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「コミック乱ツインズ」2025年9月号(その一)

 コミック乱ツインズ2025年9月号の表紙は、『姉妹倫々裏づとめ 紅と藍』、巻頭カラーは『寿司銀捕物帖』、特別読み切りは『猫じゃ!!』と『古怪蒐むる人』になります(『猫じゃ!!』は表紙にカットあり)。今回も印象に残った作品を、一つずつ取り上げます。

先月号の紹介記事はこちら。


『寿司銀捕物帖』(オズノらいおん&風野真知雄)

 というわけで巻頭カラーの今回は、新章「夏のマグロは、まずいはず」第1回。寿司便覧で銀寿司と並んで関脇の「万五郎寿司」の万五郎が何者かに殺されたことから事件の幕が上がります。
 検死役の見立てでは羽交い締めで包丁を胸に刺され、刺されてしばらくは息があったかもしれないという万五郎。その彼の手元には、シジミ二つにハマグリ一つと、明らかに不自然な形で貝が置かれていたことが銀蔵の目を引きます。
 さらに銭箱が空になっていたのに加え、その場には上等な脂身のマグロが……

 そんなわけで、明らかにダイイングメッセージと思われる貝、そしてサブタイトルとなっている、この時期には存在しないはずの脂の乗ったうますぎるマグロの存在がキーとなる今回のエピソード。まだ導入部分であるために事件の謎は五里霧中ですが、捜査の帰りに寄った馴染みの飲み屋で出た夏場のマグロ料理でマグロの違和感を説明するのはうまいと思います。

 そして前回登場時に謎の存在だった飲み屋の常連のフランス人・ポワンは、勝安房守と交渉の帰りと説明されて、なるほどこの時代の話なのね、と少し納得しました。


『猫じゃ!!』(碧也ぴんく)

 江戸の猫絵師といえばこの人! というべき歌川国芳の、面倒くさくもあるあるな猫ライフを描いた本シリーズ、第5回の今回のテーマは猫の小物選びです。
 しかし冒頭から登場するのは鮑ッ貝――ってアワビは猫に食べさせると耳が落ちるのでは? と思いきや、貝殻を猫の食器に使う風習(?)が描かれます。そういえば国芳の絵には、アワビの貝殻でご飯を食べる猫の姿がちょこちょこ出ていたっけ、と納得です。(そして耳が落ちる話もちゃんと出てきます)

 そして次には猫の首輪と鈴、そういえばなんで首輪には鈴をつけるんだっけ? と、国芳と弟子たちの賑やかなやりとりが展開したと思えば、物語は国芳の家の猫・おこまが生んだ子猫がもらわれていく話に……

 と、とにかく江戸っ子らしく喜怒哀楽がはっきりしすぎる国芳のエキセントリックな猫愛が今回も炸裂しますが、しかし親猫から子猫を引き離した罪悪感から突っ走ってしまう姿(そこに至るまでの描写がまたうまい)は、猫好きとしてとしては共感するしかありません。


『エドゼニ』(青木雄二プロダクション コヤマサトシ&秋月戸市)

 江戸にタイムスリップして、なんだかんだで金貸しの手伝いをすることになった信助の活躍は、いよいよ今回から本番となります。世話になることになった漬物屋兼金貸しの弥七のところで三両借りている男・松が、かつて火事場で強盗殺人を犯したところを目撃していた信助は、松が捕まる前に借金を回収しようと考え……

 と、松が博打に目がないと知り、賭場の胴元まで巻き込んだ仕掛けで松からかっぱごうとする信助。その仕掛けがかなり時代がかったものなのは時代ものだからいいとして、成功したあとの後味の悪すぎる結末が印象に残ります。
 捕まるのは秒読みだったとはいえ、ここで信助が松をハメたおかげで、実質犠牲者が一人増えるという展開は、やっぱり信助は地獄に落ちるのでは――という気にもなります。

 長くなりましたので次回に続きます。



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