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7年間好きだった人と終わって気づいた。人生の「かもしれない運転」を、少し卒業した。


7年好きだった彼に「もう連絡しないね」と伝えてから、1週間が経った。
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端的に言うと、何も起こらなかった。

そりゃそうだろ、という話なのだけれど。

2日くらいは泣いて、目もパンパンに腫れた。

(ちなみに翌日が休みの金曜日を狙って伝えた。計画的なんだか衝動的なんだか、自分でもよく分からない。)

伝える前は、この世が終わるような気がしていた。

「やっぱり会いたい」と連絡が来るかもしれない。

逆に、すべて吹っ切れて急に毎日が輝き出すかもしれない。

……でも、そんなドラマみたいなことは何ひとつ起きなかった。

昨日の続きみたいな今日が来て、ご飯を食べて、仕事をして、眠る。

ただ、それだけだった。

でも、その何でもない一週間の中で、一つだけ気づいたことがある。

私はずっと、「かもしれない」に人生を運転されていた。


彼は、本当に忙しい人だった。

だから私は、

「急に時間が空いて、連絡が来るかもしれない。」

そう思って予定を空けておくことがよくあった。

今思えば、そんなことはほとんどなかったのに。

それでも私は、「かもしれない」のために、自分の時間を空け続けていた。

まだ起きてもいない未来のために、今日を生きることを後回しにしていた。


恋愛だけじゃない。

当時の私は、本気で思っていた。

「彼みたいな人には、もう二度と出会えない。」

尊敬できて。

面白くて。

趣味も合って。

あんな人は一人しかいない、と。

でも今なら分かる。

彼が特別だったというより、私の世界が彼だけになっていたのだ。

7年という時間が、恋を少しずつ執着に変えていた。


思い返せば、入った会社があまりにもミスマッチで、
わずか2か月で辞めたときもそうだった。

あの時の私は、
文字通りこの世の終わりのような気分で
自分を責め立てていた。

「こんな短期離職をしたら、もう次なんて見つからないかもしれない」

頭の中では最悪の未来ばかり膨らみ、私は動けなくなっていた。

実際の世界は、私が想像していたよりずっと穏やかだった。

今は毎日健やかに働けている。



仕事でも、私は同じ「かもしれない」に足を止めていた。

「やってみたい業務がある。でも実力不足かもしれない。」

「締め切りに間に合わなくて、周りに迷惑をかけるかもしれない。」

「挑戦して失敗したら、評価が下がるかもしれない。」

そんな理由を並べて、私は手を挙げなかった。

でも彼に別れを告げた翌週、思い切って上司に「やってみたいです」と伝えてみた。

返ってきたのは、とてもシンプルな言葉だった。

「ぜひ!」

それだけだった。

業務量も調整する。

挑戦できるようにサポートする。

私が勝手に高くしていたハードルは、案外あっさり越えられるものだった。

拍子抜けするくらいに。


よく考えたら、この数年ずっと「かもしれない」に人生を運転されていた。

もちろん、「かもしれない」を考えること自体は悪くない。

教習所では、「かもしれない運転」が大切だと教わる。

子どもが飛び出してくるかもしれない。

自転車が急に曲がるかもしれない。

命を守るためには必要な想像力だ。

でも。

人生まで「かもしれない運転」を始めると、アクセルが踏めなくなる。

「彼から連絡が来るかもしれない。」

「失敗するかもしれない。」

「評価が下がるかもしれない。」

もちろん、その可能性はゼロじゃない。

でも、その「かもしれない」を理由に今日を止める方が、私はずっと怖い。


じゃあ、彼と過ごした時間は無駄だったのか。

そう聞かれたら、私は首を横に振る。

出会って、一緒に時間を過ごしたからこそ知れたことがたくさんある。

今こうして書いているこの文章も、その一つだ。

そして今、仕事で評価してもらえることの中には、何年も前から彼がほめつづけていてくれた部分がある。

「物事を見る視点がおもしろい。」

当時は照れくさくて笑って受け流していた。

でも、別の場所で同じことを評価されるたびに、 少しだけ切なくて、少しだけうれしい。

人との出会いは、不思議だ。

一緒に歩き続ける人もいれば、 途中で別々の道を歩く人もいる。

でも、その人が何気なくくれた言葉は、 案外そのあとも、自分の中に残り続ける。

私にとって彼は、そんな人だった。

だから私は、彼と過ごした時間を無駄だったとは思わない。


今は、不安がなくなったから前に進めるんじゃない。

不安は、たぶんこれからもなくならない。

それでも

そのたびにブレーキを踏む人生より、

少しだけアクセルを踏める人生の方を選びたい。

人生の「かもしれない運転」を、少し卒業しようと思う。

……

まあ、私、免許持ってないんですけどね。

人を轢くかもしれないので。

もふおみ

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