日報「ベシャン概説/高温殺菌×VBNC」
1.ベシャン概説-有機物の区別

中学理科の教科書でお馴染みである
巷のベシャン情報が表面的な話ばかりなので、一冊全訳した身として理解の及んだ部分から少しずつ概説していこうと思う。
ベシャンの記述について考え続ける日々である。彼の名前を出すと陰謀論扱いか「検証できない昔の論文」呼ばわりで相手にされないが、大枠は現代社会に定着した至極当然の主張をしているに過ぎない。現代がどれだけこの天才の恩恵を受けているかを考えれば完全に不当な扱いである。教科書の英雄パスツールの思想こそ論外であり、派閥の問題ではなく、世界はベシャンの言う通りに回っている。
マッケル条件を充足する有機物の自然変性が科学界の絶対的真理に認定された。この信念の帰納の結果、(甘蔗糖含む)遍く近成分の自然変性が容認された経緯を第一章で前述した。だが空中胚種の存在並びにスパランツァーニ仮説が棄却されたとて、私が実証した通り、一見自発的な有機物変性現象は空中胚種の作用を介してのみ発生する。だが同時に、動植物質および生体組織や体液に限定すればマッケルは真実であり、①適正湿度②一定温度③微量空気接触の三条件の裡、必須なるは始め二条件のみであり、空気および空中胚種は全く以て不要である可能性を私は示した。
パスツール氏は嘗て有機物全般の自然変性説を採用し、亦ビール酵母、乳酸酵母並びにビブリオ等の発酵体は加糖酵母液煮沸後の成分たるアルブミノイド物質を起源とする自然発生の産物だと明言した。私の実験の追試で空中胚種の実在並びに自説の誤りを悟るや、ビブリオ含む凡有る発酵体は(嘗て否定した)空中胚種を唯一起源とし、有機物自然変性の例外無き第一原因だと断言したのである。空中胚種無き所の地上には腐敗せぬ死体が累々山積する証明、その行末の推算を目論む実験に傾倒する程であった。故に氏が微小発酵体を否認し、その発見が齎す理論に反発するは必然であった。事実、乳汁や煮沸処理後の尿、血液や生肉を扱った氏の実験は生命自然発生説への論駁に熱情を注ぐ氏による私の実験の模倣産物であり、当時は未だ名も無き微小発酵体への対抗が目的ではない。氏が微小発酵体の実在と理論に対抗し始めたのは1876年以降だが、この理論が網羅する事実は1871年時点でその大半が公開済みであり、1874年以降フランス国内外で検証・確認済みであった。
彼の最初の研究テーマは「有機物」の区別だった。有機物が「有機」と云われる所以は元々「生体から抽出され、且つ生きているように振る舞う」為だった筈だが、19世紀初頭のF.ヴェーラーによる尿素の合成を機に生体由来物質でも合成可能だとされるや、「有機」の名は形骸化し、炭素を必須組成とする以外は無機物とほぼ同列に扱われるようになった。
現代有機化学のテキスト開始1ページ目にある歴史の1コマだが、よく考えればこれは誤誘導である。元々の有機物の定義は「生体由来」と「生きているように振る舞う(=有機的)」に分解可能であり、すると「生体由来+有機的」と「生体由来+静的に振る舞う(=無機的)」の二種類の物質の存在が導き出される。しかし実際は後者の一例に過ぎない尿素の合成で、生体由来の物質は総て無機的で合成可能なことになっている。では前者の例である細胞やタンパク質が核酸物質の存在無しに化学合成可能かと言えば不可能な現状がある以上、これは論理の飛躍であり、まさにこの点が現代に尚残る決定的問題点である。
この区別がなければ、紀元前由来の生命自然発生説が真に解決されることはあり得ない。彼の1854年に始まる一連の研究はまさに「生体由来+無機的」「生体由来+有機的」な物質の相違点を明示することにあった。結果、以下の区別をするに至る。
生体由来+無機的=化学的有機物:空気接触遮断で不変、変性に空気中の胚種の侵入が必要(例:精製調味料)…本質的に「鉱物」
生体由来+有機的=生理学的有機物:空気接触に関わらず自然変性、原因因子は内在(例:生鮮食品)…真の意味で「有機的なもの」
「空気中の胚種」の正体が破壊された生体組織由来の…の説明はここでは省略する。「そんなの教科書に書いてない!」と憤慨されても、言い出しっぺのパスツールは晩年この区別を事実上認めたのだから受け入れろの一言である。
とにかく化学は…有機化学が生理学を扱う通りに…今尚どちらも有機物と一括りにするが、社会は両者を完全に区別していることは一目瞭然だ。粉末砂糖と生魚を同じ棚に並べて常温保存してよいだろうか?そんなスーパーがあれば一発で潰れるだろうが、教科書で英雄視されるパスツールの思想に則れば「両方とも空気に触れさせず保存すればOK」だ。変性に空気接触が必要なのは前者の化学的有機物であり、その原則をベシャンは1858年に甘蔗糖で証明したわけだが、これを半端に盗作したパスツールは両者を区別できておらず、生物を化学的有機物の構築物と捉えており、だから彼の病原体理論では空気接触が不可欠なのだ。パスツールにとって人体と粉末砂糖に本質的な相違点は存在しない。
そうしてあらゆる物質の変性…腐敗や発酵…の原因がすべて空気中にあるという(Grokが頑なに認めない)パンスペルミア 的妄想に囚われたパスツールは「腐敗しない生物の死体が今後は地上に山積みになる」と警告したそうだ。哀れとしか言いようがないが、未だに現代の中学理科の教科書に掲載されている「白鳥の首フラスコ実験」はこの妄想に囚われた男の実験である。当然ながら100%成功する筈のない実験設計だ。事実、1861年のこの盗作魔は「生肉からの悪臭」を認めながら腐敗菌が見つけかられなかったので「変性は起こらない」と現実逃避しただけである。ベシャンが「結果の解釈に悪意がある」と憤慨するのも頷ける。
だがこの弊害は現実的問題として現代人の食品腐敗の理解様式に及んでいる。「未開封豆乳が長期間腐敗しないのは企業努力で厳格な無酸素無菌環境で製造しているから」だそうだが、これは現代が未だに豆乳(生理学的有機物)を化学的有機物と捉えていることを意味する。真に化学的有機物なら豆乳に消費期限は存在せず、常温保存で1000年後も飲めなければならない。
※現代の保存期間の長さは恐らく「高温殺菌」より「高圧保存」の貢献度が高い。高温で微生物は休眠状態になるだけで死にはしないからだ(後述)。
この認識を放置すると何が起こるか?すべての医学史上の解釈が歪曲することになる。パスツール批判をする代替療法界隈は本人が存命中の話しかしないが、この男のその後の影響を考えていないのですべての事実が孤立している。例えば明治時代の細菌学者は欧州に留学し、特に北里柴三郎などはパスツールと面会し、ドイツ医学・衛生学が中心ながらフランス医学も日本に輸入されている。つまり、明治時代の日本の医学史上の事件にはパスツールは死後も関与している。レバーソンが云う通り「驕った盗作者はこの世を去ったが、邪悪な遺産は未だ健在」だ。
何気なく紹介してるけど、明治以前の日本人の知恵やでコレ。誰のせいで忘れたと思う?
— Mit-Nak serovar.medicalis (@Mit3279) September 18, 2024
新千円札(北里)のせいだよ。日本に視察にきたコッホが⇩をコケにする様にゴマ擦りして民衆に止めさせた為。 https://t.co/AWxBWUZ6I1 pic.twitter.com/w5wSRugcWD
では白鳥の首フラスコ実験が何に応用されるかと言えば、この男の理屈ならば生肉は空気遮断で保存されるのだから当然「食品の保存技術」である。冷蔵庫のない時代の食品保存といえば缶 詰が真っ先に連想される。明治期軍人達が愛用した携帯食だ。
そこで私は初期の缶詰の失敗をパスツールのせいにしたかったが、残念ながら缶詰自体はナポレオンの頃からあるようで、直接この男の責任にすることはできなかった。だが缶詰に理論的根拠を与えた人物ではあるだろう(こじつけ)。ではこの男の言う通り「ただ空気接触を遮断しただけの生肉」を食べたら何が起こるかは現代人なら想像がつくだろう。
海軍軍医高木兼寛の闇を見つけたかも。明治16年の龍驤の演習航海ではホノルルにつく直前に脚気が勃発しているが、そのホノルル碇泊中に龍驤の軍医が書いた報告を見つけた。
— yabe (@yabemikado) April 7, 2024
食材が変敗して栄養が十分ではなかったと報告している。現場は、高木の脚気原因説である窒素炭素比どころではない!
続く)
海軍の脚気対策で兵食改革に踏み切るキッカケとなったといえる龍驤の脚気惨害を調査した海軍報告書が酷い!明治肉食論者の御高説集になってます。米食よりも肉を食えと。
— yabe (@yabemikado) April 6, 2024
添付の図の囲みが1例
『竜驤艦脚気病調査書』,海軍省,明18.2、p.6https://t.co/hbp2xZVaSL
国立国会図書館デジタルコレクション pic.twitter.com/whHaZZ5lN4
そう、この話は脚気に繋がる。脚気と言えば精白米の偏食による相対的ビタミンB1欠乏症とされるが、この定説が破綻していることは今まで訴えてきた。
帝国学士院の歴代恩賜賞一覧眺めてたら「ビタミンB欠乏症に関する実験的研究」を発見。結論部分に笑っちまった。https://t.co/MlX2G7ka5v
— Mit-Nak serovar.medicalis (@Mit3279) May 26, 2025
要するに「所々脚気と臨床症状違うけど、解剖所見が大 体 一 致してるから同じってことにしよ」かよ。
いい加減なモンだな本当。 pic.twitter.com/wyf37yQnH8
この恩賜賞が1926年(大正15年)
— Mit-Nak serovar.medicalis (@Mit3279) May 27, 2025
副腎皮質からコルチゾールの発見が1950年
アドレナリンは発見済みとは言え、副腎の皮質と髄質の機能的な違いも分からん時代の話ですな。鳩白米病と脚気は臨床上も病態生理上も全く異なる疾患である。
こんなレベルの話が定説は野放し
従って脚気の病理は再考されねばならない。森鴎外を戦犯に祭り上げた板倉聖宣の俗説に惑わされて散々鴎外を否定した現代人は猛省すべきだろう。
やめてくれる?この偽善者TLに流すの。
— Mit-Nak serovar.medicalis (@Mit3279) November 7, 2024
貧困層を病原菌扱いして都会から強制追放しようとしたクズですが?寧ろそれを止めたのが鴎外。
+陸軍は日露戦争直前までの平時には麦飯支給で脚気被害を抑制していた上に、当時の鴎外に兵食決定権はない。
無知は罪なら板倉の俗説を垂れ流すお前は有罪だ。 https://t.co/iWtHhjiO5q
そうなると、当時の脚気細菌説に改めて注目が必要である。明治期の細菌学者が敗北した理由は、彼等が空気感染に固執して衛生対策を重視した為であり、食品腐敗という…現代からすれば当たり前すぎる…単純な原因に思考が及ばなかったとの考察も可能である。当時の科学者が「腐った食べ物食べちゃダメよ」の単純な次元にすら到達していなかったのは、当時プトマイン(腐敗タンパク質)が絶賛研究対象であったことからも裏付けられる。

脚気の病因論で精白米単体ではなく、白米の糖質を栄養基質にした腸内腐敗菌異常増殖症、現代風に言えば「脚気ディスバイオシス説」を説いた松村䏋 に再注目が必要と考える次第である。ベシャンにまで遡ったからこそ、むしろ細菌性病理が肯定される一例を紹介した。
2.高温殺菌×VBNC
では「高温は細菌を休眠状態」の部分に移りたい。何気に衝撃発言なのだろうが、ベシャン的には当たり前の話だ。彼曰く、細菌はマイクロザイマスの病的形態であり、不死の生命体であるマイクロザイマスの進化形態が細菌なら当然細菌もまた不死の生命体であり、一度細菌進化を遂げたマイクロザイマスは細菌形態の酸化的崩壊後も再度細菌進化を遂げるのだから。この位置関係と、最高95℃に達するPCR法のアニーリング温度が、マイクロザイマス=核酸物質を物語る。
他の人物による証言を紹介すると、「細菌はオートクレーブ滅菌(120℃)×2でも死滅しない」とは1950年代ソビエト微生物学者ゲヴォルグ・ボシャンの言葉だが、現代で裏付けがあるとはいえCIA極秘文書を根拠にするわけにはいかない。
ということでPleomorphism(細菌多型性説)の神髄に移ろう。すべての細菌は外的ストレスに晒された際に環境適応反応をし、それには形態的変化を伴う。そのストレス反応後の形態がVBNC:Viable but non-culturable(生きているが培養できない)と呼ばれる状態である。
一般にこの形態は、私が口酸っぱく言う抗生物質と衝突した時の細菌の反応だ。主に使用される抗生物質は細胞壁合成阻害とタンパク質合成阻害だが(他にも代謝阻害とかある)、後者はRNA発見者曰く「タンパク合成を阻害すれば核酸合成が増加する」そうだ。

「またGale&Folkes(1953)は抗生物質を使用することでタンパク質合成とRNA合成を分離できることを発見した。例えば、クロロマイセチン、アウレオマイシン、テラマイシンはすべてタンパク質合成を阻害するが、核酸合成を促進する。だが抗生物質存在下で形成されるRNAが多くの点で異常であるという確固たる証拠(Neidhardt&Gros, 1957)がある為、それがタンパク質合成を支持できないことは驚くに値しない。既にオートラジオグラフィー(放射性同位元素の標識)により、卵巣と精巣においても同様の状況が観察されることを確認している。」
だが「細胞壁が合成阻害されると細菌は浸透圧差で構造を維持できず死滅する」という定説が後述の通り嘘である以上、この「タンパク合成が支持できない」もまたどこまで信頼できるやらだ。細胞の異常RNAは発癌や自己免疫疾患の原因だそうだが、ではこれが細菌の病原性突然変異の原因ではないとどうしていえよう?
歴史上最初の抗生物質と言えばペニシリン(※本当は違う)だが、βラクタム系という分類に属すペニシリンの作用はまさに細胞壁合成阻害である。そのペニシリン投与で「細胞壁を欠損させたまま生存する細菌」の存在が1935年に報告され、その当時L-form(L型菌)と命名される。観察者によって微妙な定義の相違はあれど、同じ外的ストレスへ反応の共通点からL-form≒VBNCと言える。このL型菌は増殖の為の栄養の要求量が一過性に増加する特徴があり、その培養環境を整えると、元の形態へと復活を遂げる。
つまりペニシリンは一過性に細菌の活動を変化させる効果しかないと、科学者は戦前から知っていたことを意味する。とはいえこれは抗生物質の話で高温環境とは違うようだが、これも結局は同じ現象が起こることが報告されている。
つまりこの等式関係が成立する
Pleomorphism=L-form=VBNC
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