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オールAでも、来年も安心とは限らない理由|健診が見ている範囲について|再検査と言われたら #06(最終回)

この連載は5回にわたって、健診で引っかかった方に向けて記事を書いてきました。最終回は逆です。オールAだったあなたへ。

最初に言わせてください。オールA、おめでとうございます。第1回に書いたとおり、全項目Aで揃う方は人間ドックでおよそ1割前後。素直に喜んでいい結果です。

ただ、外来で少しだけ心配になる瞬間があります。オールAの結果票を見せてくれた方が、こう続けるときです。

「これで2〜3年は健診いらないですよね」
「多少不摂生しても大丈夫ってことですよね」

その解釈だけは、もったいない。最終回は、健診というカメラの「写る範囲」の話をします。

■ 健診は「動画」ではなく「写真」です

健診は、年に1回の体のスナップショットです。

写真がよく撮れていたことと、来年もよく撮れることは、別の話です。体は毎日変わっていて、とくに生活習慣の積み重ねは、A判定の範囲の内側で静かに動きます。

だから、オールAの結果票でいちばん見てほしいのは、判定の文字ではなく、去年の数値との差です。

たとえば同じA判定でも、去年より体重が3キロ増えて、血糖も脂質も「Aの上限側」へじわっと寄っている——これは「今年もA」ではなく「Aのまま悪化中」です。逆に言えば、来年Bになる前に気づけるのは、オールAの今年だけなんです。

■ 写真に「写らないもの」があります

もうひとつ。健診の数値に現れにくい病気は、あります。

急に進む病気は、年1回の写真と写真の間で起きることがあります。また、体の不調のすべてが血液や尿の数値に出るわけでもありません。

だから、健診とは別の回線をひとつ持っておいてほしいのです。それが自覚症状です。

体重が急に減った。便の様子が変わった。いびきがひどくなったと家族に言われた。階段で息が切れるようになった。こうした変化は、オールAの結果票より優先度の高い情報です。「健診はAだったから」と自覚症状を打ち消すのではなく、「Aだったのに変だな」と受診の理由にしてください。順番は、症状が勝ちます。

■ あなたの健診が「見ていないもの」を1つ確認

最後にひとつだけ、来年に向けた宿題です。

お手元の結果票の項目欄を、ざっと眺めてみてください。そこに載っていない検査は、受けていない検査です。当たり前のようで、ここが盲点になります。「健診で全身みてもらった」という感覚と、実際に見た範囲には、ずれがあることが多いのです。

とくに、がんの検査が入っていたかどうかは一度確認する価値があります。職場の健診には含まれていないことも多く、その場合は別枠で受けに行く必要があります。何を足すべきかは年齢や性別で変わるので、健診結果を持ってかかりつけ医に「私の場合、何か追加した方がいいですか?」と聞くのが近道です。

■ 連載を終えるにあたって

6回、お付き合いいただきありがとうございました。

要再検査の封筒に青ざめていた方も、オールAで油断しかけていた方も、伝えたかったことは同じです。健診は、あなたを裁く成績表ではなく、10年後のあなたへの手紙です。読み方さえ分かれば、怖い書類ではなくなります。

来週の水曜に、全6回をあなたの状況から引ける目次記事を出します。ブックマーク代わりにどうぞ。そしてその次の土曜からは、新連載「その健康情報、あなたに当てはまる?」が始まります。第1回は、外来でほぼ毎週きかれる「血圧は高めがいい」説。フォローしておくと、届きます。

健診結果で気になっている数値や、「これはどう読むの?」という疑問があれば、コメントで教えてください。新連載で取り上げていきます。

【お知らせ】 手元の結果票を、項目ごとに開いて読む用のガイドを出しています。800円です。短い動画の講座も付けています。個別の診断はしません。読み方の地図です。 → https://note.com/moppyandchappy/n/n0883a53cb4a9

同じ内容を本でも出しています。 → https://www.amazon.co.jp/dp/B0HDSC39FC

【お知らせ】
オンライン健康相談をはじめました。健診結果や再検査の気がかりを、医師と30分、ゆっくり話す時間です。毎週火・日 13〜17時。「オールAだけど、この症状が気になる」というご相談も、どうぞ。
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(診断・治療・処方は行いません)

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