杜のくまノート13 大学入試 口語英語まとめ(附英検)
1.口語英語表現対策本
大学受験用の口語表現の対策本は意外と少ないです。
『「英語口語表現」パーフェクト演習』

この本についての詳細は以下の記事をご参照ください。
『英会話問題のトレーニング』

良い本なのですが、如何せん古いです。改定が待ち望まれます。この本については別の機会で取り上げます。簡単に紹介すると以下のようになっています。
英会話の決まり文句
センター試験型の会話問題
会話形式の長文読解問題
特に2番目のセンター型にウェートが大きいイメージですが、3番目で私大対策も一応できるようになっています。
『会話問題のストラテジー』

この本もセンター試験対策が目につきますが、他と比べると私大対策にそこそこウエートが乗っています。CD付きなのもよい点です。この本についても別の機会で紹介したいと思っています。
『英語会話問題が面白いほど解ける本』

この本は新しい本だけあって、センター試験対策はありません。むしろ、慶早などの難関私大の難易度の高い会話問題に対してのテクニックが載っていたりします。またダウンロード音声があるのも良いところです。この本も別の機会で取り上げたいと思っています。
どこでどう使えるか?
🐻共通テストで使えるか?
共通テストが2021年から始まって、センター試験では必ず出ていた会話表現が大きく変わりました。つまり、共通テストの英語リーディングにおいては、センター試験時代のような「独立した独立型の会話文問題(空欄補充や応答文選択など)」は出題されなくなったのです。具体的には以下のような変化です。
センター試験では独立した「会話文問題」でしたが、共通テストでは「読解問題」の一部としての会話・チャットという形式に変わりました。
センター試験では会話特有の定型表現、応答の決まり文句、文法知識が問われていたのに対して、共通テストでは複数人のやり取りから必要な情報を探す・まとめる読解力が求められるようになりました。
センター試験では2〜3人の比較的きれいな対話文だったのに対して、共通テストではスマホのチャット画面、SNSの投稿、メールの往復などに変化しました。
こう比較してみると『「英語口語表現」パーフェクト演習』と『英会話問題のトレーニング』はセンター型の対策本となってしまっています。なので、共通テスト対策としてはあまり(ほとんど?)使えない本となってしまっています。『「英語口語表現」パーフェクト演習』の方は出版が2022年なので、執筆編集がギリギリの所で共通テストに間に合わなかった、というところなのでしょう。ちなみにこの本は
『入試によく出る! 「英会話・口語表現」の徹底トレーニング (新装版)』の増補改訂版です。
と出版社から正式にアナウンスされています。ここからもこの本がギリギリで「センター試験合わせ」だったことがうかがえます。
そもそも会分がメインででなくなっているので『会話問題のストラテジー』『英語会話問題が面白いほど解ける本』も同様です。
🐻東北大学二次試験対策で使えるか?
東北大学の二次試験でも毎年会話文(大問3)が出題されます。しかし、その対策として、いわゆる「日常会話のフランクな口語表現・決まり文句(スラングやくだけた表現)」をわざわざ個別に暗記する必要性は極めて低いのです。
なぜ「口語表現」の暗記が不要なのか?
1.テーマがアカデミック(論理的)であるため
東北大の会話文は、友人同士の他愛のない日常会話ではなく、「大学教育のあり方」や「科学技術と社会」といった学術的・論理的なテーマについて2〜3人が議論する形式が主流です。そのため、使われる語彙や文体は通常の英語長文(論説文)とほとんど変わりません。
2.文脈から推測可能であるため
仮に少し会話っぽい表現(例: "But is that it?"「でも、それだけですか?」など)が混ざったとしても、前後の文脈や論理の流れを追っていけば確実に意味が推測できるように作られています。
代わりに対策しておくべき「会話文特有のポイント」
1.省略表現への意識
会話では、相手の言葉を受けて「主語+助動詞」だけに省略されるケースが多発します(例: "Do you think he will?" の後ろの省略など)。文脈から「何が省略されているか」を常に補いながら読む訓練が必要です。
2.指示語(this, that, it)の正確な把握
相手の発言全体を指して "That's not the reason..."(それは理由になっていない)と言うなど、指示語が頻出します。何を指しているかを1文ずつ丁寧に追う「丁寧な読解力」が求められます。
3.発言者の「立場・意見の対立」の整理
Aさんは賛成派なのか反対派なのか、Bさんはどの部分に反論しているのか、といった議論の構造(対比)を視覚的に整理しながら読むことが求められます。これがその後の自由英作文につながります。
これが東北大学の会話文の本質なのですが、以上の1~3はこれらの本では全く対策できないのです。
🐻私立大入試で使えるか?
以下グループ分けして解説します。
1.慶早レベル(超難関口語・イディオム)
慶應義塾や早稲田の一部学部では、教科書には載っていないようなネイティブが使う生きた口語表現やことわざ("That's a deal."「それで決まりだ」など)を直接問う問題が伝統的に出題されます。
慶應義塾大学: 文学部・経済学部・理工学部
短い対話の空所補充が出題されることがあります。
『「英語口語表現」パーフェクト演習』第2章などはその対策の一助にはなると思います。ただし、法学部のような難易度の高い会話問題には対応しきれていません。
『英会話問題のトレーニング』と『会話問題のストラテジー』はどちらも、最後の方でそれに対応するような問題が出ています(特にストラテジーの方は最後の問題が慶応義塾の法学部)が、どうしてもセンター寄りの編集なので、弱いです。その点、共通テスト後に出された『英語会話問題が面白いほど解ける本』は対策書としてよいと思いますが、少し簡単なような気もします。
早稲田大学: 政治経済学部・商学部・教育学部・国際教養学部・文学部・文化構想学部
多くの学部で大問の中に日常会話のシーンが含まれ、会話の短い空所に、口語的なフレーズやイディオム(熟語)を4択で入れさせる問題が頻出します。
『「英語口語表現」パーフェクト演習』は少しレベル的に辛いものがありますが、基礎固めとしては良いと思います。
『英会話問題のトレーニング』と『会話問題のストラテジー』もセンター寄りの編集にはなっていますが、一助とはなると思いますし、テクニック的には通用するものが出ていると思います。
『英語会話問題が面白いほど解ける本』も若干易しい部分が多いですが、対策書として活用できると思います。
2.MARCH・関関同立レベル(典型的な会話・応答問題)
このレベルの大学では、日常のシチュエーション(買い物、友人との約束、キャンパスライフなど)を題材にした「挨拶・相づち・定番のやり取り」が非常によく出題されます。なので、『「英語口語表現」パーフェクト演習』はその対策として非常に有効だと思います。この本の第1章や付録を覚えた上で以下の3冊で演習を積むのが最良策だと思います。
『英会話問題のトレーニング』
『会話問題のストラテジー』
『英語会話問題が面白いほど解ける本』
3. 日東駒専・産近甲龍レベル(基礎〜標準の定型表現)
このレベル帯では、『「英語口語表現」パーフェクト演習』第1章の「口語の決まり文句」をそのまま一問一答で試すような問題が多く、第2章、第3章の演習もとても効果的です。『「英語口語表現」パーフェクト演習』での対策の効果が一番出やすい大学だと言えます。
この本をしっかりやった上で過去問演習をし、そこで不安が出た場合は以下の本で演習を積むのが良いと思います。
『会話問題のストラテジー』
『英語会話問題が面白いほど解ける本』
🐻英検対策に使えるか?
英検の口語表現について
結論から言えばどの本も、準2級までは使えます。
英検3級〜準2級までは、挨拶や日常のちょっとした受け答え("How about...?" / "Sounds good." など)の知識が直接スコアを左右します。こうした部分の対策としては『「英語口語表現」パーフェクト演習』はかなり良い対策書となります。しかし、2級以上になると試験の性質がガラリと変わります。以下その説明をします。
1. なぜ「会話表現」の優先度が下がるのか?
「一問一答の会話問題」が激減する
『「英語口語表現」パーフェクト演習』の第1章及び第2章などに代表される「一問一答の会話問題」が2級から激減します。筆記試験のリーディング(大問1の空所補充)で、2級では会話のやり取り形式の問題が少し含まれる程度、準1級になるとほぼ「単語・熟語の知識問題」がメインになります。3級や準2級にあったような「会話の空欄に当てはまるフレーズを選べ」という単純な問題はほとんど出なくなります。これは2025年度から新設された準2級プラスでも言えます。
リスニングも「中身の理解」が重視される
2級・準1級ともにリスニングのPart 1は「会話問題」です。しかし、ここで問われるのは「フランクな日常の決まり文句」ではなく「ビジネスや公共の場での状況把握」「登場人物の意図や、次に取る行動の理解」です。言葉のキャッチボールそのものは標準的な英語で行われるため、口語のフレーズを知っているかよりも、長めの英語を聞き取る体力や、言い換え(パラフレーズ)を見抜く力が求められます。もちろん、この点についてもあまりこれらの本は対応できていません。
🐻杜のくまのコメント
もっとも、大学受験用の対策書なので英検に対応しろというのが無理な話なのかもしれません。でも大学入試の多様化を受けて、大学入試に英検を使う機会が急増している状況としては、大学受験勉強と英検の勉強を別々にする意味もありませんし、負担を増やすというデメリットしかないわけです。なので、その辺を意識した参考書作りが今後出版社に求められていくのではないでしょうか。ちなみに英検が使える入試の例をいくつか挙げておきます。
準1級:千葉大学、広島大学、金沢大学などで共通テストや二次試験の英語が満点換算、または大幅な加点・優遇。
2級:九州大学で共通テストの英語を満点換算など。
2.必要とされる会話表現
二次試験(面接・スピーキング)での沈黙回避・意見表明
面接官の質問に対して意見を論理的に述べる際、会話をスムーズに進める定型表現は必須です。例えば以下のようなものです。
考える時間が欲しいとき: "Let me see...
"聞き返したいとき: "Could you please repeat the question?
"理由を付け足すとき: "For example..." / "In addition..."
などです。ただ、これはこの本よりも英検対策書などの巻末に載っていることが多い「会話表現集」などを見直しておけば足りるでしょう。
リスニングで頻出する「提案・依頼・予定」の表現
会話問題で状況を掴むための、以下のような基本表現は確実に押さえておく必要があります。
"Why don't we ~?"(〜しませんか?)
"I was wondering if you could ~"(〜していただけないでしょうか)
"I'd rather ~"(むしろ〜したい)
などです。これらは特に「音と共に覚えておく」必要があるので、英検のリスニング対策書などの音声が付いている教材で学習すべきでしょう。
