真剣にときめく。それは、頑張りすぎて電池が切れたわたしへの、一番の栄養だった②
実はわたし、『管理栄養士』の資格を持っています。
いまは言葉を紡ぐお仕事をしているので、
バリバリの文系人!と思われていることも多いのですが、全然そんなことはありません。
元々は白衣を着て実験をするような、理系の道を歩んできた人間です。
そもそも、管理栄養士ってご存知でしょうか。
学校の給食を考えたり、病院の食事を管理したり。栄養指導をしたり。
端的にいえば『食を通じて人の健康を支えるプロ』です。
わたしがこの資格をとろうと決めたのは、高校生のときでした。
理由はいくつかあるけど、
一番大きかったのは、自分の見た目に対するコンプレックスを解消するため。
女性の平均よりも高い身長で、がたいが大きく見えること。ニキビができやすいこと。髪質がかたくてクセがあること。
人と比べてしまう性格で、とにかく自分に自信がありませんでした。
「あの子みたいに、華奢なからだになれたら、お洋服を着こなせるのに」
「あの子みたいに、つるつるなお肌になれたら、真っ直ぐ人の目を見て話せるのに」
子どもの頃から食べ物の好き嫌いが多かったから、
「きっと普段の食事がからだに影響しているんだ」と思っていました。
もっと可愛くなるには、何を食べればいいんだろう。
苦手なものを食べられなくても、他の食べ物で補えないのだろうか。
自分のために、『栄養学』を学びたい。
それが最初のきっかけでした。
そして、もう一つ。
健康で長生きしたいという、人一倍強い思い。
わたしの母は、36歳という若さで亡くなりました。
癌が発覚して、2年も経たないうちの出来事でした。
当時5歳だったわたしは、子どもながらに
「生きることには終わりがある」という現実を知りました。
優しくて、人から好かれていた母。
まだまだたくさんの幸せを迎えるはずだったのに。
どんなに幸せでも、人生うまくいっていても、
それが一日でも長く続かないと意味がない。
体調不良で苦しんでいたら、どんな豊かさも色褪せてしまう。
母の死を通じて刻み込まれた「健康に生きること」への執着が、
きっとわたしにあるのだと思う。
そんな思いを抱えて栄養学科のある大学に進学し、
国家試験をクリアして、わたしは管理栄養士として社会に出たのです。
食事は完ぺきだったはずなのに
資格をとってからのわたしは、
自分のからだを実験室のように扱っていました。
昨日、夜ごはんに糖質が足りなかったな。
……朝起きたとき、からだがだるかったのはそのせいか。
便秘気味だ。ニキビができた。
……そういえば、今週は野菜を食べる量が少ない気がする。
食べたものとからだの反応がダイレクトに繋がっているのを感じて、それが面白くて仕方がなかった。
「食を整えれば、からだは裏切らない」と、心の底から信じていました。
社会人になって3年目のとき。
新しいことに挑戦したくなって、好奇心まかせに飛び込んだ会社は、いわゆるブラック企業でした。
抱えきれない業務量と責任。
朝から晩まで職場にいて、帰宅後にも終わらなかった仕事を進める。
唯一相談できる上司は、パワハラ気質。
「もっと頑張らないと」
「全部、自分でやらないと」
焦りと怖さに追われる日々。
明日は待ってくれないのに、時間は過ぎていく。
そして転職して数ヶ月経ったころ、からだに異変が起こった。
忙しい中でもちゃんとご飯を食べ、サプリメントまで飲んでいるのに、顔中にニキビができる。
アラームがなる前に目が覚めているのに、ベットから起きられない。
休んでも疲れがとれなくて、頭がぼーっとする。
余計なお菓子は食べていないし、お酒だってほとんど飲まない。
睡眠時間はまあまあ足りてるはず。スキンケアも変えていない。
なのに、なんで……。
どんなに食事に気をつけていても、
どんなに良い栄養素をからだの中に入れても、
教科書で学んだ知識では補いきれない"何か"にわたしは負けていた。
自分のからだなのに、言うことをきいてくれないことが怖かった。
たった一言の光
「自分で選んだ道だから、ここで逃げたら負けだ」
辛いし、本当は仕事をやめてしまいたい、でも。
そんな意地のようなプライドで、ギリギリつながっていたある日。
知人の紹介で、とある会社のオーナーとお話しできる機会がありました。
彼のどっしりとしたオーラと優しいほほ笑みにすっかり安心したわたしは、初対面にもかかわらず、自分が抱えている苦しさを打ち明けていました。
出会って1時間も満たない関係なのに、本当に図々しかったと思う。
でも、すがるような気持ちだった。
暗闇のなかで、一筋の光に手を伸ばすように。
そのオーナーは、わたしのどんよりとした表情を見て、ワハハと笑いながらこう言いました。
「瑞紀ちゃん、今ワクワクしてないでしょ?」
たった一言。
本当に、たった一言だった。
それなのに、
胸をグッと掴まれたような衝撃が走った。
ワクワク?
ワクワクって、仕事に?
仕事って、楽しんでいいものなの?
いやいや、こんなに辛いのに、どうやって楽しめと…?
頭の中が混乱する。
混乱しながらも、心が熱くなっていくのを感じた。
そうだ。
「楽しそう」と思ったから、
ワクワクしたから、わたしはこの世界に飛び込んだんだった。
いつの間にか、毎日のタスクを終わらせることで頭がいっぱいになって忘れていたけど、
もしかしたら一番大切にしなきゃいけないことだったのかもしれない。
翌日、いつも通り職場に出勤したけど、景色はなんにも変わらなかった。
相変わらず仕事は山積みだし、上司は厳しい言葉や要求を投げてくる。
けれど、
「ワクワクしてないでしょ?」
というあの一言が心の片隅にあるだけで、
この地獄のような環境の中にも、ほんの小さな光を見出せるようになった気がしました。
世界は同じなのに、何かが違う。
いつもと一緒なのに、空気が違う。
明らかに、昨日とは違う今日がある。
そのとき、痛感したんです。
からだを元気にするために必要だったのは、
「食事からの栄養」だけじゃなかったんだ。
心を生かすための
「言葉からの栄養」や「ときめき」が、
健康でいるためには欠かせない材料なんだと。
真剣にときめいてみる
その日から、わたしは言葉を探すようになりました。
本屋さんに立ち寄って、惹かれるタイトルの本を買ってみたり。自己啓発系のYouTubeチャンネルを観るようにしたり。
友人に「好きな言葉は?」「座右の銘は?」と質問してみたり。
今の自分の、心の栄養になる言葉。
今日も頑張ってみようと思いたくなる言葉。
本当に、言葉の力ってふしぎで。
いい言葉に出会えると、ふっと心が軽くなるんです。
「もう無理〜〜〜!」
って床に這いつくばりたい気分のときでも、
「あ、やっぱりまだ大丈夫かも」
って思えるようになる。
あの辛すぎる日々の中で「生きる」選択ができたのは、
どこかの誰かが何気なく発した言葉たちに、幾度となく救われたから。
そして言葉探しだけでなく、ときめきの感情に真剣に向き合うことも意識するようになりました。
素直な心で「最高だ!」と思える
物、景色、空間、作品、食べ物、思想、目標、人、言葉。
心が跳ねる瞬間を、意識してつくりにいく。
待っていてもダメ。見逃してもダメ。
心を研ぎ澄まして、真剣にときめく。
そのときめきもまた、
心を元気にする栄養になってくれた。
「このもちもちのクレープ、美味し〜♩」
「隣町のおしゃれなカフェ、次のお休みに行ってみよう!」
ときめきで満たされた心には、
「明日も頑張るぞ!」と思えるほどのパワーが、たしかに秘められていた。
みんな幸せに生きていてほしいよ
わたしが管理栄養士になったのは、
健康に長生きするため。
でも、あらためて考える。
"健康"ってなんだろう。
病気じゃないこと?
怪我をしていないこと?
今のわたしは、
「やりたいこと」が自由にできるからだがあって、
「好きなこと」に幸せを感じられる心があることが健康だと思う。
やりたいこと、好きなことの形は人それぞれだから、
あなたにとっての「健康」の基準を探してみてほしいです。
その基準は、誰と比べる必要も、評価される必要もない。
あなたの幸せを叶える土台として、淡々と整えていけばいい。
大人になってからのお仕事が、
食事だけでなく心の栄養をサポートすることになるなんて、高校生のときのわたしは思いもしなかったけれど。
わたしは今のお仕事が、
生活が、心から快適で幸せです。
このnoteを読んでくれたあなたと一緒に、いつまでも健康でいたい。
みんな幸せに生きていてほしいよ。
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