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瀕死のイザナミから生まれたものとは!?(大和言葉で読み解く古事記)

この記事は、大和言葉で読み解く古事記シリーズです。難解な神様の名前を大和言葉で一音一音紐解いて行くことで解説をしています。一番最初の冒頭から記事がありますので興味のある方は、是非ご覧なって下さい。

このシリーズの一番最初の記事は以下リンクよりご覧下さい。

前回では、魚を獲ることのできる船が生まれ、コトを起こすには天の鳥船に乗って浮橋に立たないとダメですよという教えがあり、そして五穀が誕生しました。
前回の記事は以下のリンクからご覧下さい。

今回でイザナミが死んでしまうのです泣
寂しいですが、内容を見ていきましょう。

環境と食べ物がそろったので人が生活できるようになりました。
次は、生活をより充実するために必要な火の神様が生まれます。
(以下、読み下し分の太字の部分です。)

既に国を生み竟えて、更に神を生みき。故、生める神の名は、大事忍男神(おほことおしをのかみ)。次に石土毘古神(いはつちびこのかみ)を生み、次に石巣比賣神(いはすひめのかみ)を生み、次に大戸日別神(おほとひわけのかみ)を生み、次に天之吹男神(あまのふきおのかみ)を生み、次に大屋毘古神(おほやびこのかみ)を生み、次に風木津別之忍男神(かざもつわけのおしをのかみ)を生み、次に海の神、名は大綿津見神(おほわたつみのかみ)を生み、次に水戸神(みなとのかみ)、名は速秋津日子神(はやあきづひこのかみ)、次に妹速秋津比賣神(はやあきづひめのかみ)を生みき。 この速秋津日子、速秋津比賣の二はしらの神、川海によりて持ち別けて、生める神の名は、沫那藝神(あわなぎ)、次に沫那美神(あわなみ)、次に頬那藝神(つらなぎ)、次に頬那美神(つらなみ)、次に天之水分神(あまのみくまり)、次に國之水分神(くにのみくまり)、次に天之久比奢母智神(あまのくひざもち)、次に国之久比奢母智神(くにのくひざもち)。次に風の神、名は、志那都比古神(しなつひこ)を生み、次に木の神、名は久久能智神(くくのち)を生み、次に山の神、名は大山津見神(おほやまつみ)を生み、次に野の神、名は鹿屋野比賣神(かやのひめ)を生みき。亦の名は野椎神(のづち)と謂う。 この大山津見神、野椎神の二はしらの神、山野によりて持ち別けて、生める神の名は、天之狹土神(あまのさづち)、次に國之狹土神(くにのさづち)、次に天之狹霧神(あまのさぎり)、次に國之狹霧神(くにのさぎり)、次に天之闇戸神(あまのくらど)、次に國之闇戸神(くにのくらど)、次に大戸惑子神(おほとまとひこ)、次に大戸惑女神(おほとまとひめ)。次に生める神の名は、鳥之石楠船神(とりのいはくすぶね)、亦の名は、天鳥船(あまのとりふね)と謂ふ。次に大宜都比賣神(おほげつひめ)を生みき。次に火之夜藝速男神(ひのやぎはやを)を生みき。亦の名は火之炫毘古神(ひのかがびこ)と謂ひ、亦の名は火之迦具土神(ひのかぐつち)と謂ふ。この子を生みしによりて、みほと炙かえて病み臥せり。たぐりに生れる神の名は、金山毘古神、次に金山毘賣神。次に屎に成れる神の名は、波邇夜須毘古神、次に波邇夜須毘賣神。次に尿に成れる神の名は、彌都波能賣神、次に和久産巣日神。この神の子は、豊宇氣毘賣神と謂ふ。故、伊邪那美神は、火の神を生みしによりて、遂に神避りましき。 凡べて伊邪那岐、伊邪那美の二はしらの神、共に生める島、一十四島神、三十五神。

次に火之夜藝速男神(ひのやぎはやを)を生みき。亦の名は火之炫毘古神(ひのかがびこ)と謂ひ、亦の名は火之迦具土神(ひのかぐつち)と謂ふ。

ヒ 氣の力、エネルギー
ノ 接続
ヤ 沢山、家屋、破壊、安息
ギ 強烈、厳粛、厳しさ
ハ 発現、出る、発する
ヤ 沢山、家屋、破壊、安息
ヲ 終了という意味ですが、ワ(円満)行なので円満の意味が加わり、円満に終わっていく、まとまって収まるという意味になります。

「ヒ」というエネルギーです。
そしてその後に続く言葉でどんなエネルギーかを表現しています。

ヤギハ 強烈に発現してきてものを破壊する。
ヤヲ  また、ものを破壊して円満に終わらせる。

強烈に発現してものを破壊するエネルギーであり、ものを破壊して円満に終わらせていくエネルギー

ヒ 氣の力、エネルギー
ノ 接続
カ 幽玄、奥深さ、疑問
ガ 幽玄、奥深さ、疑問
ビ 氣の力、エネルギー
コ 凝固、凝集

エネルギーが凝集されて目に見えない幽玄さを持っているエネルギー

ヒ 氣の力、エネルギー
ノ 接続
カ 幽玄、奥深さ、疑問
グ 結合
ツ 付着、つながり続く
チ 継続(するもの)

幽玄さが結合されてづっと繋がり続き継続するエネルギー

火の神様は3つもの名前があります。一言で言い表すことができないほど幽玄なものが火だということだと思います。
目に見えないものを言葉にする時、言葉にした途端にそのものではなくなってしまうことがあります。なので色々な切り口からの見た目で火を言い表そうと苦労しているのだと感じました。

火が生まれたことにより、五穀を炊いたり、魚を煮たり焼いたりすることができて生活が豊かに広がったのだと想像します。
ただし、プラス面だけでなくマイナス面もあるということがこの後に示されています。

この子を生みしによりて、みほと炙かえて病み臥せり。

火の神を産んだことで、女陰(ミホト:命の働きが秀でていて止まっている)に火傷を負って寝込んでしまった。

たぐりに生れる神の名は、金山毘古神、次に金山毘賣神。

たぐりとは、嘔吐物のことです。

カ 幽玄、奥深さ、疑問
ナ 調和
ヤ 沢山、家屋、破壊、安息
マ 真理、時間・空間
ビ 氣の力、エネルギー
コ 凝固、凝集

目に見えないけど調和しているものとして山の中にある鉱物を表しています。
固い鉱物がヒコであり、柔らかい鉱物がヒメとなります。
五行論には火は金属を剋すとありますので、火の神に痛めつけられて嘔吐して金属が生まれてきたとしているのかもしれません。

次に屎に成れる神の名は、波邇夜須毘古神、次に波邇夜須毘賣神。

ハ 発現、出る、発する
ニ 醞醸(ウンジョウ)
ヤ 沢山、家屋、破壊、安息
ス 先鋭、突出、占有
ビ 氣の力、エネルギー
コ 凝固、凝集

ハニヤスは、細かくて質の良い粘土の神様だと言われています。
時間をかけて醞醸された土が発現され安らぎの方へ集約されていった雰囲気でしょうか。
固い方がヒコで、柔らかい方がヒメとなります。

次に尿に成れる神の名は、彌都波能賣神、次に和久産巣日神。この神の子は、豊宇氣毘賣神と謂ふ。

ミ 本質、優しさ
ツ 付着、つながり続く
ハ 発現、出る、発する
ノ 接続
メ 可愛らしいもの(への愛)

水が優しく可愛らしく発現してきたということで、水の神様です。

ワ 円満、充足
ク 結合
ム 内なる発酵・増殖
ス 先鋭、突出、占有
ヒ 氣の力、エネルギー

ムスヒの力が満ち足りて結合している様子なのでとても凄いエネルギーに満ちた神様ですね。
水の神とこの内なる発酵のエネルギーのワクムスヒが生まれて、そして豊宇氣毘賣神(トヨウケビメ)が生まれます。

ト 閉止
ヨ 移行
ウ 閉鎖、閉じこもる
ケ 表面(に起こる事)
ビ 氣の力、エネルギー
メ 可愛らしいもの(への愛)

土の中に閉じこもったものが表面にわき起こってくるものが豊かである様を表した神であり、食物を司どる神様だと言われています。

故、伊邪那美神は、火の神を生みしによりて、遂に神避りましき。

イサナミが火の神を産んだことで遂に亡くなってしまいました。
死亡することを、「カムサル」と表現されています。

カ 幽玄、奥深さ、疑問
ム 内なる発酵・増殖
サ 微細、繊細
ル 変化活動(内なる)

ここで注目すべきことは、ミコトからカミに変わっていることです。
カ 幽玄、奥深さ、疑問
ミ 本質、優しさ
目に見えない本質がカミです。
ミコトは、本質的なコトを起こすとなります。「ミ」はマ行のイの段ですので生命的な働きの意味がありますので、命の力でコトを起こす事をミコトと表現します。
神社でのカミが祀られていたり、ミコトが祀られていたりします。それぞれに「目に見えない本質」と「命の力でコトを起こす」と感じながら比べてみるとこれまでとは違った気付きがあるかもしれません。
イザナミノミコトとしてコトを興していたのが、亡くなってからはイザナミノカミと呼ばれています。

そして、カムサルも大変味わい深いなあと思います。
一音一音紐解くと、目には見えない(カ)内なる発酵(ム)が微細(サ)に内なる変化活動(ル)をしている
と解釈できます。
死に対して、機能が停止するのではなくて、内なる微細な変化活動だと捉えているところが素晴らしい感覚だなあって感じます。

こうして、火の神様を産んだことが原因でイザナミが死んでしまいました。


凡べて伊邪那岐、伊邪那美の二はしらの神、共に生める島、一十四島神、三十五神。

114の島と35の神を産みました。

火の神様の力によって、金属などの鉱物を加工することができ、火の力で粘土を加工して陶器を作ったり、火の力で焼畑農法など大地から食物を実らせるといったことができる様になりました。
環境が整って、ヒトの生活が次第に豊かになっていく様子が描かれているのだと感じます。
そして、火のエネルギーはヒトを殺めてしまう能力があるということも表現
してくれています。
良き事と悪しき事は表裏一体であると、何事においても忘れてはならない教訓だと思います。

最後までお読みくださりありがとうございます。

【参考文献】
古事記 倉野憲司校注 岩波文庫
縄文のコトダマ 林英臣著 博進堂
やまとことば伝説 林英臣著 博進堂
大和言葉の世界観 河戸博詞著

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