ZINEフェス岩手に出ますので新刊の試し読みなど
今年の目標、東北のイベント色々出るぞだったので、
告知があるたびに申し込んで未来の自分にまかせていました。
今ちょっと後悔しています。忙しいよ新年度。
岩手でのイベント参加初めてなので楽しみです。雰囲気とか。
イベント告知
お知らせです!
ZINEフェス岩手に出店します。
■日時
2026年4月11日(土)
■開場時間
11時~16時
■入場料
300円
■場所
サンビル(岩手県産業会館)
〒020-0022 岩手県盛岡市大通1丁目2−1
イベント詳細は以下の公式ページをご覧ください。
おしながき

今回のイベントには新刊1冊とこれまでつくってきた5冊を持っていきます。各ZINEの紹介は以下の記事をご確認ください。
新刊紹介

今回、新刊として日記に近いエッセイ本を持っていきます。
太陽にはなれそうにもない日陰者。
でもせめて、太陽に憧れる朗らかさを持つひまわりになれますように。内省の日々を書き綴った、日記に近いエッセイ集。
「エッセイの書き方をしらない」「日々のよれよれ」に続く三作目のエッセイ集として作成しました。過去二冊よりも内省的と書いてありますがなんというか、自分のために書いた文章が並んでおります。当サークルで写真や表紙のモデルさんをしてくれている友人のアンちゃんに、誕生日プレゼントをもらってからの日記だと思って読んでもらえるのがいいかなと思います。
以下試し読みとして最初のエッセイまるごと置いておきます。
【試し読み】ひまわりになれますように
アンちゃんに鏡をもらった。誕生日の前日の夜、私たちは焼肉を食べていた。職場の新年会の最中というかもうそろそろ締めの挨拶はじまるよなというタイミングで、アンちゃんは急に私の隣に座って、プチプチ袋に包まれた小さくて丸くて見た目より少し重いものをテーブルの下でひそかに手渡してきた。
「たんじょうび」とアンちゃんは言った。
アンちゃんの話をしよう。彼女は私の創作活動においてのミューズである。久しく絵を描いていなかった頃に出会い、絵を再開するきっかけになった子。絵をかいて、彼女に贈って、それから私はアンちゃんをモデルに写真を撮り、本の表紙などに使わせてもらっている。そもそもどういう出会いをしたかというと職場の同僚で、その関係はあと二ヶ月で終わる。私が退職するから。
でもアンちゃんとはこれからもずっと友達で、私のミューズ。友達が少ないことを自負している私が胸を張って友達だと呼べる数少ないひとり。
友情においては何も関係ないけど私たちの生年月日は一年と一日違い。これも友情に関係ないけどベトナム出身の子だ。アンちゃんが日本語堪能なおかげで私たちは何の問題もなく友情をはぐくみ続けている。
アンちゃんは日本語が上手い。どのくらい上手いかというと日本で事務員をしながら電話の取次をしてセールスを適当にいなせるくらい。たまにいなせなくて私にパスしてくるけど全然構わない。だって私がベトナムで何年働こうと電話の取次なんてできっこない。まじめで努力家で、でも甘え上手な愛しいアンちゃん。
それだけ日本語がうまいのに、なぜか片言でぎこちなく「たんじょうび」とだけ言うので、とにかくプレゼントなんだろうと思い受け取って、プチプチ袋を開くと、折り畳み式の丸いミラーが入っていた。蓋一面に刺繍が施された、ちいさくて丸い鏡。ひまわり畑が刺繍された鏡。
見渡す限りの一面のひまわり畑、中心に灯台、きっと海辺なんだろうな、小さく海も見える、桃色の夕焼け空、少し傾いた太陽。
受け取って一目見て、ああきっと、きっと私のことを思って描いてくれたんだろうとすぐにわかって、でもそんなの私のうぬぼれかもしれない、わたしがそう思いたいだけかもしれない、モチーフすべてが憧れだからって、うぬぼれんなよ、と一瞬で脳内で否定も入った。
泣きそうだったんだけど、今わたしたち二人きりじゃないし。職場の新年会だし向かいの席に偉い人座ってるし、だから平然を装って聞いた。
なんでひまわりなの? って。真冬なのに、って。
太陽みたいだから、ってアンちゃんはすぐに言ってくれた。うれしくって何も言えずにいたら、伝わらなかったと思ったのか補足が入った。いつも元気だから太陽みたいだから、明るい、などと繰り返してアンちゃんは困った顔をしていた。
ありがとう、めっちゃうれしい、この刺繍何時間くらいかかるの、聞いてくださいアンちゃんすごいんですよお、って、周りの人を巻き込んで盛大にお礼を言ったはず。でもあんまり覚えていない。私の心はひまわりで埋め尽くされていて取り乱していて、はやく一人になってこの感情の奔流と向き合いたかった。程なくして新年会は終わり、店の前で二次会の相談をしている人たちにせっせと頭を下げて駅に走った。ひまわりと向き合うために。
自分を明るい奴だなんて思ったことは一度もない。
矮小で狭量な心の持ち主でろくでもない暗い奴だってずっと思ってる。年々さらに偏屈さは増してきて、好きと思える幅は狭まって、許せない基準が増えていく。人の幸せを素直に喜べないし人の不幸を陰でほくそ笑んでるどうしようもないちっぽけな心。自覚はある。
でも、そう思われたくない、それを人に見せたくないというプライドもある。明るく快活な人だと思われたい。そう振舞ってきた。誰にでも分け隔てなく接する、笑顔を絶やさない人でいられるよう気を付けてきたつもり。
初対面の人には真面目そうだと言われる。少し一緒に過ごすと、意外と抜けてるけど元気だよねという評価に変わる。心を開いた相手には、どちらも言われなくなる。
だからひまわりが似合うという評価はおかしくないように思える。でもねわたしはアンちゃんにはとても心を開いているし、自分のダメなところ、暗いとこ嫌なとこ全部見せてきた。そう思ってる。数少ない友人だから。
それだけさらけ出してきた相手から、一面のひまわり畑という贈り物をもらえたことが私はたまらなくうれしい。ひまわりみたい、じゃなくて、太陽みたいという理由もうれしい。私が誰かを明るくできていたのならとても嬉しい。
私は太陽じゃないと思う。
でも太陽に憧れている。ずっと太陽を見上げて追いかけているひまわりのようなものかもしれない。そう初めて思った。
そうじゃなきゃ、明るく振舞ったりしない。あなたは太陽に憧れているからそうやっておどけている。
太陽みたいになれますように。
それを願い、まっすぐに憧れ続けるすこやかな明るさが欲しい。そう強く願う。この鏡を持っていても恥ずかしくない自分でありたい。
この日記は、エッセイと呼ぶにはあまりにも私的なもの。ひまわりになるための自省と振り返り、私とわたしの対話ばかり。
それでもよければお付き合いください。向日葵前夜。私が明日ひまわりになるための夜の記録。
ひまわりになれますように。
こんな感じのエッセイというか日記というか、がいっぱい載っているZINEです。よければお手に取ってご覧ください。
そしてトオアケ書房のWEBショップでも今日から販売します。
今年、仙台や福島、宇都宮のZINEフェスにも持っていくのでよければそちらでも。
では、土曜日ご都合よろしければぜひ盛岡のサンビル(岩手県産業会館)でお会いしましょう。
