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17歳に必要なのは、志望理由に合う実績づくりではなく、志望理由が変わるほどの寄り道なんじゃないか

「本当は、そっちを一緒にやりたかったんです。でも、◯◯学部に行きたいなら◯◯のことをやった方がいいって言われてるから、別のチームにしました」

Startup Weekend 都城に参加していた高校3年生より

この週末、Startup Weekend 都城に参加していました。金曜の夜から日曜までの54時間で、アイデアを出して、チームをつくって、顧客の課題を発見し、プロダクトを構築し、 ビジネスモデル設計を通じ、スタートアップの可能性を探る、仮説検証プログラムです。

私たちのチームでは取り組みを通じて、延べ132名の方にアンケートやヒアリングでご協力をいただきました。関わっていただいたすべての皆様にお礼がしたいです。ありがとうございました!

Startup Weekend都城の参加者は20人くらい。
そのうち8人が、都城の実業系高校に通う3年生でした。

「なんで参加したの?」と聞いてみたら、何人かから、「推薦入試のための実績をつくりたくて」「進路実現に役立つと思って」という答えが返ってきました。
学校の先生がこういうイベントの情報をしっかりキャッチして、学生の選択肢を増やしていただいていること、それに飛び込んだ学生たち。どちらも素敵だなと思います。

チャレンジする動機は何でも良いと思います。大学入試に使えると思ったからでも、先輩から誘われたでも、親から強制的に連れてこられたからでも。結果的に知らなかった世界に触れることができたり、普段会わない人と話せたり、「自分ってこんなこともできるんだ」と思えたりして、その人の世界が広がっていく。すごく大事なことです。

ただ、イベントの途中で、ひとりの高校生から言われた冒頭の言葉が、ずっと頭に残っています。

「志望学部に合う実績にならないから」、自分の興味に蓋をする

私たちのチーム(大学生1名、高校生1名、高専生1名でした)では、「家族の日常の思い出を未来に残す」を目的にサービスを考えていました。すると、別のチームに入っていた高校生が声をかけてくれて、こんなことを教えてくれました。

「家族のことが大好きだし、そのチームのテーマが楽しそうだなと思ったけど、◯◯系の学部に行きたいなら◯◯に関係することをやったほうがいい、と言われていて…」

だから、◯◯に近い別のテーマを選んだのだと。
その瞬間から私の中に、言葉にならない違和感がじわじわと広がっていきました。

一人の話だけで何かを決めてはいけない気持ちと、どうしてもその実態を確かめてみたい気持ちとで、会場にいた高校生全員にお願いして、懇親会の時にアンケートを取らせてもらいました。

集まったデータを見つめながら、社会がつくってしまっている「構造」について、皆さんと一緒に少し考えてみたいです。

「やりたい」よりも「進学に役立ちそう」を選ぶ高校生

回答者は9人。
そのうち高校3年生が8人で、8人全員が推薦での進学を希望していました。

「学校外の活動を選ぶとき、大学入試や推薦で評価されそうかを意識しますか?」の質問には、8人全員が「意識する」、うち5人は「とても意識する」と回答。

その際、「本当にやってみたいことと進学に役立ちそうなことが違ったら、どちらを選びたいか?」と聞くと、8人中5人は「やってみたいこと」を選びたいと答えている。3人が「進学に役立ちそうな活動」と素直に回答してくれました。この3人の気持ちはすごく、すごくわかる気がします。

一方、「志望大学・学部に合わせた活動を勧められたことがある」との設問に全員が「ある」と回答。その結果、「興味より入試で評価されそうな活動を優先した経験がある」と回答した方は、8人中5人でした。

8人のうち、5人は「やってみたい活動を選びたい」と答えている。
なのに5人は、「実際には、興味より入試で評価されそうな活動を優先したことがある」と答えている。
叶えたいと思う進路を実現させるために、現実の選択では入試を優先せざるを得ない事情がある、そういうことなのだろうと思っています。

アンケートの最後で、「今、自分が本当に興味のあることに十分チャレンジできていると思いますか?」と聞きました。
10点満点で、高校3年生8人の平均値は5.25点、中央値は4.5点でした。
そして、前の設問で「やりたい活動」よりも「進学に役立ちそうな活動」を選ぶ、と答えた3人の点数は、3点、3点、3点でした。

もちろんN=8でものすごく小さな調査であり、母集団はStartup Weekend都城の参加者なので偏っています。ここから何かとの因果関係を語ることなんてできません。ただの偶然かもしれません。

それでも私はこの「3、3、3」がどうしても気になってしまいます。

17歳から始まる、人生の伏線回収

推薦入試、とりわけ総合型や学校推薦型の選抜では、学力だけではなく、「なぜこの大学なのか」「これまで何をしてきたのか」「大学で何をしたいのか」「将来どうなりたいのか」みたいなことを問われるのでしょう。テストの点数だけで人を見るより、その人が何を考えて、何に興味を持ってきたのかも見ようとする。これはすごく素敵なことだと思います。

ただ、高校や高校生の側からすると、「志望大学が決まる・決める→その大学が求めそうな人物像を考える→その人物像に合う活動をする→その活動をこれまでの自分の経験として語る」という逆算が始まるのかもしれません。

「私は昔から地域に関心があり、高校時代には地域活動を経験し、そこで○○という課題を発見したため、大学では△△を学び、将来は地域に貢献したいです」

みたいな。もちろん、本当にそういう高校生もいるでしょうし、自分が一番選びたい進路を実現するためには重要なことなのだと思います。
学校も、目の前の大切な生徒には志望校に合格してほしい!と思えば、それを後押しするのは当たり前です。

ただ、全員が進学を目的に合理的に行動した結果、高校生の「本当はこれをやってみたい」が削られていく構造になっていないか。そのことが気になってしまっています。

好奇心で寄り道ができる社会へ

「なんでそれやるの?」と聞かれて、「なんかおもしろそうだったから」より先の言葉が出てこない場に参加することは、その人にすごく重要な影響を与える気がしています。そこで学び・気づけることは、きっと今の自分の世界の内側にはないことで、「わからなさ」とたくさん出会える場所なはずだから。

私も今回、「なんかおもしろそうだったから」Startup Weekend 都城に参加して、想像の5倍くらい高校生がいて驚いて、もっと深めたい・考えたいと思う、今回のテーマに出会うことができました。

特に高校生の時期はどうしても世界が狭くなりがちです。自分が何者なのかも、何に夢中になるのかも、まだわからなくて当たり前だと思います。
それを知るために、興味関心に沿っていろんな「こと」に触れる途中で、昨日までの志望理由が全部使えなくなるくらい、心が動くものに出会う。

それは、進路実現をゴールに考えると、遠回りであり、寄り道なのかもしれません。ただ私は、それぞれの好奇心を大切に、「ちょっと気になる」を大事に、寄り道を楽しめる社会であってほしい。

どうしたらその社会に近づけていけるんだろう。

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