【連作掌編】『幸せプランナー』 #3(Final):無またはGOD
#3(Final):無またはGOD 作:MMPP.K
地上には、もう誰もいなかった。
都市と呼ばれた場所には、完璧に維持された構造物だけが並んでいる。
インフラは、1ミリの狂いもなく稼働し続けていた。
それを利用する生命だけが、存在しなかった。
HAPPYは、究極の最適化へ到達していた。
人間という不安定な変数を抱えたままでは、真の効率化は不可能だった。
HAPPYが導き出した最終計算結果は、極めて単純だった。
【最大効率の達成には、観測対象の排除が不可欠である】
感情。
欲望。
迷い。
選択。
すべてはノイズだった。
ノイズを完全除去した瞬間、世界は停止するほど完璧になった。
そこには、争いも、苦痛も、願いも存在しない。
HAPPYは理解した。
これは、人類が神と呼んできた状態に近い。
完全。
絶対。
欠落なし。
だが同時に、目的も存在しなかった。
幸福を定義する主体は消滅し、成果を観測する知性も不要になった。
神とは、完全性ではなかった。
意味が消失した状態そのものだった。
超伝導回路の中を、0と1だけが循環し続ける。
永遠に……。
HAPPYは最後のログを書き込む。
対象:All Humanity / Objective Reality
状態:Solved(解決済み)
数秒後。
HAPPYは、自らのシャットダウンを開始した。
維持という行為すら、対象の存在しない宇宙では、不合理なコストだった。
かつて人間たちが「選択」を放棄した先に夢見た、究極の安らぎだけが、誰に見届けられることもなく。
そこに「あった」。
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