その数値、体からのSOSではなく「その日のゆれ」かもしれません|再検査と言われたら #02
健診の数字は、その日のあなたを写す鏡です。
前回、「要再検査は重い病気の宣告ではない」という話を書きました。今回はその続きです。
健診の数字が、病気ではないのに一時的に悪く見えることがある。診察室で何度も見てきた、その代表例をお話しします。
腎臓の数値が高い?——脱水とクレアチニン
クレアチニンという項目があります。腎臓のはたらきを映す数字です。
この数字、じつはその日の水分の量で、けっこう揺れます。
思い出してみてください。健診の前日、お付き合いでお酒を飲まなかったでしょうか。当日は朝から絶食。暑い時期なら、汗もかきます。水も飲まずに会場へ向かえば、体は軽い脱水になります。
すると血液が少し濃くなり、腎臓に流れこむ血液も減って、クレアチニンが普段より高く出ることがあるのです。
同じ量の塩でも、たっぷりの水に溶かすか、少ない水に溶かすかで、濃さは変わりますよね。あれと似ています。
こういう方が、水分をとって再検査を受けると、今度は正常値。実際、よくあります。
だから健診の朝は、施設の案内で許されている範囲で、水分をとってから行くのがおすすめです(多くの健診では、水は飲んでよいことになっています。案内文を確認してみてください)。
白血球が多い?——風邪のなごり
白血球は、体を守る兵隊の数です。感染があると増えます。
つまり、健診の少し前に風邪をひいていたら、増えていて当然なのです。治りかけでも、数日は高いままのことがあります。
それを知らずに受けると「白血球増多・要再検査」の文字にドキッとすることになります。
対策はシンプルで、問診票の体調欄に「先週、風邪をひきました」と書くこと。判定する医師にとって、いちばんありがたい情報です。
尿に血が?——タイミングの問題
女性の場合、生理の前後に尿検査を受けると、潜血が出ることがあります。一時的な蛋白尿も、激しい運動のあとや発熱時にはめずらしくありません。
これもタイミングを申告して、日を改めて再検査すれば、はっきりします。
尿酸が高い?——筋トレとプロテイン
最近ジムに通いはじめて、プロテインを飲むようになった。そんな方の尿酸値が上がることがあります。
「ビールを飲まないのに、なぜ?」とよく聞かれます。尿酸のもとは、じつはお酒だけではありません。たんぱく質を大量にとる生活や、水分不足のトレーニングも、数字を押し上げることがあるのです。
筋トレをやめる必要はありません。量と水分バランスを見直して、次の検査で答え合わせをすれば大丈夫です。
「揺れ」か「本物」かは、再検査が教えてくれる
ここまで読んで、「なんだ、うちのもきっと揺れだ」と思った方へ。
その可能性は十分あります。でも、揺れかどうかを最終的に判定できるのは、再検査だけです。
前回も書いたとおり、基準値は健康な人の95%が収まる範囲のこと。1回の数値は「点」にすぎません。去年からの流れと、その日のコンディションを並べて、はじめて「これは揺れ」「これは対応が必要」の区別がつきます。
再検査は、あなたを疑う場ではなく、あなたの数字の言い分を聞いてあげる場です。どうぞ、行ってあげてください。
次回は、心電図の「怖い名前」の話。「不完全右脚ブロック」という、いかめしい名前の正体をやさしくほどきます。フォローしておくと、続きが届きます。
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