「コミック乱ツインズ」2025年9月号(その二)
コミック乱ツインズ2025年9月号の紹介の続きです。
先月号の紹介記事はこちら。
『ビジャの女王』(森秀樹)
ブブ&オッドとラジンの最終決戦直前に、ビジャを脱出してラジンのもとに走ろうとしたジファル。しかし彼は、偶然出会った蒙古兵の少年の名が、自分の真の名であるイーブンと同じであったことに気を取られた隙に刺され、深手を負うことに……
という前回でしたが、ラストでターバン(でよかったかしら)を取ったジファルの顔は、実はブブ似。そういえば以前、ブブが自分の父親についてなんか言っていたことがあったように思いましたが――どうやらそうだったらしく、今になってジファルの心には理不尽な運命に対する怒りが湧き上がります。
その怒りをぶつけるべく、ラジンのもとに向かうジファルの運命は――前回ラストに引き続き、急転直下した印象があります。
しかし、これもまたジファルというキャラクターの運命としては納得がいくものがあります。もっとも、これで終わりではなくまだ一捻りはあるでしょうし、もう出番はないかと思っていた残るインド墨者の一人が登場したところを見ると、ビジャ側の作戦もまだ尽きていないのでしょう。
しかし前回も触れましたが、ブブの父親はいよいよもって諸悪の根源なので、どこかでアレしないといかんのでは……
『かきすて!』(艶々)
相変わらず中山道を行くナツが今回辿り着いたのは下諏訪宿。どこに行ってもエロい風習にぶつかるナツは、喧騒を避けて山中の露天風呂に行くのですが――そこにライバル(?)のイト、そして先輩女忍びの千代がやってきて……
と、まごうことなき温泉回だった今回。本当に三人が露天風呂で素っ裸で暴れるだけという内容で、この潔さはこれはこれで凄いと思います。
『古怪蒐むる人』(柴田真秋)
怪異譚を収集する(というよりよく巻き込まれる)役人・喜多村を主人公としたシリーズ連載の本作、今回は喜多村のところにあんまに来た按摩が語る、釣りにまつわる怪談です。
上総国夷隅郡のとある淵に釣り糸を垂れていた男。ふと足元を見ると一匹の蜘蛛がやってきて、自分の足に糸を幾重もかけています。なんとはなしに気になって、その糸を傍らの棒杭にかけていたら……
と、これは江戸怪談好きであればすぐに原話(作品末尾に挙げられている書物に掲載された怪談)に気付くことでしょう。本作はこれまで珍しい、あるいはアレンジが面白い怪談を描いてきましたが、今回はクライマックスのジャンプスケアを除けばちょっと原話通りすぎたのが残念なところです。
『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』(重野なおき)
浦上宗景と、先日無事に実質主役だった漫画が完結した信長が結んでしまい、絶体絶命の窮地に陥ったかに見えた直家。しかし彼にとっては待望の息子誕生が一番の関心事で――と、ついに今回、秀家が誕生するのですが、息子の未来を夢見る親バカ状態の直家に、容赦なく史実を被せるナレーションが鬼です。
しかしこれまで(結果としてという整理ではあるものの)娘まで利用した策を使っておいて、嫡男が生まれると別人のように喜ぶ直家は、この時代の武家としては当然の考えなのかもしれませんが、やはり複雑な気分にもなります。
(そう考えると、個人的に作中で一番共感しにくいお福は、この時代に思考が最適化されているだけなのかも……)
さて、問題の宗景と信長の繋がりについては、直家の分析が説得力十分で一安心。とはいえ、ますます負けられなくなった状況で、西の毛利と東の織田、二大強国に挟まれた宇喜多の処し方が気になるところです。
次号予告
次号は『そば屋幻庵』が登場。その他、読み切りで『玉転師』(有賀照人&富澤義彦)と「艶笑譚 後家の妙薬」(子門竜士郎)が掲載されます。
しかしこうして見ると、次号はお色気/セクシー路線の漫画が1/3(ページ数的には1/2近く?)ということで、こういう路線になっていくのでしょうか……
