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#1 「もっと家にいたい」と思う人の家は、きっと長い。

「家には、玄関がひとつ。」
当たり前すぎて、疑ったこともないですよね。
こんにちは。ソラカタチ・ラボです。一級建築士として16年、真面目に図面を引いてきました。 住宅から公共施設まで、法律やコスト、使い勝手……そんな「正しさ」と日々格闘しています。
でも、たまに思うんです。 「正しすぎて、ちょっと息苦しいな」って。
そこで、仕事の合間にこっそり考えている「絶対に建てられないけれど、あったら面白い家」の話をしてみようと思います。名付けて、禁じられた空想建築。第一弾は、**「入口と出口が別々にある、一方通行のイエ」**です。


一方通行のイエ
入口と出口が別々にある、一方通行のイエ

「戻れない」からこそ見えるもの
この家には、ルールがひとつだけあります。
「入ったら最後、出口まで引き返してはいけない」
一度通り過ぎた部屋は、もう二度と戻れない「過去」になります。 もし、あなたがこのイエに住むとしたら、どんな間取りになるのでしょうか。

例えば、仕事が楽しくて仕方ない、多忙な社会人の家。 家はただ、清潔なシーツで深く眠るためだけの場所。玄関を開けて、数歩でベッドを通り過ぎ、すぐに出口へ。それは、わずか3メートルの「廊下のような家」になるかもしれません。……さすがに短いですよね。
一方で、家で過ごすのが充実している人の家。 リビング、書斎、ピアノ、また書斎と、心地よい停滞がずっと続きます。出口にたどり着くまでに、本を読み、映画を観て、お昼寝をする。その家は、ひょっとすると数キロメートルに及ぶ「終わらないリビング」になるかもしれません。


長さの短いイエと長いイエ
“長さ短いイエと長いイエ”
「イエが長い」=「イエの中で大切にしてるものが多い」、
逆に言えば「イエが短い」=「イエの外が充実してる」ともいえる。

設計者としての「つぶやき」
これ、実際は、「靴の脱ぎ履きは、どうしよう。」「同じような部屋が、もったいないよね」とか、施主に怒られるやつです(笑)。(靴の脱ぎ履きについては、海外スタイルで靴を脱がずに過ごす。靴棚が表側と裏側(入口側と出口側)から開くようにすることで、成立する可能性は、ありそうですけども。いずれにしても、万人の理解を得るハードルは高いです。)
しかし、設計者の視点で見ると、意外と深いテーマが隠れています。 通常の家は、効率よく動き回れるように作りますが、この「戻れない家」では、**「自分の進む先々を、どう楽しさに変えるか」**が勝負になります。
例えば、出口に近づくにつれて天井が少しずつ高くなったり、窓を全くなくした寝室や本棚いっぱいの書斎、その部屋の使い方、過ごす時間をしぼりこんで部屋をつくることになります。
「戻れない」からこそ、一部屋一部屋を大切に歩きたくなる。 そんな**「人生の測定器」**のようなイエがあってもいいんじゃないかな、なんて思うんです。


あなたの家は、何メートルですか?
もし、明日からこのイエに住むとしたら。 どの部屋を一番長くして、どの場所を短く通り過ぎたいですか?
今の生活に満足している人は、きっとイエが長くなるし、早く抜け出したい人は、イエがどんどん短くなる。あなたの「本当の望み」を、この物差しで測ってみると、面白い発見があるかもしれません。

次回** 禁じられた空想建築 #2 「外を見ない「窓」のあるイエ」**
 窓は外の景色を映しますが、外を見ない窓は、一体何を映すことになるのでしょうか。


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