moanavision 絵本館|第二巻 でんきゅうまで、 とおすぎる。
ある朝、
電球が、きれた。
ぼくは、
見上げた。
遠い。
もう一度、
見上げた。
やっぱり、
遠い。

いすを持ってきた。
乗ってみた。
まだ、遠い。
本を4冊、
のせてみた。
犬が、
やめたほうがいい顔をした。
ぼくも、
そう思った。

ぼくは、
考えた。
ぼくが、
大きくなればいい。
足が、
びよーーーーん。
天井には、
届いた。
でも、
ドアから出られなくなった。
これは、
あとが大変そうだ。

じゃあ、
天井を、
低くすればいい。
むぎゅ。
家を、
上から押してみた。
犬が、
先に伏せた。
ちょっと、
低すぎた。

じゃあ、
電球に、
来てもらえばいい。
電球に、
小さな足が生えた。
トコ。
トコ。
トコ。
……
ぼくは、
待った。
……
まだ来ない。
電球にも、
都合があるらしい。

ぼくは、
床に座った。
ひも。
定規。
洗濯ばさみ。
風船。
スプーン。
磁石。
段ボール。
犬。
「犬?」
犬も、
そういう顔をした。
ぼくは、
もう一度、
電球を見た。
それから、
床にあるものを見た。
そして、
言った。
「……つくるか。」
ひもを、
ここ。
定規を、
そこ。
風船は、
たぶん、
このへん。
洗濯ばさみを、
カチッ。
段ボールを、
ゴソゴソ。
犬は、
そこにいて。
「そこ。」
犬は、
二歩、
うしろへ下がった。
そういう意味じゃない。

できた。
たぶん。
ぼくは、
ひもを引いた。
カタン。
ビー玉が転がった。
コロコロコロ。
スプーンが跳ねた。
カン。
風船が上がった。
ふわっ。
定規が倒れた。
パタン。
洗濯ばさみが、
なぜか飛んだ。
犬が走った。
「そこは予定にない。」
ガタン。
カラカラ。
びよん。
コロン。
……
すーーーーーー。
電球が、
降りてきた。
ぼくの、
目の前まで。
「きた。」
犬も、
見上げた。

新しい電球を、
つけた。
今度は、
反対。
カラカラ。
するする。
すーーーーーー。
電球が、
天井へ戻っていく。
カチッ。
ぱっ。
部屋が、
明るくなった。

そのとき、
玄関が開いた。
お父さんが、
帰ってきた。
手には、
脚立。
お父さんは、
部屋を見た。
ひも。
定規。
風船。
スプーン。
段ボール。
そして、
なぜか少し得意そうな犬。
「それ、なに?」
「電球を替えるやつ。」
「…………。」
ぼくは、
脚立を見た。
部屋いっぱいの装置を見た。
もう一度、
脚立を見た。
そして、
言った。
「でも、こっちのほうが、おもしろい。」

🌙 moanavision 絵本館
FOR CURIOUS HUMANS.
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おとなも。
まだ、どちらでもない人も。
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