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若者から仕事が消えていく:スタンフォードの研究「AIで13%減」

はじめに

コンサルやシニアマネジメントレイヤーの界隈で、酒のつまみになっていたあるAIの話題がスタンフォード大学の研究によって証明されました。

Canaries in the Coal Mine?(炭鉱のカナリア)という論文では、生成AIの普及が「若年」労働者の雇用に影響を与えていることを明らかにしました。

60ページ近くある論文で、本日は要点だけにとどめます。また詳しくnoteを書くかもしれません。(Update: 2025年9月1日に書きました)

さて、米国最大の給与計算ソフトADPのデータを用いた本研究によると、AIの影響を受けやすい職業において、22歳から25歳の雇用が2022年以降13%減少していました。ユニークなのは、年齢でAIの影響を切っている点です。

※私のnoteで最も読んでいただいている2本の中でも、"コンサルの若手不要論"がなぜ生じるのか、について詳しく書いていました。仮説があるデータで立証された形です。


AIの影響を受けやすい職業

かつて炭鉱では有毒ガスの発生をいち早く察知するために、カナリアが使われていました。カナリアが弱ることが、労働環境の異変を知らせる「最初のサイン」でした。

Wiki

今、その役割を担わされているのが、AI時代の若者たちではないか?というのが本論文の意図です。彼らは、キャリアの入口であるはずの「エントリーレベルの仕事」から、静かに排除され始めています。

今回の研究では、AIの代替が進みやすい職種として

  • カスタマーサービス職

  • 会計・経理職

  • ソフトウェア開発職

が挙げられており、とくに経験の浅い若手社員が、その影響を強く受けていることがわかりました。「教育を受けたばかりの若者」が就けるはずだった仕事が、すでにAIによって減り始めているということを明確にデータをもって示されています。

一方、介護補助や製造ライン監督者など、いわゆる現場力が重視される職種では、若者の雇用がむしろ増加しているケースも確認された、と述べられています。

経験がAIよりも強い武器になる時代へ

研究者たちは、AIが代替しやすいのは「体系的な知識」、フレームワークやオペレーションフローがテンプレ化されているもの、マニュアル、定型化された教育、ビジネス書籍を通じて学ぶような、ノイズを取り除いた普遍化された情報や知であると指摘しています。

逆に、長年の実務を通じて培われる「経験知」や「現場の判断力」のようなものは、いまのところAIでは再現が難しいと考えられています。

実際、業界のベテランや現場の最前線で働く方々と接していると、彼らが持つ“直感的な判断”に大きな価値があることをよく感じます。数字や理屈だけでは割り切れない、微妙な機微や空気感を読み取る力、意思決定力は、依然として人間ならではの強みです。

さらに言えば、私自身よく感じることですが、クライアントが人間である限り、年齢を重ねるごとに気づかされるのは、意思決定にはその人の「人間臭さ」や「欲望」「価値観」「家族観」といった、必ずしも論理的とは言えない要素が影響していることです。(個々にそのバランスも異なるところがさらに話を複雑にしています)

このように複雑で曖昧な感情や背景を読み取る力もまた、AIには置き換えにくい部分です。このような視点は、これからのキャリアを考えるうえでも、大きな示唆を与えてくれるはずです。

※じゃあどうしたらいいの?

2025年6月に日経新聞に「新卒採用あえて減らす覚悟 適正求め大和ハウスは8割減」という記事が出たタイミングで発行したnoteがあります。

生成AIが雇用に与える影響をめぐり、大きな危機感が広がっているアメリカから学べることは多いです。

特に、MBAやアイビーリーグを卒業し、コンサルや金融、あるいはGAFAへの就職を目指す若者たちは、その将来に強い不安を抱えており、採用する側にも彼らなりの合理的な論理や事情があること、そのギャップが若者たちの悩みをさらに深めています。

また、少し古い本になりますが、最近の決算で増収増益記録を延ばしたドン・キホーテ創業者である安田隆夫氏の書籍も参考になると思います。「勝ちパターン」としてコントロール可能な“運”を、豊富な事例を交えてわかりやすく解き明かしている本がこちらです。


おわりに

「炭鉱のカナリア」が鳴いている?

今回のスタンフォードの研究タイトルは、Canaries in the Coal Mine?というものでした。

昔、炭鉱では有毒ガスの発生をいち早く察知するために、カナリアが使われていました。カナリアが弱ることが、労働環境の異変を知らせる「最初のサイン」だったわけです。

AI時代の若者は、この論文が示すように「エントリーレベルの仕事」から、静かに排除され始めているのでしょうか。

もし彼らが予兆を知らせる"カナリア"だったとするなら、次に"炭鉱"である私たちのビジネスの世界にどんなことが起きるのか。

おそらくAIは雇用全体を一気に奪うのではなく、まずは若手が経験を積む機会を減らしていっています。その結果、OJTや研修によって人材が育つサイクルは歪み、数年後には「育ってきたはずの中堅層」が企業からごっそり抜け落ちていく未来が来ることを意味します。


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Top画は、スペイン領のGran Canaria。再訪したい。

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