ローカルで「情報の空白」が埋まらない、田舎あるある3つの理由
ローカル・地方特有の「情報の空白」について、実際に気づいている方は多いのではないかなと思います。
だから、ローカルメディアの立ち上げは各地でブームになり、今もチャレンジは続いています。
そりゃそうだよね、という「空白の背景」を理解してから、「なぜ空白はそのままになりがちなのか」を考えていきます。
インターネット上にローカル情報が少ない理由
実体験として、私は今から10年以上前に「情報の空白」に直面しましたが、なぜ2020年代になってもなお、地方の暮らし情報がデジタル空間に蓄積されているように見えないのでしょうか。
そこには、ITリテラシーの問題だけでは片付けられない、根深い3つの理由が存在するように思います。
理由1:情報の非言語・クローズド化(閉鎖的)
まずローカルにおいて、生活上の価値のある情報は「デジタル化される必要がなかった」という事実。
これが、いざ困った時に欲しい情報がインターネット上に存在しないという、「情報の空白」です。
「噂話」という最強のインフラ
お裾分け、立ち話、自治会の寄り合い。
狭い地域内での生活に必要な情報は、顔見知り同士の人間くさい、対面的なネットワークで十分に完結してきました。もちろん、今現在も。
動機の欠如
誰がどこで何をしているか筒抜けの「ムラ社会」において、あえてインターネットで情報公開することは、プライバシーのリスクにもつながります。
その結果、地域住民にとっては「わざわざ書くまでもない当たり前」が、よそ者にとっては「検索しても出てこない情報の空白」となってしまう。
そして、その現実に困るのはほんの一部の人、とも言えます。
この「情報の非言語化・クローズド化」は、地域が閉鎖的であることを意味し、いずれ移住者の「孤独感」「孤立感」の理由の一つになりえます。
理由2:行政の境界線(生活圏とのずれ)
「生活圏」の定義は、町のサイズや住民個人のライフスタイルによって異なります。
その上で、本来「最低限ないと困る」情報は共有・デジタル化する動きが行政側からあっていいものですが、住民の生活は「行政区」で区切られていません。
でも、不足しがちな地域情報の供給源であるべき行政が、厳格な「管轄」という境界線に縛られている。
このジレンマがある限り、「情報の空白」は埋まりません。
行政管轄の壁
例えば住民が隣町の病院に通っていても、自町の役所は「隣町の情報」を公式に発信することが、難しい。おそらく可能ではあるが、時間がかかる。しがらみもある。
何かしら「言い訳」がないと厳しい、そんな現実があるはずです。
縦割り行政の情報発信
福祉、教育、産業。組織内縦割りの担当課が個別に発信する情報はバラバラで、ユーザーである住民の「暮らし(横断的なニーズ)」に最適化されていない可能性が高い。
結果として、生活圏全体を網羅するような「生きた情報」が編集されにくい仕組みになっています。
人口密度が低く、生活インフラの一部を他エリアに依存している田舎町なら、「あるある」な事情だと思います。
自治体によっては、特別な専門部署や広報・編集部門が立ち上がって、課題解決に動いている場合もありそうです。
理由3:経済的合理性(絶望的な収益化)
世間一般的に、インターネットの収益化システムは、PV(閲覧数)に応じた広告収入やアフィリエイトを原動力としています。つまり、アクセス数の指標となる「人口」が極端に少ない地域では、このモデルは最初から破綻しているということ。
ウェブ広告ビジネスの常識的に、ローカルメディアのマネタイズは、あらゆる数字から見て非現実的です。
ユーザー数の天井
例えば人口1.7万人の町では、全住民(新生児から100歳以上まで!)が毎月アクセスしても1ヶ月で2万PVに至りません。全員が毎日アクセスしてやっと、月間50万PV。
全国に読者がいる大手メディアにとっては、「誤差」程度の数字にしかならないことは、明白です。
広告主の不在
地元の商店にとって、広域に届ける印象のウェブ広告は「無駄打ち」と認識されがちです。
人材不足などの切実な事情から、「現状維持」を良しとして広告に消極的な経済圏であるケースもあります。
広告単価が低い
PV数に連動して算出するインターネットの広告単価では、メディアの運営コスト(人件費・サーバー代など)を賄うことが難しい。
ローカルでウェブメディアを立ち上げても「儲からない」という常識が、広告や報道・出版などプロの参入を阻んでいます。
マネタイズは、事業継続の基本。
特別予算がなければ、メディアを立ち上げるという内部・外部からのクリエイティブな働きかけは、望めないでしょう。
「情報の空白」を埋めるために
これら「文化」「行政」「経済」の3つの事情が絡み合うことで、地方に情報の空白が生まれがち、放置されがちという現実。
この「構造的な無理ゲー」、突破できるものなのでしょうか?
ローカルメディア 『大字基山』の持続可能モデル
『大字基山』は人口1.7万人の小さな町を拠点に、メディア業界の常識的にはめちゃくちゃ小さい規模でのんびり運営している、自発的に立ち上がったローカルウェブメディアです。
現在は、補助金・助成金0円、ウェブメディアの事業収入100%で、運営を継続しています。
最低限のマネタイズが、できています。
2027年のサイト開設10周年に向けて、「続いている、続く見込みがある」という一点において、『大字基山』はこの「無理ゲー」を強行突破している、と言えるかもしれません。
次回、サイト開設時からブレずに『大字基山』を支え続けている、少し特殊に見えるかもしれない、でも極めてロジカルな「コンセプト」の正体を明かしていきます。
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