LIVE HOUSE fr404|第5回「最後だから」
十七時十一分。
電車を降りる前に、店のグループへ通知が来た。
《再来月17日、空いてますか?》
階段を降りる。
ドアを開ける。
「お疲れさまです」
「お疲れ」
受付へ行く。
予定表を開く。
再来月。
十七日を見る。
空いている。
「大塚さん、再来月十七日問い合わせ来てます」
大塚が予定表を見る。
「そこは入れないで」
「埋まってます?」
「来月末までだから」
「何がですか」
大塚がペンを置いた。
「店」
少し待つ。
「閉めるんですか」
「うん」
「来月末?」
「そう」
予定表を見る。
来月にはすでにいくつか予定が入っている。
「今入ってるやつは?」
「やる」
「新規は?」
「来月の空いてるとこだけ。全部は入れない」
「最終日は?」
「まだ決めてない」
「発注は?」
「それもまだ普通でいい」
スマートフォンを開く。
問い合わせへ返す。
《申し訳ありません。再来月は受付していません》
送る。
予定表を閉じない。
来月。
空いている日。
埋まっている日。
受付横へ置く。
十七時二十八分。
宮内が来る。
「お疲れさまです」
「お疲れさまです」
冷蔵庫を開ける。
大塚が言う。
「宮内、店、来月末で閉めるから」
宮内の手が冷蔵庫の扉にかかったまま止まる。
「え」
「来月末」
「そうなんですか」
「うん」
少しして扉を開ける。
「水、入れます?」
「お願いします」
水と氷の確認を始める。
私は受付へ戻る。
予約表。
レジ。
チケット。
いつもの位置へ置く。
宮内が奥から言う。
「コーラも出します?」
「六本くらいで」
「はい」
箱を持っていく。
六本。
残りを戻す。
十七時四十三分。
大塚が予定表を持ってくる。
「来月、ここ問い合わせ入るかも」
日付を指す。
「仮で書きます?」
「まだ書かなくていい」
「分かりました」
スマートフォンを見る。
さっきの問い合わせから返信。
《了解しました。ありがとうございます》
既読だけつける。
十八時前。
タクマが入ってくる。
「お疲れ」
「お疲れさまです」
大塚が同じことを伝える。
タクマはバッグを置く。
「そうなんだ」
「うん」
「今日何か食べた?」
大塚が聞く。
「まだ」
タクマはスマートフォンを見る。
「買ってくる」
階段を上がった。
宮内が紙コップを並べる。
十八時十二分。
ゆーりんが来る。
「お疲れさまです」
「お疲れさまです」
バッグを置く。
大塚が言う。
「ゆーりん、店、来月末で閉めるから」
「来月末ですか」
「うん」
ゆーりんはスマートフォンの予定を開く。
来月。
《仕事》
《MAXPiece リハ》
《fr404》
予定がいくつか並んでいる。
「俺、来月いつ入ってましたっけ」
予定表を一緒に見る。
日付を確認する。
ゆーりんが一つ入力する。
次の日。
また一つ。
「ここは?」
大塚が指す。
「そこは無理です」
「仕事?」
ゆーりんが画面を見る。
「予定あります」
「了解」
スマートフォンを閉じる。
それ以上は言わなかった。
十八時二十六分。
タクマが戻る。
コンビニの袋。
「何買ったんですか」
宮内が聞く。
「おにぎり」
「何個?」
「二個」
「普通」
タクマが袋を壁際へ置く。
「開場何時?」
「十八時半です」
「じゃああとで食べる」
十八時半。
開場。
客が入る。
名前。
料金。
ドリンクチケット。
次。
二人。
次。
予約表にない。
スマートフォンの予約写真。
確認。
名前がある。
紙へ足す。
料金。
チケット。
十九時十四分。
スマートフォンが震える。
問い合わせ。
《そうなんですね。最後なら、来月の別日でも一回出たいです》
予定表を見る。
空き日。
大塚に見せる。
「これは?」
「候補聞いといて」
返信する。
《来月であれば候補日をいくつかお願いします》
送る。
受付へ戻る。
客が来る。
名前。
料金。
チケット。
十九時三十七分。
宮内が受付へ来る。
「問い合わせ増えました?」
「少し」
「そうなんですね」
ドリンク側から呼ばれる。
宮内は戻る。
十九時五十三分。
タクマが受付横でおにぎりを食べている。
「今日多い?」
「普通です」
「問い合わせは?」
「増えてます」
「最後だから?」
「多分」
タクマはもう一口食べる。
客が来る。
受付へ戻る。
会話はそこで終わる。
二十時十二分。
ゆーりんが水を出す。
宮内が氷を足す。
私は紙コップを一束持っていく。
「そこ置いてください」
「はい」
受付へ戻る。
スマートフォンが震える。
別の問い合わせ。
《閉店前に一度見に行きたいんですが、普通に予約できますか?》
客を一人受付する。
名前。
料金。
チケット。
客が入る。
画面を見る。
《営業日のご予約は通常通り可能です》
送信する。
二十時三十四分。
大塚が予定表を見る。
「ここ、返事来た?」
「まだです」
「来たら見せて」
「はい」
来月の欄。
空いている日。
仮の線。
決まっている営業日。
ペンを置く。
二十時五十五分。
客が一人来る。
「終わるって聞いたんですけど」
「はい」
「来月までですか」
大塚を見る。
大塚がこちらへ来る。
「来月末まで」
「そうなんですね」
客が料金を出す。
受け取る。
ドリンクチケットを渡す。
客が中へ入る。
大塚は客席へ戻る。
二十一時十八分。
ゆーりんが受付へ来る。
「来月増えますかね」
「予約ですか」
「人」
予定表を見る。
「分かんないです」
「ですよね」
スマートフォンをポケットへ戻す。
「水、まだあります?」
宮内が奥から聞く。
冷蔵庫を見る。
「あります」
「じゃあ大丈夫です」
二十一時四十七分。
終演。
客が出る。
「ありがとうございました」
一人。
二人。
三人。
入口。
受付。
レジ。
予約表。
宮内がコップをまとめる。
ゆーりんがゴミ袋を替える。
タクマが入口横の箱を奥へ運ぶ。
大塚がレジを見る。
二十二時過ぎ。
冷蔵庫を開ける。
ジンジャーエール。
六本あったはずが二本。
「大塚さん」
「ん?」
「ジンジャー、あと二本です」
「うん」
「発注、減らします?」
大塚が冷蔵庫を見る。
「まだ普通でいい」
「一箱?」
「一箱」
スマートフォンを開く。
《ジンジャーエール 1箱お願いします》
送信した。
宮内が冷蔵庫を閉める。
ゆーりんが紙コップの袋を棚へ戻す。
タクマがバッグを持つ。
「俺先出る」
「お疲れさまです」
「お疲れ」
階段を上がる。
二十二時二十六分。
大塚が予定表を見る。
「明日も問い合わせ来ると思う」
「来たら空き日見ます」
「決める前に見せて」
「はい」
予定表を受付の下へ入れる。
レジ。
チケット。
ペン。
入口。
照明。
大塚が一つ消す。
バッグを持った。
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