則ですね。

守らなくても別段咎められはしませんが、
無視し続けると後から手痛い
しっぺ返しをくらうもの

だと私は認識しています。

価値観

価値とは
「大事に思っているものごと」
のことであり、お金で換算できないことも含みます。
そして、価値観とはその
「大事に思っているものこと」
の一覧に優先順位付けしたものです。

行動規範

行動や判断の基準となる、
守るべきルールや標準のことです。
行動規範は、示した価値観に基づきどう行動するか?
の大方針を示したものです。

共同体感覚の独自定義

共同体感覚のことをいろいろ調べても
具体的にはどうするのか?
を理解することができなかったので、

2つの原則(後述)に基づき、

自己受容、他者信頼、他者貢献
の概念を含む価値観、

行動規範を独自に定義しました。

私は誰かと交流するときは
これらを意識して接します。

当然、相手に求めるものではないので、
相手がこの感覚から逸脱していても
すぐさま咎めることはしません。

ただし、自分が
他人とどう付き合うか?
を決めるための評価基準
にはします。

例えば、行動規範(後述)のトップに

「自分が他人からやられて嫌なことは他人にしない」

がありますが、その人が

「『他人からやられて嫌なこと』をやってくるような人」
で、私が「嫌だ」と伝えても改めようとしない場合、
距離を置く選択肢を検討します。

それでは、定義を以下に示します。

共通原則

  • 自分の人生の遂行責任は自分にしか負えない

  • 現代社会において人は一人では生きていけない

共通の価値観

  1. 「人間」と人間が生み出す
    「人が必要とするものごと」

  2. 当事者間で話し合って決めて進められている状態

  3. お互いの個を大事にしつつ協力し合う姿勢

  4. 立場は違えど人間的に対等な意識

  5. 相手の言動を素直に受け止め、
    曇りなき眼で見定め考える姿勢

  6. 相手を知り己を知っている状態

共通の行動規範

  • 自分が他人からやられて嫌なことは
    他人にしない

  • 他人からやられてうれしいことは
    まず自分から他人にする

  • それぞれの立場でそれぞれが
    やるべきことをやれるように仕向ける

  • 過ちに気づいたら誠心誠意対応する

  • 経験や出来事を振り返り、そして学習し続ける

共通の価値観の詳細説明

まず「共通の価値観」と銘打っていますが、
「万人がこの価値観を持っている」
という意味ではありません。

あくまでも自分と他人に対して
公平な評価をするための価値基準、
というものですね。

1~6までありますが、
価値の優先順位はこの番号の通りです。
各価値観は自己受容、他者信頼、他者貢献に対して
以下のように働きます。

共通の価値観と三要素の関係

以下にそれぞれ詳細な説明を記載します。

1.「人間」と人間が生み出す
 「人が必要とするものごと」

最上位に価値があるのは
自分と他人を含めた「人間」です。
そして衣食住やエネルギー、教育やルール、
各自の価値観の中に含まれる娯楽なども価値があります。

この価値観は
自己受容他者貢献の根本です。

2.当事者間で話し合って決めて
 進められている状態

お互いに何を求めているか話し合いながら進めることで、
「共同体に属している」
という感覚が得られます。

これによってお互いに他者を信頼しあう状態、
信頼関係を構築できます。

なお、私はこのことを
政治の本質
だと考えています。

政党政治や権力争い、多数決などは
政治の本質ではありません。

3.お互いの個を大事にしつつ協力し合う姿勢

ここがいわゆる
「価値観は人それぞれ」
と言われる部分ですね。

ただし、他人に迷惑をかけるような価値観は
より上位の価値である1,2に反するので、
そのようなものは受け入れません。

ここは、自己受容、他者貢献に強く作用します。

4.立場は違えど人間的に対等な意識

人間的な上下意識を持つ人は
立場が高い=人間の格が高い

としがちで、
肩書など外面に見えるラベル

が判断基準のメインになりますが、

人間的に対等な意識の場合
人間の格が高い=立場の責任を果たすために
        やるべきことをやっている人

になります。そのため、ラベルよりも
内面や行動を評価する意識が生まれます。

この意識をもって人と接すると、
信頼関係を高めることができます。

5.相手の言動を素直に受け止め、
 曇りなき眼で見定め考える姿勢

正解病に陥っていると
自分の前提で相手の話を解釈する
をしてしまい、うがった見方をしてしまいがちです。

でも
相手の話は相手の前提で理解するよう努める
と、相手の話を深く「聴く」こと、
すなわち「傾聴」が可能になります。

そして、自分が持っている前提を
源流(もともとの決まり事、基本、原則など)
に置き換えていくと、
曇りなき眼で見定められる状態
に近づけます。

ただし、最も大事なのは
「私は相手の話を素直に受け止めているし、
 曇りなき眼で見定めている」
なんて思わないことです。

これはいわゆる
無知の無知(知らないことに気づいていない)状態
です。

話を受け止められたかどうかを決めるのは
聞いた人ではなく、話を聞いてもらった人です

他人に決める権利があるところを自分で
「できている」
なんて言ってしまうのは、
そもそもが越権行為なんですね。

無知の知、無知の無知状態

この姿勢へは深く自己受容していないと
なることが難しいですが、
この姿勢になると、
ちゃんと相手を受け止めることができるので、
他者貢献できますし、他者からの信頼が厚くなります。

6.相手を知り己を知っている状態

孫子の言葉に
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
がありますが、
自己理解に努め、そして理解したことを
自己受容できるようになれば
相手を理解する際のヒントになります。

そして相手を理解すると
自分の特性がさらに理解できるようになります。
自己受容他者貢献が相互に進む形になります。

行動規範の詳細説明

これら5つの行動規範は、
すべて論語の中に登場する言葉に沿っています。

己の欲せざる所は人に施す勿れ
己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す
君は君たり、臣は臣たり、親は親たり、子は子たり
過ちて改めざる、是を過ちと謂う
古きを改め、新しきを知る

超訳論語「人生巧者」はみな孔子に学ぶ

5つでもずいぶん少ないのですが、もっと短くすれば、
「謙虚に学習し続け、対等な意識をもって
 信頼関係を構築する努力をせよ」
ですね。

まとめ

正解病からくる上下意識・他責思考を改め、
そして
その姿勢の持ち主からの攻撃に対抗するには
まず共通の価値観(共通にしたい価値観)
を持つ必要があります。
この価値観をベースに、
責任の所在人格への意識を改めることの大事さが
理解できれば、正解病の克服はすぐそこです。

次のページは以下です。


参考図書

アドラー心理学
細谷功
論語

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